マルチメディア系アプリケーション −どれを使う?−

ようするに、どのアプリケーションを使って作業すればいいのか?

大学の教室や実習室のパソコンにはいろいろなアプリケーションが入っているが、原則として同じ目的のアプリケーションは一種類ずつ入っている。どのメーカーの製品にするのかは今までの前例や価格などで決まっており、必ずしも高性能ないし多くの人が使用していソフトであるとは限らない。

もし自分でもパソコンを持っているなら、それを使って授業の予習や復習もしたいものではあるが、必ずしも自分のパソコンに授業で使っているのと同じソフトが入っているわけではない。とはいえ、アプリケーションも個人で買うにはちょっと値が張るのも事実である。

ただし、学生の場合はアカデミックパック、つまり学割で買えることが多いので、その特権を行使しない手はない。たいがいは店頭で学生証を見せれば割り引いてもらえるが、あらかじめ特定の書類を用意する必要がある場合もある。

裏ワザとしては、それぞれのアプリケーションのWEBサイトから試用版を(一ヶ月などの期間限定版の場合は時期を見きわめて!)ダウンロードして使うという手もある。(もちろんこれは自分のパソコンにインストールするのであって勝手に大学の機械に入れていけない。)

その他、フリーウエアやシェアウエアの中にもなかなか高性能のアプリケーションがあるのでそのようなものをWEB上でこまめに探すのもいいかもしれない。

■Webサイト編集ソフト(HTMLエディタ)

なにかというとMicrosoftのOffice系アプリケーションが独占状態にある今の世の中だが、Office系のFrontpageは意外にあまり使われていない。(ちなみにWordなど他の目的に使うソフトからHTMLファイルを作ることもできるが、コードが複雑奇怪になって、後で修正するのが困難になることが多々あるのであまりお勧めできない)
プロの人はMacromediaのDreamweaverを、アマチュアの人はIBMのホームページビルダーを使うことが多いようである。ホームページビルダーは一見、初心者向けのオモチャのように見えるが、意外に高度な機能もしっかりカバーしている。また「おまけ」がたくさんついていたり、親切な機能も満載だが、親切すぎてかえって煩いところもある。
AdobeのGoLiveは、Adobe系の定番グラフィックソフトとの相性は良いが、グラフィックソフト自体と比べるとあまり使われていない。しかし、Adobe社がMacromedia社を買収したので、そう遠くない将来、Dreamweaverと合体して最強のHTMLエディタに進化するかもしれない。
明治大学の情報教室では、ホームページビルダーが採用されている。ただし和泉のメディア棟には、Adobeのアプリケーションセット、Creative Suiteが台数限定で導入され、その中にはGoLive CSが入っている。

授業では、ホームページビルダー(和泉はVer.7、駿河台はVer.8)を主に使い、GoLive CSと、大学の機械には入っていないが、Dreamweaver8についてもすこしとり上げることにしたい。

■グラフィックソフト(フォトレタッチなど)・動画編集ソフト

AdobeのPhotoshopIllustratorPremiereが、それぞれビットマップ系グラフィック、ベクトル系グラフィック、動画編集ソフトの定番となっている。PhotoshopとPremiereはさらにCS、Proと付くプロ仕様と、Elementsというアマチュア仕様の二種類に分化しており、とくに高度なことをしないのなら、後者のほうがずっとお買い得感がある。

Macromedia系だとDreamweaverの相棒であるFireworksというグラフィックソフトもある。これも意外に使われていないが、いずれPhotoshopと統合される可能性もある。ホームページビルダーにもウェブアートデザイナーというグラフィックソフトがついている。

Windows XPの場合、Windowsムービーメーカーというソフトが標準で入っており、簡単な編集ならこれだけで充分に使える。ただもともとのver.1は性能的にやや不十分であり、より機能の高度なver.2はマイクロソフト社のサイトからダウンロードできる。たしかに動画編集専用ソフトよりも低機能だが、あまり複雑な編集をしないのならかえってシンプルで使いやすい。

またホームページビルダーにはウェブビデオスタジオという、ムービーメーカーよりは多少性能の高い動画編集編集ソフトがオマケで付属している。

QuickTimeはQT形式はもちろん、第三世代携帯電話の動画形式などを通常のアプリケーションで編集可能にするのに使える。ただしプレーヤーは無料でダウンロードできるが書き出し可能なQuickTime Proは有料。

明治大学の情報教室では、静止画用にはCorelのPaint Shop Proが採用されている。これは、ビットマップ系とベクトル系の両方を統合したアプリケーションで、機能の割にはお買い得である。また、和泉のメディア棟に台数限定で入っているCreative Suiteの中に、Photoshop CSと、Illustrator CSが入っていて、さらにそれとは別に、Photoshop Elementsも入っている。(ややこしい。)
授業では、静止画の処理にはPaint Shop Pro 9と、和泉ではPhotoshop Elementsも使い、動画の処理にはWindowsムービーメーカーVer.2と、駿河台ではPremiere 6.5を使用する予定。

※DTM・DAWソフト(参考までに)

学部間共通授業でとくに音声情報論という授業はないのだが、動画は画像というよりはマルチメディア情報でありすでに音声情報を含んでいる。参考までに音声(とくに音楽)を専門に扱うアプリケーションを挙げておく。

統合的なDAWソフトとしてはSTEINBERGのCubase(機能が高い順にSX, SL, SE)とRolandのSONAR(機能が高い順にProducer Edition, Studio Edition)の二つがプロフェッショナルユースでは定番とされている。

日本製のものとしてよく使われているものにSingerSongWriter(機能が高い順にVX, (無印)、Lite)があり、前二者がプロユースで値段も高いのに対し、SSWは敷居が低く値段も安いため、日本国内ではもっとも多くのユーザーに使われている。鼻歌などのやや不安定な音声データをMIDIデータに変換してくれたり、携帯電話の着メロ作成機能などの面白い機能もついている。しかし敷居が低いとはいえ、一番機能の多いVS(Virtual Studio)はプロ仕様の前二者の機能限定版とほぼ同じぐらいの性能が(値段も)ある。

※FTPソフト

FTPソフトは単純な機能なのでフリーウエアやシェアウエアがたくさんあり、それで充分。またWEBサイト作成ソフトの中にもFTP機能は含まれている。明治大学の情報教室では以前はWS FTPを使っていたが、現在はFFFTPを使っている。

(2548/2005-12-19 更新 蛭川立)