理工学部 物理学科 量子固体物性研究室



実験設備
























 A502号室には遷移金属酸化物の試料を合成するための実験装置群を設置しています。また、A109号室には合成した試料の質を評価するためのX線回折装置と磁化率・比熱・誘電率・電気抵抗などの基本物理量を測定するための実験装置群を設置しています。超低温での物性実験や強磁場下での物性実験、中性子線や放射光を用いた実験は、学外の研究施設にある装置をお借りして実験します。


  • 試料合成用の実験装置



  A502号室に設置された電気炉群(10台以上あります)

 高温電気炉

1600℃まで昇温可能な電気炉です。
1400
℃から1600℃の温度域で試料を合成したいときに使用します。

卓上高温電気炉

1400℃まで昇温可能な電気炉です。
1150
℃から1400℃の温度域で試料を合成したいときに使用します。

卓上電気炉

1150
℃までの温度域で試料を合成したい時に使用する汎用の電気炉です。
現在、
7台保有しており、多結晶試料の合成、flux法による単結晶合成、Floating Zone法(FZ法)による単結晶育成の際に用いる試料ロッドの合成などに用います。 
管状電気炉

アルゴンガスやヘリウムガス(希ガス)を流せば不活性雰囲気、水素ガスや窒素ガスを流せば還元雰囲気、酸素ガスを流せば酸化雰囲気、と流すガスを変えることで、試料合成時の雰囲気を制御することが出来ます。

試料成型用のプレス機

最大10トンまでの力を加えることが出来る手動のプレス機です。
粉末試料をペレット状(錠剤状)やロッド状(棒状)に押し固めることが出来ます。

赤外線加熱炉(Floating Zone法による単結晶育成炉)

ハロゲンランプからでる赤外線を楕円体ミラーで一点に集光し、試料ロッドの一部を溶融させます。楕円体ミラーをゆっくり上昇させると溶融していた試料が少しずつ凝固していき単結晶が育成されます。2100℃まで昇温させることができ、人工のルビーを作ることも出来ます。




  • 基本的な物理量を測定するための実験装置
 物性測定システム

無冷媒型の超伝導マグネットを用いて最大9T(テスラ)までの高磁場中で、1.9Kから400Kまでの比熱・ホール係数・電気抵抗・誘電率を、および1.9Kから800Kまでの磁化率を全自動で測定する実験装置です。

 低温測定用のトップロード式冷凍機

冷凍機により1.5Kから300Kまで試料の温度を制御することができます。物性測定装置と組み合わせて、誘電率・強誘電分極・電気抵抗などの各種物理量の低温実験を行うことができます。

 高温測定用の卓上管状炉

管状炉により300Kから800K(527℃)まで試料の温度を制御することができます。下記の測定装置と組み合わせて、高温の各種物性測定が行えます。

  誘電率および強誘電分極測定システム


上記のトップロード式冷凍機を使用して1.5
Kから300Kまでの誘電率および強誘電分極の測定を行えます。




  • 量子ビーム(エックス線や中性子線)を用いた実験
 
学内実験施設≫ 試料評価用のエックス線回折装置
 A109号室にあるエックス線装置 D2 Phaser(ブルカージャパン株式会社)および、RINT1200(株式会社リガク)を用いてエックス線回折実験を行います。試料にエックス線を照射し、回折パターンを測定することで、合成した試料にどのような化合物が含まれているか、またどのような結晶構造を持っているかを知ることが出来ます。


D2 Phaser



RINT1200


 ≪学外実験施設
 大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設
(茨城県東海村)での中性子散乱実験
 巨大な加速器を用いて陽子を光速近くまで加速し水銀原子に衝突させると、水銀原子核が破砕され中性子が飛び出てきます。この中性子を利用して世界最高クラスの強力な中性子ビームによる散乱実験を行います。核スピンをもつ中性子を試料に照射して、散乱される様子を調べれば、原子配列や原子の動き、さらにはスピンの配列やスピンダイナミクスといった物質内部の様子が原子レベルでわかります。特に中性子散乱は、磁性体におけるスピン配列の情報を直接取り出すことが出来る唯一かつ強力な実験手段です。

 日本原子力研究開発機構(JAEA)にある研究用の原子炉JRR-3
(茨城県東海村)での中性子散乱実験
 原子炉を使いウランが核分裂する際に放出する中性子を取り出して、実験に適したエネルギーに制御した中性子ビームを試料に照射し、中性子散乱実験を行います(現在、停止中)。J-PARCとは中性子ビームの特質が異なっています。J-PARCでは約0.1ミリ秒以下の極めて短時間に強力な中性子が発生する”パルス中性子”に対し、JRR-3は時間に依らず中性子が連続的に発生し続ける”定常中性子”となっており、両施設ともビーム特性を最大限生かして、異なる手法で中性子散乱実験を行うことが出来ます。

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