●「子供の頃から、本が好きで…」

 夏休みも終わり、大学は後期授業が始まりました。ということは、後期の
 入学試験シーズンも始まったということです。まず始めは、推薦入学試験
 ということになりますね。

 推薦入学試験で、まず聞く(聞かれる)のは、「どうして、この大学に入り
 たいと思ったか」というのが定番のようになっています。あるいは、「なぜ、
 この学部(文学部)を選んだのですか?」のように。

 そのとき、まさに、定番のように返ってくるのは、「子供の頃から本が好きで、
 中学(高校)のときの国語の先生がとても素晴らしく、自分もああいうふう
 になりたいと思って…」という言葉です。その言葉にうそがあるはずはない
 のですが、ただ、それは誰でも思っていることであるということを知っておく
 のもいいかと思います。

 「そう、本が好きなのですか? で、最近どういうものを読みましたか?」と
 尋ねると、「漱石の「こころ」です」「そう、何で読みましたか?」「教科書で
 す」「教科書は一部しか載っていませんが、全部読みましたか?」「いえ、ち
 ょっと時間が無くて…」などという応対が続くことがあります。「本が好き」な
 はずなのになあ、と思います。

 教科書に採られている「こころ」の前の部分にどういうことがあったのだろう
 か、この教科書の部分の後にも物語は続くのだろうか、などということは気
 にならないのかなあ、などとも思います。本当に本が好きなら、寝るひまも
 なく読みふけってしまうのではないのかなあ、読み始めたらどうしても止ま
 らないこともあるはずなのになあ、と考えはどんどん広がっていきます。

 ですから、「こころ」は文庫本で全部読みました、という返答がかえってくる
 と、ほっとします。そして、さらに、「では、ほかに面白かった本は?」と続く
 ことになります。

 そして、さらに、書かれた小論文を見ながら、話が展開していきますが、小
 論文の言葉づかいについて、最近、現役の高校の先生が作ったサイトが
 ありますので、それも参考にして下さい。

 http://members2.jcom.home.ne.jp/amei/ ←ここです