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国際ワークショップ「イギリスの戦車生産と戦時経済 1937-1945年」

概要

このたび、Benjamin Coombs氏(元ケント大学助教)をお呼びして研究会を開催する運びとなりました。

クーム氏はイギリスにおける戦車生産に関する研究を、British Tank Production and War Economy, 1934-1945として2013年に上梓し、艦艇や航空機に比して圧倒的に研究蓄積が少ない戦車開発・生産研究に一石を投じました。年度末のお忙しい時期かとは思いますが、奮ってご参加願えれば幸甚に存じます。

日時

2017年3月8日(水)14:00開始

場所

明治大学グローバルフロント17階 C6会議室

101-8301 東京都千代田区神田駿河台1-1

司会

山下雄司(日大経済学部、言語は基本的に英語)

テーマ

クームの近著(British Tank Production and War Economy, 1934-1945)のエッセンスについてお話します。

戦車に関する概観

戦車は、構造上、エンジン(航空機・自動車エンジンとの関連)、懸架装置、火砲、車体・砲塔素材(特殊鋼生産・鋳造能力・リベットから溶接へ)の複合体であり、各国の当時の産業能力を凝縮した兵器でした。

周知のように、戦車は第一次世界大戦の新兵器として登場し、縦深構造を持つ塹壕線を切り開くために利用されましたが、当初は決して大きな成果を挙げたとは言えませんでした。とはいえ、192~30年代の予算制約下においても各国陸軍の近代化(機械化・機甲化)のなかで基礎研究が進められていきます。

しかし、その歩みは1930年代半ば以降と比べ遅々たるものであったことは言うまでもありません。とりわけ、当該時期のドイツにおいてはトラクターとして秘密研究が進められていましたが、これらの蓄積は後のポーランド侵攻や対仏戦等で利用された初期の主力戦車(一号・二号戦車)へと継承され、さらに、ドイツ軍の電撃戦に代表される戦車・航空機・歩兵の連携による攻撃の成功は、他国の戦車への認識を大きく変えていきました。

各国の戦車運用は、それぞれの軍事ドクトリンの相異により同列に扱うことは難しいですが、イギリスにおいては、当初より歩兵戦車と巡航戦車に区分され、第二次世界大戦中にドイツ(ソ連・アメリカ)戦車の急速な性能上昇に対抗するために生産能力・設計思想が大きく変容しました。しかし、これらの国に対して常に後手に回っていたとも言えます。

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