●面接調査

調査方法のうちの、面接調査について述べます。

面接調査は、インフォーマントに直接対面して(通常は、一対一で行ないますが、
対話を調査したいときなどは、複数のインフォーマントに対することもあります)、
調査する側が、さまざまな問いかけをしながら、情報を得ていくというものです。

時間はかかりますが、それだけにきめの細かい情報を得ることが可能です(逆に
言えば、せっかく面接調査をしながら、アンケートに答えれば済むような調査をし
ては失敗だということです)。

音韻の調査(発音・アクセント)は、実際の発音やアクセントを聞かなければなり
ませんから、音韻の調査では、面接調査が不可欠のものとなります。この場合、
テープレコーダーなどを用いて、録音することも必要です。

また、例えば、「「箸」のアクセントはどうなりますか?」などと、調査者のほうから、
聞きたい言葉のアクセントを発音してしまいますと、その発音の影響で、インフォー
マントの回答も微妙に異なってしまいます。ですからこの場合は、「ご飯を食べると
きに利き手に持って、食べ物をはさむ二本の棒を何と言いますか?」などと、なぞな
ぞ式で尋ねます。こうすれば、調査者の側の干渉がない状態で、「ハシ」を発音して
もらえます。また、言葉で説明するよりも、絵を描いて尋ねたほうが分かりやすい場
合もあります。「箸」などは、絵を描いたほうが分かりやすいかもしれません。

さらに、面接調査では、言葉を使用する際の感覚や意識を直接尋ねることもできま
す。例えば、「箸」と「端」を発音してもらったあと(もちろん、なぞなぞ利用で)、「二つ
の発音は違いますか?」などと尋ねることができます。類義語の微妙なニュアンスな
どについても、インフォーマント本人から聞くことができます。