祈祷治療


■シャーマンや呪術師は病気の原因を探したり、病気を「治療」したりするが、その方法にはさまざまなものがある。薬草などを処方する場合もあるし、直接「手かざし」のような方法をとることもある。

■なぜ、治る(あるいは、治ったような気になる)のか?

・因果関係の誤認→自然に治癒した原因を治療儀礼に帰属させる(悪化した場合には「好転反応」と捉えると、どんな場合でも説明でき、反証不能になる)
・象徴的効果 efficacité symbolique 、プラセボ効果 placebo effect→治療儀礼や、それ自体は薬効を持たない薬草が痛みを軽減させたり、自然治癒力を引き出したりする
・薬草などの薬効による治癒
・「気」のような物理的作用による治癒

※平等主義的な社会では、妬みにもとづく呪いが病気の原因とされることが多い。富を所有する者が病気になった場合、その原因を呪いであると解釈することによって、結果的に社会的平等が実現される。

■「気」のような作用が存在するとしたら、その正体は何か?

・電磁気的な作用(赤外線、磁気など)
・PK(psychokinesis)→メカニズム不明。量子論的な効果か?

■メカニズムはともかくとして、「手かざし」の実験には有意な結果が得られているものもある。(これは特定の宗教団体の教義を特権化するものではない。)

■PKの実験としては、はじめサイコロ投げ実験などが行われていたが、現在では量子力学的なメカニズムで乱数を発生させる乱数発生器(RNG: Random Number GeneratorまたはREG: Random Event Generator)が使われており、二分の一の確率で「表」か「裏」が出るという実験系で50.02%の結果が得られている。

※「念力」でスプーンを曲げれば「超常現象」だと考えられ、「筋力」でスプーンを曲げれば「通常現象」だと考えられるが、じつはどちらも「超常現象」とは考えられないか。つまり、どちらも心が物質に作用しているという点では同じだとはいえないか。

2007/2550-11-29 改訂 蛭川立