現在、米軍基地は日本だけでなく世界各国に存在する。 1996年においては日本以外に、韓国、ドイツ、イギリス、イタリア、オーストラリア、 パナマ、スペイン、トルコ、ベルギー、ギリシャ、アイスランド、オランダ、キューバ、 ポルトガル、ディエゴガルシア、ホンジュラス、バーレーンなど世界各国に存在している。 1991年に基地賃貸期限が終わり、今は米軍基地がないフィリピンのような国もある。
そして米軍基地がある各国の基地周辺住民が受ける弊害を見れば、程度の差こそあるが、 他の国も騒音、退廃、核放射能漏出の危険など、ほとんど似通った弊害を負っている。
フィリピン米軍基地は植民地時代以降、約100年に渡って米軍基地があり、沖縄の米軍基地と共に 、冷戦期のアメリカの重要な軍事拠点であった。ベトナム戦争や湾岸戦争の際にも利用された。 日本と同様に米軍基地は地元の人々に職場をもたらし、そして犯罪、事故、騒音、環境汚染など 様々な問題ももたらした。こうした米軍基地に対し、フィリピンの人々は根強い運動をし、 冷戦の崩壊や91年のピナツボ火山の噴火などで、両国は米軍基地の撤去に合意した。
その後、フィリピン政府は基地跡の経済開発を進めた。代表的な基地であるスービック海軍基地 は大工業・リゾート地帯に姿を変え、クラーク空軍基地はその広さと空港設備を利用し、アジア 太平洋のハブ空港を目指し開発が進められている。
しかし米軍基地がなくなり外国企業なども進出し産業も発展しているが、問題も数多く続いている。 米軍人と現地女性の間に生まれた子(アメラジアン)の問題、米軍が放置していった有害科学物質 や核物質の問題、現地住民の生活・雇用の問題、さらには大企業優先の基地跡利用に対する反対運動も起こっているのである。