●文献データの採集(その2)

 文献データ採集(その1)でとったデータを、例えば、ワープロのデータ
 として、必要に応じて検索して利用する、というのも一つの方法ですが、
 せっかくだから、エクセルのファイルとして利用するというのも一つの手
 です。

 そう考えると、データを取る時点で、エクセルを利用して、エクセルに直
 接打ち込むということが、まず考えられる選択です。

 そうすると、その1で打ち込んだデータは、次のような姿になります。

 表記  読み  実例  作者  資料  年代  底本  文脈
旅人 たびうと こんや泊{とま}つた【旅人{たびうと}】のこりは、余程{よほど}の物と見へます。 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-2 発話、女房→亭主
どふぞ どうぞ 【どふぞ】わすれて置{を}けはよいといへば 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-3 発話、女房→亭主
よふ よう ヲヽよい工面{くめん}が有る。何でもむせふにめうがをくわせて見【よふ】 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-5 発話、亭主→女房
ける けり 汁{しる}も菜{さい}も皆{みな}茗荷{めうが}だくさんに入れてふる廻{まい}【ける】 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-6
はたご はたご ヲヽサ。【はたご】をわすれて、はらわずにいにおつた。 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-9 発話、亭主→女房

【表1】

 エクセルに直接打ち込んでいけば、まったく同じものとなる「作者」・「年代」は、
 そのままコピーすればいいですし、一部が異なるだけの「資料」・「底本」もコピ
 ーして少し改変すればよいことになります。

 エクセルのデータにすることでもっとも便利なことは、並べ替えたり、抜き出したり
 することがかなり容易になるということです。例えば、上のデータを、「読み」で並
 べかえると、次のようになります(具体的には、並べ替える範囲をドラッグ→エク
 セルの「データ」→「並べ替え」→「最優先されるキー」にCを設定→「OK」の順で
 実行します)。

 表記  読み  実例  作者  資料  年代  資料  文脈
ける けり 汁{しる}も菜{さい}も皆{みな}茗荷{めうが}だくさんに入れてふる廻{まい}【ける】 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-6
旅人 たびうと こんや泊{とま}つた【旅人{たびうと}】のこりは、余程{よほど}の物と見へます。 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-2 発話、女房→亭主
どふぞ どうぞ 【どふぞ】わすれて置{を}けはよいといへば 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-3 発話、女房→亭主
はたご はたご ヲヽサ。【はたご】をわすれて、はらわずにいにおつた。 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-9 発話、亭主→女房
よふ よう ヲヽよい工面{くめん}が有る。何でもむせふにめうがをくわせて見【よふ】 不知足散人序 『聞上手 二編』茗荷 1773 噺本大系9、167-5 発話、亭主→女房


 上の表1が50音順に変換されたさまが、見て取れることと思います。たった5件だ
 と、あまりありがたみがないかもしれませんが、データ件数が、50になり、100に
 なり、500になり… ということになると、そのありがたみが分かってくるのではな
 いかと思います。