3.3.1 普及率

 普及率に関するコメントは地方政治の世界が情報化の過渡期に入りつつあることを示していた。「まだまだ地方では一般に普及してない状態です」、「インターネットの利用者の絶対数が、当地では少ないと思います」という発言の他方で、「私どものような田舎でも、予想以上のインターネット利用者が多いことに驚きました」という発言があった。これには地域間による格差、各議員の地域での知名度なども影響するかもしれない。全体として普及率が低いことを意味するコメントが多く、「ホームページを持ったと言う話題性はありました」という発言はこれを象徴する。

 これについて次の発言は一つの予見性を示していて興味深い。「投票行動はHPを見て決めた、という方は少ないでしょう。とくに地方選挙では。それでもメゲずに発信しています。HPを開いていること自体がステータス、という段階です。いずれ、ヘタなHPは落選につながる、という日も来るでしょう」。

 どのような場合でもそうであるが、先行集団には予測される事態に対する危機意識がある。既に政治家のHPを評価する動きがある以上、今後、HPがないということは評価対象にすらならないことを意味している。実際、「今時、若手の政治家でホームページなりメールアドレスを持っていなければ、それだけで有権者からは一つのネガティブ評価になると思います」との発言は、ビジネスの世界でも四、五年前には持たれていた認識ではないだろうか。