聯合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令(勅令第311号)
第一条 左の罪に係る事件については、公訴は、これを行はない。
一 聯合国人(法人を含む)の犯した罪
二 聯合国占領軍、その将兵又は聯合国占領軍に附属し、若しくは随伴する者の安全に対し有害な行為
三 聯合国占領軍の将兵又は聯合国占領軍に附属し、若しくは随伴する者を殺害する行為及びこれらの者に対する暴行行為
四 削除
五 聯合国占領軍又は聯合国最高司令官若しくは権限あるその部下の指示に従ふ者によつて捜索されてゐる人の逮捕を妨げ、又はこれらの者によつて拘禁されてゐる人の逃走を容易ならしめる行為
六 聯合国占領軍の将兵又は聯合国占領軍に附属し、若しくは随伴する者の職務に関して、これらの者に妨害を加へ、これらの者の要求する情報の提供を拒絶し、これらの者に対し口頭若しくは文書で虚偽の若しくは誤解を招くやうな申述をし、又は方法の如何を問はずこれらの者を欺罔する行為
七 聯合国最高司令官によつて、又はその命令に基いて解散され、又は非合法と宣言された団体の為にし、又はこれを支援する行為
八 前各号の行為について共謀し、又は教唆し、若しくは幇助する行為
第二条 前条の罪を除く外、占領目的に有害な行為から成る事件については、公訴は、これを行はなければならない。
2 前項の事件についての公訴は、特定の事件について、その裁判管轄が聯合国軍事占領裁判所に移された場合においてのみ、これを取消すことができる。
3 この勅令において、占領目的に有害な行為といふのは、聯合国最高司令官の日本帝国政府に対する指令の趣旨に反する行為、その指令を施行するために、聯合国占領軍の軍、軍団又は師団の各司令官の発する命令の趣旨に反する行為及びその指令を履行するために、日本帝国政府の発する法令に違反する行為をいふのである。
第三条 監獄の長は、聯合国軍事占領裁判所の指示があつた場合には、その指定した者を、監獄に拘禁し、又は労役場に留置しなければならない。
2 前項の規定により拘禁され、又は留置された者については、指示の趣旨による外、監獄法を準用する。
第四条 この勅令に違反した者及び占領目的に有害な行為をした者は、これを十年以下の懲役若しくは七万五千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
2 前項の者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
3 前二項の規定は、聯合国最高司令官の指令又はその指令を履行するために、日本帝国政府が発する法令に特別の定のある場合には、これを適用しない。