アチソン国務長官のナショナル・プレスクラブ演説
1950年1月12日(抜粋)


  ……太平洋地域の軍事的安全保障はどのような状況にあるのだろうか、またこれに関するアメリカの政策はいかなるものなのだろうか。まず第一に、日本を打倒し非武装化したことにより、アメリカは自国の安全保障や全太平洋地域の安全保障ばかりでなく、日本の安全保障のためにも、必要とあらば日本を軍事防衛する義務を負っている。(略)  (日本防衛のための)この防衛線は、アリューシャン列島に沿って日本、そして沖縄に到るものである。アメリカは、この沖縄に重要な軍事基地を維持しており、将来にわたって維持してゆくつもりである。(略)この防衛線は沖縄からきらにフィリピンに伸びている。太平洋のその他の地域の軍事的安全保障に関しては、誰も軍事的攻撃からこれら地域を防衛すると保障できないのは明白である。しかし、(もし保障したとしても)そのような保障というのは実際の国家関係においては、あまり賢明でもないし必要なことでもない。  万一そのような攻撃がなされたとしたら−どの国がそのような軍事攻撃を行う可能性があるか言いにくいが」−まず頼るべきは、攻撃を受けてそれに抵抗する国民であり、しかる後に初めて頼りにすべきなのが、侵略から独立を守ろうとする国民によって今までのところ頼りがいがないとは思われていない国連の国連憲章に基づく文明世界全体の参加なのである。


出所) 『国際政治ハンドブック』、119ページ。 原典;“Relations of the Peoples of the United States and the Peoples of Asia−We can only help where we are wanted,”Vital Speeches of the Day,February1,1950,City News Publishing Co.


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