Graph neural networks for integrated information and major complex estimation

 

[概要]

本研究では、統合情報理論(Integrated Information Theory; IIT)3.0における統合情報量およびメジャーコンプレックスを推定するためのグラフニューラルネットワーク(GNN)に基づく手法を提案する。IIT 3.0の厳密計算は、入れ子構造をもつ組合せ最適化問題として定式化されており、その計算量はシステムの規模に対して指数関数的に増大するため、大規模システムへの適用は極めて困難である。この問題に対応するため、統合情報量とメジャーコンプレックスをグラフ構造の特徴から同時に推定するトランスフォーマー型GNNモデルを構築した。小規模なランダムシステムの厳密計算結果を学習データとして用い、より大きなシステムに対して外挿的な性能とスケーリング特性を評価した。その結果、大規模システムでは推定精度が低下するものの、統合情報量およびメジャーコンプレックスサイズの定性的傾向は維持されることが確認された。さらに、100ノードの分離脳を模したシステムに適用した結果、半球間の結合強度が増加するにつれて、局所的な統合から全体的な統合へと移行する過程が示された。