音声情報処理とDTM(デスクトップミュージック)



■コンピュータでは画像情報と同じように音声の情報も扱うことができる。動画の中には音声も含まれている。

 音声の素材と編集

■音声情報を処理するためには、まず素材が必要。素材を用意するための方法としては、第一に、音を録音して音声ファイルにするという方法があるが、音楽の場合には楽譜を組み立てて音を作っていくという方法がある。この場合、データはMIDI(Musical Instruments Digital Interface)(*.mid)という、コンピュータ用に規格化された楽譜形式のファイルで保存される。

■MIDIのファイルを作る方法としては、DTM(Desk Top Music)、DAW(Digital Audio Workstation)と呼ばれるような音楽編集用アプリケーションを使い、MIDIのデータを直接打ち込んでいくか、ないしは外部にキーボードなどの電子楽器を接続し、それを演奏することでデータを作成する。この場合、コンピュータと外部の楽器はMIDIのインターフェイスで接続される。 MIDIインターフェースは以前はPCIカードで増設するのが普通だったが、最近はIEEE1394. USB(2.0)経由で使えるようになってきた。

■MIDI形式の利点は、音声ファイルそのものよりもファイルサイズがはるかに小さくて済むということと、音楽として編集するのが容易であること。しかし逆に楽譜ではあらわせないような複雑な音は扱うことができない。

※音声ファイル、MIDIファイルともにフリーの素材を使用することもできる。

 音声の出力と公表

■動画と同様に、音声ファイルも未圧縮のデータ(Windowsの場合は、*.wav)を圧縮して公表する。音声の圧縮形式としては、動画のMPEG-1に由来するMP3形式(*.mp3)、Windows Media形式に由来するWindows Media Audio形式(*.wma)のほかに、MPEG-2に由来するAAC(Advanced Audio Coding)形式(*.aac)がAppleのiPod、iTunesに採用されたことから注目されるようになってきている。

■もとがMIDI形式の場合は、再生する側もMIDIに対応していれば、そのままMIDI形式で音声データを公表することもできるが、より一般的にCDやDVDに焼いたり、WEBサイト上にアップしたりする場合には、やはり上記のような音声ファイルに戻して圧縮することになる。

 DTM用のアプリケーションソフト

■もともとDTMのアプリケーションといえばMIDIのデータを編集する機能が主であったが、近年では音声データとMIDI形式のデータをまとめて扱えるDAWソフトがよく使われるようになってきている。

■オーディオデータは音そのものだが、MIDIは「楽譜」であり、データ容量がずっと少なくてすむ。しかしパソコンが高性能化するにつれ、音そのものも充分に扱えるようになってきた。(動画と比べるとはるかに低スペックのパソコンで充分。)そこでMIDIを扱うソフトと音そのものを扱うソフトの差が少なくなり、統合的なソフトが育ってきた。

■統合的なDAWソフトとしてはSTEINBERGのCubase(機能が高い順にSX, SL, SE(今のところ単独では売っていない))とCAKEWALKのSONAR(機能が高い順にProducer Edition, Studio Edition)の二つがプロフェッショナルユースでは定番とされる。

■日本製のものとしてよく使われているものにSingerSongWriter(機能が高い順にVX, (無印)、Lite)があり、前二者がプロユースで値段も高いのに対し、SSWは敷居が低くホビーユースで値段も安いため、日本国内ではもっとも多くのユーザーに使われている。鼻歌などのやや不安定な音声データをMIDIデータに変換してくれたり、携帯電話の着メロ作成機能などの面白い機能もついている。しかしホビーユース的とはいえ、一番機能の多いVS(Virtual Studio)はプロ仕様の前二者の機能限定版とほぼ同じぐらいの性能が(値段も)ある。