禁忌の兵器:パーリア・ウェポンの系譜学
(榎本珠良編、日本経済評論社、2020年)

  • 概 要

    軍備管理・軍縮や国際人道法と呼ばれる分野の先行研究には、この分野における議論や施策を基礎づける概念枠組みを批判的に考察する研究が極めて少ない。 本書は、歴史学、法学、安全保障研究・国際関係論の研究者による学際的・国際的な共同研究を通じて、この分野の議論や施策の発想や概念枠組み自体の自明性を問い直す試みである。

    ダムダム弾、攻撃的兵器、大量破壊兵器、地雷、クラスター弾など、特定の兵器をタブー視する近現代の発想や概念は、いかに構築され変容したのか。 本書は、各時代の特定の兵器を「パーリア」(他の兵器に比べて特段に憎悪すべき存在)と捉えて他の兵器から切り分ける発想や、それを基礎づける概念枠組みの構築と変遷の歴史を紐解いていく。

    ■ 本書が基づくプロジェクトについては、こちらのページをご覧くださいblank icon
  • 目 次
    • 序 章パーリア・ウェポンの系譜学(榎本 珠良)
    • 第1章国際法学者の失敗―古典的戦争法における未完のプロジェクトとしての兵器違法化―(ミロシュ・ヴェッツ)
      • コラム1ダムダム弾―「文明」と「野蛮」の境界―(竹内 真人)
      • コラム2いまだ存在しない兵器の禁止―化学兵器・生物兵器の事例―(榎本 珠良)
    • 第2章戦間期のイギリス軍縮政策と質的軍縮論―「攻撃的兵器」の規制をめぐって―(松永 友有)
    • 第3章イギリスを中心とした戦間期の空爆禁止議論 (小谷 賢)
      • コラム3戦間期イギリスにおける重戦車開発―潰えた大型陸上軍艦の夢―(山下 雄司)
    • 第4章「大量破壊兵器」概念の歴史化(イド・オレン、タイ・ソロモン)
    • 第5章戦略的なタブー―化学兵器とアメリカ外交政策―(ミシェル・ベントリー)
    • 第6章特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の成立過程―軍事大国と弱小国の相克と妥協―(岩本 誠吾)
    • 第7章「地雷危機」の構築と地雷のパーリア化―開発と安全保障の融合の時代―(榎本 珠良)
      • コラム4「自律型致死兵器システム」(LAWS)の禁止論と交渉の展望(佐藤丙午・森山隆)
      • コラム5「殺人ドローン」と呼ばれる武装無人航空機をめぐる議論の現状(森山隆)
    • 終 章「パーリア・ウェポン」研究とその課題(榎本珠良)
    • あとがき
    • 国際合意文書一覧
    • 索引
    • 英文目次