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コンサーティーナ入門(4)

曲のジャンルと弾きかたの違い 最初の公開 2011-10-23
最新の更新 2016-8-31

【アングロ・コンサーティーナの弾きかたは、さまざまである】
 アングロ・コンサーティーナのボタン鍵盤の特徴は、
(ア)「同一のボタンでも違う音が出る」
 ということだけでなく、
(イ)「同一の音でも違うボタンがある」
 ということです。ピアノ鍵盤では、ありえないことですね。
 例えば、31番(単純ナンバリング)のボタン鍵盤を例にとると、(ア)「同一のボタンでも違う音が出る」については、31をおさえて蛇腹を押すとド(国際式の表記ではC6の音)、引っ張るとラ(国際式ではA5)が鳴ります。
 逆に、ラ(A5)を鳴らしたい場合は、
 31番のボタン鍵盤をおさえて蛇腹を引っ張る
 22番のボタン鍵盤をおさえて蛇腹を押す
 35番のボタン鍵盤をおさえて蛇腹を引っ張る
の3つの方法があります。
 不思議ですね。無駄のようにも、思えますね。
 でも、このような「冗長性」(リダンダンシー)にも、実はちゃんと意味があるのです。
 それについて説明しだすと、とても長くなるので、ここでは説明しませんが、ともあれ(イ)「同一の音でも違うボタンがある」という点がアングロ・コンサーティーナの大きな特徴であることだけを、ここでは覚えておいてください。

【曲のジャンルによって、指づかいは大きく変わる】
 これも、アングロ・コンサーティーナの特徴です。
 どんなジャンルの曲を弾くか、メリハリをつけたいか、なめらかに弾きたいか、和音伴奏をつけるか、メロディーだけを弾きたいのか、などによって、アングロ・コンサーティーナは、蛇腹の押し引きの切り返しの頻度とか、指づかいを、自分の好きなように選ぶことができます。情熱的にタンゴを弾くバンドネオンのように蛇腹の押し引きの切り返しを頻繁にすることもできるし、蛇腹の押し引きの切り返しを少なくして足踏みオルガンのようになめらかに弾くこともできる。選択肢が多いことは、初心者にはとっつきにくいですが、慣れてくると、これもアングロ・コンサーティーナの良い点であると感じるようになります。
 例えば、「ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ♯、ソ(G4 A4 B4 C5 D5 E5 F#5 G5)」という音階を弾く場合の弾きかたを例に、説明しましょう。
★アイリッシュ(アイルランドの伝統音楽)で弾くなら、こう!
 アイルランドの伝統的な曲をコンサーティーナで弾く場合は、「メロディーだけ弾きたい。伴奏はいらない。すばやく、メリハリがある感じで弾きたい!」と要求する奏者が多いです。
 それを満たすためには「なるべく指の動きは少なくする。その反面、蛇腹の押し引きの切り返しが多くなっても、かまわない。いや、蛇腹の押し引きの切り返しが多ければ、メリハリがつくので、かえってよい」という考えかたになります。
 具体的には、左右それぞれの「人差し指」だけを使って、
左11人押ソ、11人引ラ、右28人引シ、28人押ド、左17人押レ、17人引ミ、右34人引ファ♯、34人押ソ

 と弾くと、アイリッシュぽくなります(必ずこう弾かねばならぬ、という訳ではありません)。
 使う指の数はたった2本だけ(左右それぞれの人差し指)で済みます(すごい!)。使うボタン鍵盤も4つだけ(11、17、28、34)で、その位置もまとまっています。ただ、11と28のボタンは中段(ハ長調の並びかた)ですが、17と34のボタンは下段(ト長調の並びかた)であり、2つの違う調の段にまたがってしまっているため、蛇腹の押し引きの切り返しはやや不規則になります。

★アニゲー音楽(アニメやゲームの音楽)で弾くなら、こう!
 アニメとかゲームとか、その他、現代的な通俗音楽をコンサーティーナで弾く場合、「メロディーと伴奏を、一人で同時に弾きたい!」と要求する奏者が多いです。
 それを満たすためには、 コンセプト1「メロディーをなめらかに弾くためには、なるべく、ボタン鍵盤の距離が遠すぎず近すぎずちょうどよい中段(右手の7番から12番までのボタン、左手の27番から32番までのボタン)のボタン鍵盤を使うほうが、弾きやすい」
コンセプト2「左手による和音伴奏のやりやすさを考えると、蛇腹の押し引きの切り返しはなるべく少なくして、なめらかにしたい」
コンセプト3「とはいえ、要所要所では蛇腹の押し引きの切り返しをうまく活用して、メリハリを出したい」
 となります。
 理論的に、上記のコンセプトの3つを同時に完全に満たすことは、困難です。その結果、自分の弾きやすさとか、曲の調子の前後の「文脈」などによって、適当に妥協しながら弾くことになります。
 以下は、コンセプト1を優先した場合の弾きかたです。
左11人押ソ、11人引ラ、右28人引シ、28人押ド、29中引レ、29中押ミ、34人引ファ♯、30薬押ソ

 使う指の数は4本(左右の人差し指、右手の中指、右手の薬指)で、押すボタン鍵盤の数も5個(11、28、29、30、34)と広いが、指の距離がちょうどよい中段を中心に弾くうえ、蛇腹の押し引きの切り返しも「ハ長調」を基本としているので、意外と弾きやすい。  上記以外にも、
「ずっと蛇腹を引っ張りながら、ソラシドレミファ#ソ、と弾く」
「ずっと蛇腹を押しながら、ソラシドレミファ#ソ、と弾く」
「上の両者の折衷」
 など、さまざまな弾きかたがあります。


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