メディアコミュニケーション論ゼミの概要 by 竹下俊郎
●メディアコミュニケーションとは
1.メディエイティッド・コミュニケーション
ゼミのテーマは便宜上「メディアコミュニケーション」論となっています。英語でも media &
communicationと表記されることがあります。しかし、テーマ本来の意図するところを正確に述べるなら、mediated
communication(媒介されたコミュニケーション)と表記すべきかもしれません。
コミュニケーションを媒介する道具ないしは技術手段が「メディア」です。メディアを使うことで、われわれは地理的・時間的制約を超えて、さまざまな人と意思を伝え合うことが可能となりました。しかし同時に、メディアを介して他者と相互作用をすることで(メディアを介してしか相互作用できないことで)、いろいろな問題も生じます。
このゼミでは、現代社会におけるメディアコミュニケーションの意味について考えます。
2.研究の中心はマスメディア
メディアコミュニケーションといっても、原始的なものから高度な技術手段を駆使するものまで、私的な性格を持つものから公的な性格を持つものまで、現実には多種多様なものが存在します。しかし、本ゼミでの研究の中心はテレビや新聞といった「マスメディア」であり、それが担っているところの「マスコミュニケーション」です。私の一番の関心がそこにあるということもありますが、しかし、それだけではありません。
マスコミュニケーションは現代社会を成り立たせている精神的基盤の重要な要素です。マスメディアは、われわれに代わってわれわれの現実を構成し、社会成員の共通認識を生み出しています。それは単なる技術手段というよりも、技術を核とし多様な専門家の力を結集した一種の社会システムとして稼働しています。
こうしたマスメディアの仕組みや役割を理解することは、現代社会のあり方を理解することにもつながります。本ゼミではとくに、政治や経済現象とマスメディアとの関連について追究します。
3.多様なメディアの連携が社会現象を生み出す
近年の情報技術の発達により、これまでマスメディアと呼ばれてきたものも、従来よりもはるかに多様化しています(テレビの多チャンネル化はその一例です)。同時に、新しいパーソナルメディアやグループメディアがどんどん登場しています。そして、これらのメディアが相互に関連しながら、政治の領域でも経済の領域でも、さまざまな大衆現象や流行現象が発生しています。
異なるレベルのメディアコミュニケーションがどう連鎖しながら社会に影響を与えているかを探ることも、今後の重要な研究課題です。
●ゼミの進め方
3年次の前期においては、基礎的なテキストを決め、ゼミ員が交替でレポートし、その後全体で議論を行ないます。後期は、原則として、各人の関心の応じた文献の講読や発表をすすめ、年度の終わりにはしかるべき分量のレポートを提出します。
4年次は、卒論作成の指導を中心に行ないます。 論文の書き方についても指導します。論文執筆は自己のプレゼンテーション能力を鍛える格好の手段です。社会生活のなかで、自分をいかにアピールするか、他者をいかに論理的に説得できるか、その技量を学ぶという点でも将来必ず役に立つものです。
※なお、勉強のいわば“とっかかり”として、年度ごとに特定の研究テーマを掲げることがあります。たとえば、「テレビの将来」(99年度)、「説得的コミュニケーション」(00年度)、「インターネットのコミュニケーション」(01年度) など。2004年度は「世論とメディア」にする予定です。ただし、卒論執筆の際にそのテーマに拘束されることはありません。
●最後に、こんな学生を歓迎します
本ゼミは次の4点に共感できる学生を歓迎します。
@ たえず好奇心をとぎすましていること。
A 世の「権威」を鵜呑みにしないこと。
B いちど捉えた問題はとことん追究すること。
C 時間を守ること。