シラバス 

前期シラバス

導入
授業履修・評価方法について〜経営史分析の方法〜
@ケースの処理を将来のそれぞれの企業における operationに生かす=図上演習(ノートパソコンなどで経営分析を側面から支援=持ち込み可)、商品開発戦略、世界戦略、生産戦略、財務戦略、経営危機回避(リスクマネジメント)、市場の激変への対応(ダメージコントロール)
Aケースを具体的に読み込むことで将来のシステム建設のコンセプトを設計する(それぞれの個人的な「生きざま」設計と社会構築)

第一セメスター・世界と日本の経済、流通、企業システムの相違

T.各国経営の比較分析@アメリカ企業(1)
Case GM・・・アメリカの経営の歴史と現状分析〜アメリカビッグビジネスの誕生とその従業員政策=フォードのシステム〜GMの変革=サターンの新戦略、では、テーラリズムやフォーディズムは、グローバルスタンダードなのか、あるいは、アメリカの自動車企業の特殊な歴史的条件が生んだものなのか。

T.各国経営の比較分析Aアメリカ企業(2)
日本に固有の規制、それは、企業の自主的な国家機関化=渋沢栄一の作った日本企業=「国益私益の一致」、「道徳経済合一説」
これに対して「資本主義企業」本来の像=アメリカの経営?
Case LBO・・・どの国の民法(商法)でも企業は人の所有物、それは、「プリティウーマン」?

 T.各国経営の比較分析Bイギリス企業(1)
それでは、資本主義の本家、イギリスはどのような経営がノーマル?
家族(個人)資本主義の伝統=取引所経済・・・ロイズ・・・ニュースステーションからの報告
大企業でもprivate company、パートナーシップ、それは、エディ・マーフィーの「大逆転」?

 T.各国経営の比較分析Cイギリス社会(2)
イギリスパートナーシップの再生産=階級(資本家・経営者・労働者)の再生産構造の定着=階層間移動の微弱性=専門教育システム
イートン高校と我が母校との差違・・・Case ケムブリッジ
日本の現代企業と欧米企業との比較により日本の企業は特殊であることを確認

 T.各国経営の比較分析Dまとめ
アメリカのWASP、ヨーロッパの家構造=男性優位(男尊女卑)、全体に日本の伝統(母系社会、女性の財産相続権確立社会)と大きく異なった世界での資本主義、市民社会、企業の発達→日本とアメリカ・イギリスの企業社会の構造を大きく異ならしめた計画経済(対社会)と生活空間としての存在(対地域)
問題の所在=この特徴の源流=江戸時代の企業、例えば、三井の場合

第一セメスター試験実施・Case M自動車1999年、フルライン生産システムから脱却せよ。ラインシェイプアップのための販売実績ポートフォリオ分析
第一セメスターの評価・・・第二セメスター受講許可者発表/ ・今年までは、このようなセメスターごとの評価によって、進級する仕組みは稼動させません。しかし、6月14日午前零時締め切りのメールによる本ケースの処理が適当になされているか、どうかは、前期の基礎ポイントにとって重要な要素となります。後期の試験は自分の基礎ポイントを考えて、配点の異なる試験問題を選択し、それぞれが目的の評価を受ける仕組みとなりました。ただし、就職活動中の四年生に対しては、このようなシステムの適応が難しい場合があると思います。そこで、前期分ポイントシステムに代替する夏のレポートを差し上げます。続けてこのページの更新によって情報を得てください。


第二セメスター・日本企業のパフォーマンスの形成=日本企業も戦前では、欧米型のグローバルスタンダードを採っていたこと。無批判的グローバルスタンダード直輸入の功罪・・・どちらかというと、それは日本の社会システムにとっては、マイナスであったこと。

 U.日本企業の西洋化@
民法諸関係法の施行(私有、私の物という考え方の輸入)、階級身分の輸入(工場の中の身分の変化)、火葬禁止令が出たり、鹿鳴館で踊ってみたり、結婚後、苗字を一つにする変な風習が来日、席巻。

 U.日本企業の西洋化A
「私の企業」、「私の学校」の成立=日本における異常な事態の出現、私立で始まった東京高商が官立に、官金で運営していた「東京大学」が今の日大になったこと、明治法律学校を卒業するとき、東大の試験で合格しなくてはならなかったこと、最後まで自分の学校が私立か公立か分からなかったK大学のこと。
異常な事態に応じた企業行動の成立=M&Aの横行(払い下げや、買収)

 V.日本企業の源流
本来の(native)日本企業のあり方は?それは、歴史的に創出された
江戸時代三井の社会的存在基盤とその構造、公私混同の論理世界、きわめて日本的な存在規定の稼働、三井=現在の日銀と大蔵省の合同体でありながら、三井家の構造、経営体としての構造、トップは従業員の代表である重き手代(重役?)Case 安永持ち分け一件

 W.システム転換の必然性
Case 三野村改革の行き着く所=戦後民主主義下の現代企業or社会主義企業としての三井?
その崩壊=財閥の限界=日本の西洋化の限界、矛盾の爆発=1930年前後
改革への必然性成立、「日本人はいつまでたっても西洋人にはならない」、という先進的な仮説の提示は、軍部と官僚によって主導された。

第二セメスター試験実施・・・Case 三井物産第一次大戦バブル終了直後の事業再構築・リストラクチャリング、あなたは、大戦終了間近の至急電報(タイセンシュソクチカシ、テモチヒンハスベテショブンスベシ)を受けたら、何に着手しますか?変動費分析(直接費と間接費)を通じて、事業の革新に着手せよ。

第二セメスターの評価・・・第三セメスター受講許可者発表
Teaching Evaluation

(著作制作任天堂)

後期シラバス

第三セメスター・江戸時代までに形作られてきた日本社会のシステムにとって、明治時代に急激に導入された欧米型グローバルスタンダードは日本経済発展の桎梏となっていた。それは、早急に払拭されるべきメカニズムであった。そして、それが払拭された時、日本的経営は発生した。現在の日本的経営、その危機とその打開策の模索
戦前型日本資本主義の崩壊、戦後型日本資本主義の登場と成功
戦時計画経済が作った戦後日本型経済・企業システム、官民一体、メインバンク、企業別組合はどのようにして作られたのか?

W.戦後日本型企業システムの形成@ 戦時中、戦後の動き
メインバンク・内部昇進重役・三種の神器の登場・・・1943年軍需会社法の成立
軍需会社指定金融機関制度などの影響、財閥解体の影響、乗っ取りブームと旧財閥の動き、NHK「ピータータスカの株の戦後史」1、Case 陽和不動産事件、三菱銀行頭取のあなたは乗っ取りを許すか?

W.日本型企業システムの形成A 保護規制下の戦後復興
マルクス主義経済政策による復興。企業の国家服従全盛時代
独自技術の開発〜国産セダン開発の動き、トヨタ、日産
トヨタクラウン、日産ブルーバード開発、その時、官庁はどのように企業を指導したのか

 W.日本型企業システムの形成B 高度経済成長・規制全盛時代
高度経済成長(非輸出大国化)・・・団地が生んだ高成長=3Cなどの購買力検証
ゆがめられた自然・・・公害の蔓延、官僚のコンビナート論
成長のプロセス、その一環にアジアへの賠償(現物)・・・アジア市場化の原型、保護規制の解除と日本企業
保護規制の解除、1貿易自由化、2資本自由化と企業・・世界一企業の育成、政治的M&A

 X.低成長時代の日本企業@ 
マイコン商品による技術開発〜排ガス規制のクリア
アメリカへの大量輸出時代、ようやく輸出大国日本の登場
貿易摩擦の時代
ハードからソフト技術への日本企業の変身

 X.低成長時代の日本企業A
低成長中の成長
CI活動の成功例=朝日麦酒→アサヒビール、Case Xビール1983年
ドライ市場を開拓せよ。CIの目的とその達成・製品開発戦略の考案
ドライ市場全盛段階の麦酒市場、バドワイザー東京支社長のあなたはどのように商品マーケティングを展開しますか?

 Y.現代の日本企業@ バブルの発生
なぜ、先進五カ国蔵相会議は1985年、初めて公開されたのか?
ニューヨーク・プラザホテルでの合意とは?
政策協調=内政干渉、発生メカニズム、バブルストップへのアメリカの圧力

Y.現代の日本企業A 日米構造協議・・・市場開放内需拡大プレッシャーの中
Case N天堂
日米構造協議による大店法改正、問屋さんたちに可愛がられて育ったN天堂社長のあなた、トイザラス日本進出に際しての直販要求に応じることができますか?
流通機構・ロジスティック戦略の考案

 Y.現代の日本企業A バブルの結果
円高最高潮
産業の空洞化と金融不安・・・シフト先経済の混乱、インフレの問題
産業の専業化、Case 1993年F社パソコン製造会議、今、どのようにパソコンを作るか、社内技術(製品)か、スタンダード(海外製品)か?
グローバルソーシング戦略の現段階

 Y.現代の日本企業B 技術立国
自然との共存、ヨーロッパ企業の実績
アジア市場の拡大と日本企業の対応
Case M商事エネルギー事業部長、「規制」が(京都会議が)ビジネスを「作る」・・・新商品・排出権取引の市場を発掘せよ。

 Y.現代の日本企業C 企業倫理と新製品開発戦略
デフレ下の現代日本企業の実態・企業倫理
Case 株式会社H・依存症と事故、嗜好者(マーケット)の縮小をくい止めろ。いま、パチンコメーカーがなすべき事は何か?

第三セメスター試験・・・学年末試験、Case JT社の生き残り戦略をたてよ等を予定。

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連絡先情報 なお、メールによるQ&Aなどは、まだ開始しません。開始できる状況になったら、おしらせします。

電子メール アドレス
w_zemi@isc.meiji.ac.jp

Web アドレス
http://www.isc.ac.jp/"w_zemi


参照文献

 

参照文献

本講義では諸文献を参照しているが、多く引用した専門書及び、あまり専門的でなく、比較的安価に入手できる文献を以下に掲げる。

ジャンル1.「世界の経営体」
小林章夫『イギリス貴族』講談社現代文庫
竹内洋『パブリックスクール』講談社現代文庫
松井和夫『M&A』講談社現代文庫
木村尚三郎『家族の時代〜ヨーロッパと日本〜』新潮選書
横井勝彦『大英帝国の死の商人』講談社
鯖田豊之『ヨーロッパ中世』河出書房
〃   『火葬の文化』新潮選書
内藤則邦『イギリスの労働者階級』東洋経済
藤原正彦『遥かなるケンブリッジ』新潮文庫
横山三四郎『ロスチャイルド家』講談社
D.ウィルソン『ロスチャイルド』上下、新潮文庫
フレデリック・モートン『ロスチャイルド王国』新潮選書
ロン・チャーナウ『モルガン家』上下、日本経済新聞社
間 宏『イギリスの社会と労使関係』日本労働協会
ロナルド・ドーア『貿易摩擦の社会学』岩波新書
この他、Lloyd's ロイズ関係の図書が図書館に複数ある。

ジャンル2.「日本的経営の発生・成立」
網野善彦『日本論の視座』小学館文庫
ノエル・ペリン『鉄砲を捨てた日本人』中公文庫
由井常彦・ヒルシェマイヤー『日本の経営発展』東洋経済
斉藤修『商家の世界・裏店の世界』リブロポート
安岡重明『財閥の経営史』社会思想社文庫
〃   『三井財閥』日本経済新聞社
森川英正『日本経営史』日経文庫
由井常彦編『安田財閥』日本経済新聞社
邦光史郎『三井王国』上・下、集英社文庫
横山源之助『明治富豪史』現代教養文庫
中井信彦『町人』小学館文庫
浅田毅衛編著『殖産興業政策の軌跡 改訂版』白桃書房
辻達也『江戸時代を考える』中公新書
神坂次郎『元禄お畳奉行の日記』中公新書
佐藤雅美『幕末「住友」参謀』講談社文庫
*(三菱、三井、住友、あるいは、財閥全般には多くの文献が簡単に手に入る)
              

              享保期越後屋(現三越)店頭(三井文庫所蔵)

ジャンル3.「資本主義確立期の企業と国家・戦後経済発展」
橋本寿朗他『日本経済の発展と企業集団』東大出版
橋本寿朗、由井常彦『革新の経営史』有斐閣
柴垣和夫『三井・三菱の百年』中公新書
奥村宏『三菱』現代教養文庫
小野ヨーコ『ただの私』(女の愛読書フェア)講談社文庫
岡崎哲二他『現代日本経済システムの源流』日本経済新聞社
佐口和郎『日本における産業民主主義の前提』東大出版
江戸英雄『三井と歩んだ70年』朝日文庫
小島直記『三井物産初代社長』中公文庫
長井実編『自叙益田孝翁伝』中公文庫
木村昌人『渋沢栄一』中公新書
桂芳男『幻の総合商社鈴木商店』現代教養文庫
長幸男『昭和恐慌』岩波新書
豊田譲『飛行機王中島知久平』講談社文庫
御田重宝『戦艦大和の建造』講談社文庫
キリンビール『ビールと日本人』河出文庫
上之郷利昭『西武王国』講談社文庫
東大社研『現代日本社会』4「歴史的前提」、東大出版
アル・アレツアウザー『ザ・ハウス・オブ・ノムラ』新潮文庫
粟田房穂・高成田亨『ディズニーランドの経済学』朝日文庫
中川端造『海軍技術研究所』講談社文庫
石原莞爾『最終戦争論・戦争史大観』中公文庫
芝垣和夫『昭和の歴史9.講話から高度成長へ』小学館文庫
原彬久『岸信介』岩波新書
    

朝日麦酒社最初のラベル(アサヒビール社所蔵)
ジャンル4.「日本的経営と他国との総括的比較」
鈴木良隆編著『経営史』有斐閣
奥村宏『新版法人資本主義の構造』現代教養文庫
〃 『株とは何か』朝日文庫
〃  『買い占め・乗っ取り・TOB』朝日文庫
山本七平『日本資本主義の精神』光文社文庫
ロナルド・ドーア『イギリスの工場・日本の工場』
小池和夫『日本の雇用システム』東洋経済
熊沢誠『新版日本の労働者像』ちくま学芸文庫
〃  『日本的経営の明暗』筑摩書房
三戸公『公と私』未来社
栗田健『日本の労働社会』東大出版

ジャンル5.「情報流通交通史」
児玉幸多編『日本交通史』吉川弘文館
石井寛治『情報通信の社会史』有斐閣
吉見俊哉『「声」の資本主義』講談社メチエ
ジョアンナ・ヌーマン『情報革命という神話』柏書房

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著作権情報
最終更新日 : 1999/04/08