3.3 ITにより政治活動はどう変化したか

 「政治活動」がどのような活動を意味するかには幅がある。主に議会活動、選挙活動、日常的な地域活動、政党などの組織活動の四つが想定されるが、例えば地域とは無縁な議会活動とか、議会活動と離れた選挙活動というものは想像しにくいように、個々の活動の間での区分というものは明確ではない。この点は今後の調査における一つの課題ではあるが、そもそもこの先駆者集団においてインターネットがどの活動において、どのような意味を持っているのかは事前の予想が困難なため、敢えて漠然とした問いとすることで、四つの活動におけるインターネットの役割の比重を模索してみることとした。

 設問に対する回答の全体的な傾向を示したのが表Vである。政治活動の変化については変化したがやや上回るものの、数値上は、むしろ二分しているという結果になっている。両設問ともに「どちらともいえない」には、政治家になる前からHPを持っていたり、ITを身近なものとしていた人が含まれる。記述内容全般でみてゆくと、先の情報収集に関する設問については、主に議会活動、組織活動に関わる点から回答が寄せられていたが、この設問では地域活動を意識した回答が多くなっている。地域と密着した活動ではインターネットが活動に与えた影響については、大幅に評価が下がるということになろう。このことは大多数の回答者がインターネットは選挙の支持拡大には効果がないと回答している点からも裏付けられる。

 しかし、インターネットがなかったとしても困ることはないというような代替可能性を肯定する見解は6件と極めて少ない。インターネットがなければどうだったと思うかというこの設問は、IT導入の前後で政治活動がどう変化したかを際立たせることを意図した設問であった。つまり、政治活動にとってITに代替し得るものがある(つまり、従来通り)のか、ないのかということである。しかし、この当初の意図に対し、回答数(77件、59.2%)そのものが低い結果となった。活動の変化についての設問と一緒になってしまったために回答率が下がったことも理由の一つかもしれない。しかし、現時点において@議員においてはIT導入の期間が短い、A有権者の中でのIT普及率が未だに低い、ということからこれを判断するだけの材料が被験者の中に少ない、というのが大きな理由である。

 次に、発言の諸類型に触れてみることにしよう。