Effects of parity, frustration, and stochastic fluctuations on integrated conceptual information for networks with two small-sized loops

[概要]

 分離脳を念頭にして,二つのサブネットワークが連結した小規模なネットワークに注目する.それらのネットワークのシステムレベルの統合情報量(big phi)の値、および,それを最大にするノード群(Major Complex)の構成について調査する.サブネットワークはノード数3もしくは4のループである.ネットワークを特徴づけるパラメータとして,(1)ループを構成するノード数(特に偶奇性),(2)ループのフラストレーション,(3)状態遷移における確率的揺らぎを制御する温度変数に着目し,これらのパラメータが,big phi の値やMajor Complexの形成に与える影響を検証する.
 結果として,ループを形成するノード数の偶奇性が,Major Complexの形成に強い影響を与えることが分かった.ノード数が偶数のループでは,Complexを形成するConceptの数が減少し,それに伴いbig phiの値も小さくなる傾向が見られた.また,確率的揺らぎが小さいときに,少数のノードによってMajor Copplexが形成されやすいということが分かった.一方で,確率的揺らぎが大きい状況では,ネットワーク全体がMajor Complexになりやすく,さらにその傾向はループにフラストレーションが存在することによって強化された。数値実験を通して,適度な確率的揺らぎが存在する状況において,big phi の値が最大になりうることが観察された.
 これらの結果は,大脳半球の接続のように,ふたつのサブネットワークがわずかな接続でつながっている場合において,ネットワーク全体がMajor Complex になる(システム全体で意識が統合される)ためには,ある程度の確率的揺らぎやノード数が偶数のループが必要であることを示唆しているのかもしれない(当然、そのように結論付けるためには更なる検証が必要ではある).