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コンサーティーナ入門 FAQ

最初の公開2011-10-23 最新の更新2017/8/14

【問】コンサーティーナにあう音楽のジャンルは何ですか? どんなジャンルの曲を弾いたらいいですか?
【答】ジャンルなんて、ないです。
 ずばり、コンサーティーナは「弾いたもんがち」の楽器だと思います。「自分が弾きたい曲」とか「自分が弾ける曲」とかを弾けばいいです(^^;;
 もしあなたが「アニゲー音楽」(アニメやゲームの音楽の総称)が好きなら、アニゲー音楽を弾いてください。アイリッシュ(アイルランドの伝統音楽)でもジャズでもロックでもポップスでもナツメロでもクラシックでも演歌でも沖縄民謡でも、ご自分が弾きたい曲を弾けばよいのではないでしょうか。
 ジャンルにこだわる必要はないと思います。
 実際、YouTubeで世界中のコンサーティーナ奏者の演奏動画を見ると、みんな、それぞれ自分勝手に好きな音楽を弾いてる感じがします。アイルランドの伝統音楽、南アフリカのボーア音楽(白人系)やズールー音楽(黒人系)、ボリビアのフォルクローレ、その他、北米や西欧、東欧、ロシア……。
 以下のYouTubeビデオリストの動画を御覧ください。
concertinas worldwide, list by KATO Toru (Tokyo, Japan)

https://youtu.be/3qUQmwqHiCo?list=PL6QLFvIY3e-lryvir0tFpjcWnGyPROtZx
 楽器も子供も、生みの親の思い通りにはなりません。世界各地に広まってゆく過程で、最初の発明者が意図しなかった弾かれかた、使われかたをします。
 例えば、バンドネオンは1847年にドイツのハインリヒ・バンド(Heinrich Band、1821- 1860)が発明した楽器です。ドイツ人はバンドネオンで、民謡や宗教曲、クラッシックの曲などを弾きました。しかしハインリヒ・バンドが死んでから数十年後、バンドネオンは大西洋の向こう側のアルゼンチンで、タンゴの音楽の伴奏楽器として普及しました。生前のバンドは、自分が発明した楽器が南米の舞踊音楽の主伴奏楽器になるとは、夢にも思わなかったことでしょう。
 現代型の鍵盤ハーモニカ(日本では「ピアニカ」や「メロディオン」などのブランドが有名)は、1959年にドイツのホーナー社(Hohner)が製造・販売したMelodicaが最初ですが、当初は子供の音楽教育の楽器として普及していました。しかし1970年代からプロの音楽家たちも採用するようになり、現在では「立奏による両手弾き」とか「循環式呼吸による音が途切れない演奏法」など高度な演奏法も編み出され、ジャズやロック、ポップス、クラシックなどさまざな音楽シーンで使われる楽器になっています。
 コンサーティーナの歴史も同様です。
 コンサーティーナは19世紀の前半に、イングランドとドイツで開発された楽器です。アイルランドや、南アフリカ、ボリビア、その他、イングランドとドイツ以外の国々の演奏者にとって、コンサーティーナは外来の楽器でした。しかし、土着の演奏家たちが代々、様々な演奏技術を編み出して蓄積した結果、コンサーティーナは、それぞれの国の音楽文化と見事に融合しました。
 食べ物でたとえると、ソースみたいなもんです。ソースは西洋生まれの調味料ですが、大阪のたこ焼きとか、広島のお好み焼きとか、それぞれ土着の料理には欠かせない味になってます。食文化も音楽文化も「食べたもん勝ち」「弾いたもん勝ち」「やったもん勝ち」「楽しんだもん勝ち」という点では、変わることはありません。
 さて、現代はインターネットの時代です。ネット上には、コンサーティーナについての国際的なサイト(英語のサイトが多い)もある。YouTubeなどの動画投稿サイトで世界各地のコンサーティーナ奏者の演奏動画を見ることもできます。A国のコンサーティーナ演奏家が演奏動画を投稿し、それを見たB国のコンサーティーナ奏者がヒントや刺激を得て、そのコメントをネットのフォーラムで発表する、という状況は、今はあたりまえになっています。
 日本人のコンサーティーナ演奏動画も、たまに、外国のコンサーティーナ奏者のあいだで「コンサーティーナで、こんな弾きかたがあったとは!」と話題になることがあります。
 どこの国の奏者も、自国の音楽であるか否かに関係なく、自分の好きな音楽をコンサーティーナで弾いて楽しんでるのです。日本の演奏者も、遠慮をせず、アニゲー音楽とか沖縄音楽とか演歌とか、あるいはアイルランドの伝統音楽とか、自分の弾きたい曲を弾いて楽しめば、それでいいのではないでしょうか。

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