Sensor-Pattern-Noise Map Reconstruction in Source Camera Identification for Size-Reduced Images

[概要]

本論文では,画像鑑識技術として注目されているディジタル画像の撮像に用いたカメラを識別する問題を扱う.この問題には,画像を撮影したカメラの型番の推測や,特定のカメラで撮影されたかどうかの判定などが含まれる.代表的な従来手法では,カメラの製造過程において生じる画素間の感度の差異である感度不均一性(photo-response nonuniformity: PRNU)を利用している.この方式では,縮小処理の施された画像に対しては,識別精度が著しく低下するという問題がある(近接画素の情報が縮小過程において統合され感度不均一性を捉えにくくなるため).本論文では,未知画像に対して過剰な縮小処理がなされた場合にも有効な撮像カメラ識別方式を提案している.感度不均一性を利用する手法では,未知画像から抽出したPRNUマップ(各画素の感度を表した一覧表)と,カメラのPRNUマップの間の正規化相互相関を求め,それにより撮像カメラの識別判定を行うことが一般的であるが,提案手法では,複数枚の縮小率の異なる未知画像から抽出したPRNUマップに対し,超解像処理で利用される再構成処理を施した.具体的には,被写体に依存するエッジ(画像に映る物体の輪郭線)を考慮した誤差項と,PRNUマップの事前分布に基づく拘束項からなる目的関数を定め,MAP(Maximum A Posteriori)法によって,最適化問題を解くことになる.結果として,高解像度PRNUマップを精度よく推定することができ,従来法を上回る性能を達成できた.