フォトレタッチの基本


 

■フォトレタッチソフト

フォトレタッチソフトにもいろいろあるが、もっともよく使われているのはAdobe社のPhotoshop。Windowsの世界ではPaintShopもよく使われてきた。利用者は少ないとはいえ、機能のわりには安価である。Photoshopもプロ仕様のCSは高価だが、アマチュア仕様のElementsは安価で、ふつうに使うだけなら十分な機能がある。

Webサイト作成ソフトとセットになったフォトレタッチソフトもある。MacromediaのDreamweaverとペアになっているのがFireworksで、IBMホームページビルダーにも画像・動画製作用ツールが付属している。

いずれも学割があるし、試用期間限定で無料のお試し版もある。

■アプリケーションの使いかた

このサイトではPhotoshop CSの使い方を中心に進めていくが、どのソフトでも基本的な使い方はそう違わない。マニュアル本が一冊手元にあると便利。本がなくてもヘルプ機能が役に立つ【ヘルプ→使い方】。またインターネット上の掲示板では(平均的な信頼性は劣るが)インタラクティヴに使用法についての質問や情報交換もできる。

■なんのために写真に手を加えるのか?

あまりきれいに撮れていない写真を修正してきれいにするのが第一の目的だが、修正による改善には限度がある。その他、パソコン(とくにネット上)で扱うには重すぎる画像は適切なサイズまで縮小・圧縮する必要がある。写真に説明などを書き加えることもできる。

■作業の前に・・・

いろいろな機能があるが最初から全部覚える必要はない。多数の機能があっても、必要性が高いものは少ない。

プルダウンメニューから選ぶ方法以外に、パレットやショートカットで操作する方法もあるが、それも徐々に使い慣れれば良い。

デジカメの画像はパソコンで扱うには大きすぎる場合が多いのだが、表示画像の大きさは【ビュー→ズームイン、ズームアウト】で調整できる。(マウスのホイールでも拡大・縮小ができる。)ただし、表示サイズの見かけ上の変更と実際のサイズ変更は別であることに注意。

なお、操作を間違えてもあわてることはない。【編集→取り消し、一段階戻る】で元の状態に戻すことができることを知っておけば安心。

■フォトレタッチの流れ

画像ファイルの準備 (フィルムやプリントされた写真の場合はスキャン)
・画像の傾きやゆがみの修正、トリミング
・反射やゴミなどの修正
・明るさや色合いの調整 (必要に応じて特殊効果を加える)
・画像サイズの決定 (必要に応じてサムネイルをつくる)
・シャープネスの調整
・必要なファイル形式で保存 (圧縮する場合が多い)

■画像の傾きを調整する

【イメージ→カンバスの回転】で、画像を任意の角度に回転させることができる。(だから、縦構図で写真を撮っても構わない。)すこし傾いた写真については、自動補正もできる【ファイル→自動処理→角度補正して切り抜き】が、すべてそれでうまく行くとはかぎらない。微妙な傾きの調整は、あらかじめ、【ものさしツール】(スポイトの背後に隠れていることもある)を使って水平にしたい部分の角度を測ってから角度補正をすると確実。

写真をわざと斜めにするのも味があるし、写真をいったん斜めに回転させた後で長方形に切り抜き、また逆回転させて元に戻すといったテクニックもある。

■画像のゆがみを取る

・線形のゆがみ(斜めから撮った写真など)・・・【選択範囲→すべてを選択】の後【編集→変形】でいろいろな変形ができる。台形補正の場合は【遠近法】を使う。(この操作を見越して、フラッシュの反射を抑えるため、わざと斜めから撮るという方法もある。)【回転】を使うと選択範囲だけを回転させることができる。

・非線形のゆがみ(樽型収差/糸巻型収差)・・・広角レンズで撮った写真は樽型収差が目立つ。【フィルタ→変形→球面】であるていどは補正できる。わざと収差を強調しても面白い写真になる。この種のゆがみを避けたければ、望遠レンズで遠くから撮ること。

■必要な部分を切り取る(トリミング)

【選択ツール】で切り取りたい範囲を指定し、コピー&ペーストして新しい画像ファイルを作るか、【トリミングツール】で必要な部分を指定し、ダブルクリックすると切り抜ける。サイズ変更は画像の修正をした後のほうがいい。ケラレの修正にも使える。ふつうは長方形・正方形だが、特定の形や対象の輪郭を切り抜くこともできる。

■反射やゴミなどの修正

画像をピクセルが見える程度まで拡大して、【スポイトツール】で適当な色を選択し、細いエアブラシで塗りつぶしていくことで、ある程度はごまかすことができる。(ブラシは一回塗るごとに一作業になるので逆戻りが難しくなることに注意。)【スタンプツール】の場合、適当な場所を(Alt/Optionキーで)選択して塗りつぶすと、塗りつぶすほうの動きにあわせて元の選択した場所も移動するので、グラデーションのある塗りつぶしができる。【修復ブラシツール】はスタンプツールよりもさらに進化した機能。

■明るさや色合いの修正

最初期のカラー画像は、RGB各色1ビットずつで3ビット8色しか出せなかった。今でもこれを基本8色という。現在主流のTrueColorでは、それぞれのピクセルがRGB各色8ビット256色ずつからなり、全体で16777216色を表示することができる。

■カラー画像の三つの基本パラメータ

【イメージ→色調補正】には、いろいろなメニューがありすぎて書ききれない(覚えきれない)し、同じ作業を行うのに複数の操作があったりして錯綜しているが、基本的に三種類に分類できる。

・明度 (Lightness)・・・明るさと明暗のコントラスト。【自動レベル補正】でうまく行かない場合は、マニュアルで調整する。【明るさ・コントラスト】で全体の明るさを調整できるが、【レベル補正】のヒストグラムを使うと明るさの分布を見ながら細かい調整ができる。これは「線型」の調整だが、【トーンカーブ】を使うとさらに特殊な「非線型」の調整ができる。

※写真の中で、真っ暗になってしまったり、白く飛んでしまった部分の明るさだけを修正するために、PhotoshopCSでは【色調補正→シャドウ・ハイライト】という機能が追加されている。

・彩度 (Saturation)・・・色彩コントラスト。【自動コントラスト補正】でうまく行かない場合は、マニュアルで調整する。【色相・彩度】で、明度、彩度、色相のすべてが調整できる。「色彩の統一」にチェックを入れた後で、意図的に彩度を下げるとセピア色や白黒の写真が作れ、【二階調化】はまた別の独特の効果を出せる。彩度を下げる前に【フィルタ→ノイズ】でノイズを入れておくと、よりレトロな雰囲気になる。 【バリエーション】機能でも彩度を調整できる。

・色相 (Hue)・・・色合い。カラーバランス。【自動カラー補正】でうまく行かない場合は、【カラーバランス】か【色相・彩度】で調整する。Photoshopの【バリエーション】機能は便利。変化量は連続的に決められるが、小さめにしておいたほうが微調整はしやすい。色温度の補正には、銀塩時代にはフィルターを使っていたが、デジタル写真はカラーバランスの調整で対応できる。Paintshopには色温度で補正できる機能もある。

※小型デジカメの中には独特の不自然な発色をするものがある。単純に色が濃すぎる場合は彩度を下げる。空が水色っぽすぎたり、木の葉が黄色っぽくなる場合は、黄色の要素を減らす。赤がどぎつすぎる場合は、赤の要素を減らす。

■その他の特殊効果

【フィルタ】メニューの中に、たくさんの特殊効果フィルタがあるが、ふつうに写真を修整するだけなら、あまり使う必要はない。プレビューしながらいろいろ試してみると、面白いものが見つかるかもしれない。

■画像サイズの変更

デジカメでとった写真はWEBサイトなどで使うには大きすぎることが多いので、縮小する。ふつうのビデオ映像の解像度が640×480ないし720×480で、これがひとつの目安になる。サイズ変更は【イメージ→画像解像度】で行なう。(変更前のpsdファイルも保存しておくのがよい。)

■ボケた画像をシャープにする

ピンぼけ写真を修正することは原理的には不可能だが、シャープネス機能であるていどはクッキリさせることができる。先に画像サイズを変更してから、【フィルタ→シャープ→アンシャープマスク】を選択。シャープネスの強さは加減できる。半径を大きくするほどコントラストは強くなるが、解像度は落ちるので、低めの値が無難。閾値も0に近くしておくのがよい。

逆にピントを甘くすることは簡単で、いろいろな方法がある。ふつうにぼかすのには【フィルタ→ぼかし】を使う。【フィルタ→ノイズ】でざらつかせることもできる。

■画像の保存

作業の途中や印刷用には通常の形式で保存し、WEB上などに出す場合には最後に【ファイル→Web用に保存】で圧縮して保存する。圧縮率を上げるほどデータは軽くなるが画像は粗くなる。写真の場合はJPEG形式で30ぐらいが標準だが、実際には画面上でプレビューして画像とサイズを確かめながら作業する。

※WEBページなどに写真を貼り付ける場合、【選択範囲→境界をぼかす】で境界をぼかして切り取ると、柔らかな感じになる。





 

 

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(2006/2549-05-22 更新 蛭川 立