目次
Case GM
市場の状況
事業再構築・製品の定義づけ
競合
歴史的問題点
労働慣行を打破せよ!
新製品
販売促進
広告
その他の販売促進
価格設定
流通
縦割り市場/セグメント
海外
成果の判定
1999年の日本自動車業界
今回統合を決めたのは「パルサー」 などを含むサニー系乗用車 (全世界で年産60万台弱) と 「プリメーラ」, 「アルティマ」などを加えたブルーバード系乗用車 (同50万台弱) で, 合計の年間生産台数は現時点で100万台強。一部を除いて日産の排気量2000cc以下のすべての車が対象となります。 日産自動車が2000年をメドに進めている派生モデルを含めると,日産が全世界で生産する完成車の4割近くの車体が対象になるといわれます。国際競争力の強化を目指しての車体の共通化ですが,日産のように量産モデルの統合までふみこむのは異例といわれています。 共通車台の採用で,それぞれのモデルを開発する際の手間やコストを大幅に軽減できる。量産もできるため,年間で数百億円規模の製造原価の削減につながると試算されています。とくに, 生産台数が限られる海外生産拠点での合理化効果が大きくなります。 英国工場では2000年から新たにパルサーを生産する計画となつており,すでに生産しているプリメーラと合わせて量産効果を追求できると見ています。すでに米ビッグスリーや独フォルクスワーゲンなど世界の大手は2000年までに車台の大幅な統合,削減を実現する計画でその具体化を急いでいます。小型乗用車の分野で国際競争に残るには,1つの車台当たり年間百万台以上の生産台数が必要になるとの試算もあるといわれます。
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自動車のアルミ化は強度の問題などから長い間21世紀の技術領域として語られてきました。本田がいち早く独創的方法で未踏の領域に達しつつあるのは,創造性を失った企業は滅びるという, 創業者精神が代々うけ継がれてきたからといえそうです。
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自動車メーカーの競争が激しくなるにつれ,部品メーカーによる納入方式や形態も変わりつつあります。 本田技研工業は99年から,自動車部品の一部をメーカー1社に,世界的規模で全量発注する購買方式を導入します。「四極連結ベストソーシング」 と称され, 発注をうけた部品メーカーは,シビックを生産する日・米・欧・アジアの本田の生産拠点すべてに部品を供給します。それまで本田の部品調達は各拠点の裁量に任せていましたが,自動車メーカー各社の開発期間短縮への取り組みが活発化しており,部品業務が順調にありながら従来手法では新車開発のスピードアップが難しく,調達コストの削減も進みづらかったようです。 日産自動車も99年からヘッドランプその他について全量を1社に発注することを決めています。ただ自動車の国境をこえた発注や生産が拡大しつつある場合,部品メーカーや受注を取得することは世界的規模での発注・生産体制が不可欠となるため,欧米の部品メーカーとの提携など新たな対応が必要になると見られています。
大手自動車メーカーによる部品のモジュール化納入も増えてきました。とくに欧米系の自動車部品メーカーの対日攻勢をきっかけに,国内のメーカーも取引先部品各社と共同でモジュール化への取組みを強化し始めました。日本勢は個別の部品自体は競争力があるので,海外のモジュール・アッセンブラーに十分対処できるとしているが,問題はそう簡単でないようです。部品の複雑化が進めば最終的なモジュールを組み上げるモジュール・アッセンブラー (一次メーカー) の役割が拡大, 他の部品メーカーの下請けに回るケースもでてきそうです。
「同期生産方式」と呼ばれる独自の生産方式で,顧客の受注台数に応じて各工場がジャスト・イン・タイム方式で必要量の部品を調達する。納車時期の順に製造ラインに載せたエンジンや変速機などの主要部品や車両を順序を変えずに完成,出荷する仕組みです。余分な部品在庫を抱えずにすみ,ラインの運用の乱れを防ぎ,工数削減やリードタイム短縮などの効果も見込めるといわれます。今後3年間は工場のライン運用でのコスト削減をめざす。今後3年間に国内7工場へ展開する。 この秋には米国,メキシコ,欧州の生産拠点のエンジンや車両の組立てラインからもモデルを選択して,同様の生産管理を促進する。こうして内外ともに何れの生産拠点でも,系列部品メーカーなども巻きこんだ取り組みを強化します。 親会社が系列企業の選別を強める一方では,系列企業の親離れも進んでいます。系列関係が最も強烈とされたトヨタ自動車でも例外ではない。 東京,関東, 関西の3地区にそれぞれある協力会の「協力会」 を, 1999年に1つの組織に統合する,明確な入会基準はなかったが,4月から年間取引額が10億円を超える企業は国内外を問わず加盟できることになりました。取引がほとんどなくなった企業は退会。 「日本は育てる文化, 米国は選ぶ文化」といわれているが, 海外展開が進み,国際競争が厳しくなるにつれ, トヨタも「選んで育てる」 方式に移りつつあります。
アメリカの自動車業界では長年,部品の内製が常態でしたが, ここ数年アウトソーシングと称して外注化の方向を辿り,部品事業部を分離独立させています。 これらのメーカーが日本の自動車メーカーの協力会入りを狙っているようです。 トヨタ自動車は欧州でも部品企業の育成に意欲的です。トヨタの英生産会社 (TMUK) が納入部品メーカーに呼びかける形式で具体化しましたが英国を中心とする欧州の主要部品納入メーカー24社でスタートします。 欧州の自動車メーカーも最近複数の部品メーカーを競わせる従来のやり方を改め,特殊部品メーカーと長期的な関係を築く方向に動き始めているようです。国境をこえて安全や環境対策で協調を深めることが謳われていますが,このような形で業界の再編成が進められていくことだけは確かなようです。 自動車の環境問題といえば走行中の燃費向上や廃車のリサイクルが中心だが,製造工程でも環境への負荷を減らそうという試みは,本田技研工業 (鈴鹿製作所) の新型焼却炉です。汚泥や廃油, 廃液,紙くずなど工場内出たゴミはすべて工場内で処理し,燃えかすも路盤材やセメントなどに再利用する。焼却炉から出るダイオキシンの量も抑えたほか,焼却熱で発生させた蒸気を自動車の製造工程で使う省エネもついています。
ゴミの発生量そのものも抑える。 97 年度に本田の国内6工場がでたゴミは 18 万7,000トンで,うち89%はリサイクルに回したという。 二酸化炭素 (CO2) の排出抑制につながる省エネは,電力消費の削減が柱になります。 たとえばドア枠を黒く塗装するのをやめて黒色のテープを張ることで,塗装室の空調や乾燥のたの電力が節約できました。車体の溶接個所も車種によつては120カ所から80カ所以下に減らす計画です。 部品をトラックで運びこむ回数を減らすため,今年8月には大半の部品で 「ジャスト・イン・タイム」方式をやめる。以前は部品メーカーが工場周辺の倉庫にいつたん運び,そこから必要な部品を必要な時間に工場に納入いていたため,大きな荷台に少量の部品を積み,それこそ空気を運ぶようなものでした。5年程前から部品メーカーが一日分の部品をまとめて工場に運び入れる方式をとり始めました。かつては1日に5,000回もトラックが来ていたのが,この8月に50回に減るという。 同社では,こうした環境関連の技術をまず日本で熟成させたうえで,世界の生産拠点に展開したいと意欲的です。
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