概 要
本書のテーマは、軍民転用、武器移転、技術移転、兵器国産化などの視点より、航空機産業の世界的転回の実態とそこに通底する論理を解明することにある。扱う時代は、両大戦間の軍縮期、再軍備期、第二次世界大戦期、さらには戦後の冷戦期までのほぼ半世紀に及ぶ。この半世紀の間に軍用機を中心とした航空機の生産国とその輸入国は大きく増加した。本書では、日本、ドイツ、アメリカ、ブラジル、カナダ、インドを対象として、航空機産業がどのようなかたちで航空戦力の拡大と拡散をもたらしたのかを追究している。
目 次
序章(横井 勝彦)
第Ⅰ部 両大戦間期
第1章 日本における陸軍航空の形成(鈴木 淳)
第2章 日本海軍における航空機生産体制の形成と特徴(千田 武志)
第3章 ドイツ航空機産業とナチス秘密再軍備(永岑 三千輝)
第4章 ルフトハンザ航空の東アジア進出と欧亜航空公司(田嶋 信雄)
第5章 戦間期航空機産業の技術的背景と地政学的背景
-海軍航空の自立化と戦略爆撃への道-(小野塚 知二)
第Ⅱ部 第二次大戦期および戦後冷戦期
第6章 ドイツ航空機産業発展におけるアメリカ資本の役割
―ユンカース爆撃機Ju88主要サプライヤーとしての
アダム・オペル社―(西牟田 祐二)
第7章 ラテンアメリカの軍・民航空における米独の競合
―航空機産業、民間航空を中心に―(高田 馨里)
第8章 戦前・戦後カナダ航空機産業の形成と発展(福士 純)
第9章 戦後冷戦下のインドにおける航空機産業の自立化(横井 勝彦)