●データを集める

テーマが決まり、どのような方針で研究を進めていくかがあらかた決
まってきたら、データ収集の具体的方法を考えることになります。

データ収集の方法は、大きく三つに分けられます。
 1)面接調査
 2)アンケート調査
 3)文献調査
です。

1)と2)は、現代共通語研究や方言(地域語)研究で用いられるもので、
3)は、現代語から古代語にいたる、あらゆる時代の研究で用いられる
ものです。1)と2)は、生きている人間を相手にした調査ですから、古代
語の研究では用いることができないことは言うまでもありません(できた
らどんなにいいことか)。

1)と2)は、言語の使用実態と意識を尋ねることができます。3)は、意識
そのものを述べた文献(例えば随筆)からであれば、意識を汲み取ること
はできますが、基本的には、使用実態を知るだけです。

1)は、実際に調査の相手(インフォーマントと呼ばれます)の目の前で調
査を行ないますが、2)は必ずしもインフォーマントの目の前で調査を行な
うわけではありません。誰かに調査を依頼したり、通信によって調査を行
なうこともありえます。3)では、文献(本)が調査の中心になりますが、近
代以降の映像資料および録音資料もこの中に含めて考えることができま
す。

1)は、調査する側がインフォーマントと一対一で調査を行ないますから、
調査効率の点では、かなり悪いことになりますが、その代わり、疑問に思
ったことは、すぐその場で尋ねたりすることもできますし、その時の表情や
態度といったものも貴重な情報となります。2)は、一度に大量のデータを
集めることができるという点で、調査効率はいいのですが、一つ一つのデ
ータの特徴や信頼性に充分注意する必要があります。要するに、1)は質
にすぐれ、2)は量にすぐれていると言えます。3)も、調査する側が地道に
文献を読み進めていくという点では、調査効率はよくないのですが、最近
は、電子ファイルを利用して、調査効率を高めることができるようにもなっ
ています。