日本人編 4


  1. 民主々義無産党結成宣言 1946.1.21
  2. 多賀城海軍工廠の物資不正処分の告発 1946.2.10
  3. 進駐、選挙、教育等についての提言 1946.1.5
  4. 朝鮮引揚者共助会□□支部代表 植民者の弁 1946.2
  5. 閣下を千代田城に御迎へ致し度存じます 1946.1.30


1946年1月21日
西田大作 大分県佐伯市
民主々義無産党結成宣言

 挙国決戦遂ニ終結ヲ告グ皇国ノ勝敗我ニ利アラズ七千万余ノ同胞ハ悲嘆ノ中ニ雄々シクモ明日ノ日本ヲ憂ヒ茲ニ一大決意ヲ持シ恨讐ヲ踏ミ越ヘ新日本建設ニ有史最高ノ文化ヲ想像シ人類ノ威厳ヲ顕彰セントシテ茲ニ其ノ第一歩ヲ踏ム我等国民ハ敗戦ノ所以ヲ究明シ以テ君民一如ノ国体ヲ護持シ而シテ新日本建設ノ大業ヲ成就シ世界平和ノ進運ニ寄與セントスルノデアル
 顧レバ畏モ明治天皇陛下ノ国民ニ下シ賜ハリシ教育勅語ハ我ガ国民政治ノ原理トシテ指導セラレ永ク日本国体ニ永遠ノ生命ヲ與ヘ給フ然ルニ近時国内ノ綱紀ハ全ク破レタリ是即チ一部ノ軍閥官僚ニ依リ政治ノ特権ヲ独占セラレ上ヲ欺キ下ヲ抑制シタル所以ニシテ遂ニハ立憲政治ノ胎動ヲ紊シ之ガ補弼ノ道ヲ失フニ至ル茲ニ列国ノ軽蔑ヲ招クニ至レリ我等ハ立ツ斯ル旧来ノ陋習ヲ打破シ正義人道ヲ践ミ虚偽ヲ去ツテ実務ニ就キ新日本建設ノ一歩タラン事ヲ望ム而シテ自由ノ生活ヲ昂揚シ国家建設ノ道ハ只民衆ノ相違ヲ啓発スルニアリ以テ国民生活ノ道ヲ拓キ而シテ政治経済教育ノ自由活動ヲ増長セシメ人類平和ヲ計ルコトコソ我等理性ノ条件ナリ茲ニ民衆自由ノ体制ヲ確立シ以テ国民福祉ヲ増進セシメ世界共存共栄ヲ計ルハ素ヨリ我等ノ堅持セル主張ニシテ之ガ実現ニハ完全ナル立憲政治確立ヲ期セネバナラヌ
 今ヤ国家空前ノ危機ニ会シ静カニ国家将来を回想セバ悲絶痛絶切をノ感ニ堪ヘズ故ニ個々人ノ理性二訴ヘ我等ノ同志ヲ天下ニ募り茲ニ我等ハ民主無産党ヲ結成ス
 宜敷ク諸士国家再建ノ道ヲ開キ世界ノ進運ニ貢献センコトヲ期ス所以デアル

主義綱領

 

発起人 西田大作
責任者 西田大作

 

民主々義無産党結成

一、党名

 本党ヲ民主々義無産党ト称ス

一、党則主義綱領

 本民主々義無産党ハ天皇護持民主々義政治内閣ヲ望ム

 本民主々義無産党ハ個人ノ人権ヲ尊重スルト共ニ社会人ノ人格ヲモ尊重ス

 <以下略>

 


1946年2月10日
○○○○○
聯合軍民間情報部ダイク大佐

 我々日本国民の尊敬する聯合軍民間情報部長ダイク大佐に申上げます。宮城県□□市□□鐵工所主、□□は去る八月一五日終戦の混乱に乗じ同地多賀城海軍工廠より馬力一五台にと毎日延四十五台づヽ四日間合計百八十台に主として非鉄金属及鉄材等の材料を同工廠勤務の職業軍人等と共謀して自分工場内に運搬し工場敷地内の防空壕内に隠して居ります我々国民の恥の上塗りをなす悪人何卒貴指令部のお力により右材料を取上げて戴き度日本の警察は無力にて我々の如き小市民には強圧を加へ何事に付け圧迫を加へる事を得意とする警察力殊に地方の警察は其の地方の有力者や顔役には全く無力にして返つて保護する如くかヽる悪事も知つて知らぬ不利するを常とします塩釜の若木も警察には相当貢物其の他の法方を講して居る様で土地の者の多くは此の事実を何故警察は取調べないのか不審に思つて居ります。何卒貴司令部の御力によつて取調べ方御願い申上ます

 


1946年1月5日

□□□ 嵩

 私は現在一農民の立場に在る者です。嘗て満州事変当時、単なる民主々義的自由主義者なる理由のもとに軍閥官僚の弾圧に遭ひ教職を奪はれた苦い経験を持つてゐる者ですが、私は当時日本の指導者階級がこんな無茶な政策を持続するならば遠からず行き詰りの惹起されるは必然で、いつかは酷く打ちのめされる時がやつて来るだらうと心ひそかに憂慮してゐた者の一人でありました。私は浅学 大、潜(僭)越ではありますが現在の日本の状態を眺め些か感じた所を率直に申述べ併せて御願ひする次第であります。何卒御賢察の程を願ひ上ます。

一、アメリカ軍の進駐について

二、戦争犯罪人について

三、総選挙期日の延期について

四、立候補者の資格吟味について

    1.  満州事変以降議員なりし者(即ち元議員、前議員を含む)は今後候補者たり得ないこと、(但し資格吟味により例外を認める)
       此点司令部の資格審査によりその当否を決定することは極めて妥当の処置と思ひます
    1.  保証金の減額
       従来の二千円を五百円程度に下げ貧民階級からも少ない経費でも容易に新人が立候補出来るやうに□□を要求します。
    1.  今後の選挙に対する戒
       新選挙によって婦人も選挙に加はることになった事は洵に意義深いことヽ思ひますが現在の状態のまゝで行はれるならば食糧事情の逼迫から極端な闇物価の横行、従って一般大衆のブローカー化を将来してゐる為、買収行為に引かヽる危険性もあり、従来の金持候補、名の知られた候補者が最も有利となり、今迄と似たかよったかの議員が多く選ばれることになりはしないかとの心配を持つものです。之を要するにその選挙を真に意義あらしめるには、どうしても旧い政治屋型の人物を排撃して、□□のかずの代議士病にかヽらない真に良心的な清新なる新人の候補者のみを認定いし、その人達によって議会を組織して明朗闊達なる運営を計ることが肝要と存じます。

五、恩給制度廃止について

六、教育者の全面的切り換について

七、今後の希望について

 最後に、私は今こそ日本が本来の姿に立ち返るべき天與の絶好のチヤンスだと思ひます。この機を逸せず凡ゆる部面の欠陥と積弊を一挙に除去、是正して世界の間に互して、真に世界平和の確立の一翼として、新日本の再建の為に日本の凡ゆる方面の諸機関がうんえいされます様閣下の一層の御援助と御監督を切望してやみません。□□□□□の折り御自愛御健闘を祈念致します。

聯合軍最高司令部
  マツクアーサー元帥閣下

 


一九四六年二月
朝鮮引揚者共助会□□支部 代表 □□□□

陳情書

 吾等ハ戦敗国ノ国民トシテ不平ナル言辞ヲ申述ブル事ハ尤モ謹ム可デ有リマスガ今迄政府ノ軍国主義ノ方針二依リテ従ヒ来タリシ無力ナル一国民トシテ公明正大ナルマッカーサー元帥閣下二対シ最大ナル敬意ヲ表シ茲ニ謹ンデ陳情ニ及ブモノナリ

 吾等ハ朝鮮国ニ三十有余年間在住シ祖先ヨリ譲受ケタル資産ヲ朝鮮国二移シ以テ之レヲ資産トシテ朝鮮文化ノ向上及産業開発二心魂ヲ投ジ今日二至ルモノナリ然ルニ今回日本人ノ引揚ニ際シ朝鮮人ノ日本人ニ対シテ暴行限リ無キ行為即チ日本人ノ衣料其ノ他動産ヲ脅迫二依ル掠奪甚ダシキニ於テハ人夫ノ分娩近キコトノ医師ノ診断有ル者二対シ即時立退ヲ命ジ、或ハ重病人二対シテモ同様立退等ヲ地方ノ自称スル警備隊或イハ自治隊員ガ恰モ軍政庁ノ命令ノ如ク振舞フ行為二対シテ応ゼザレバ暴行ノ限リヲ敢テ為スノ虐待ヲ忍ビ漸ク引揚ゲンモノニテ洵ニ遺憾二堪ヘズ左記三項ヲ以テ陳情二及ブモノナレバ何卒究情ヲ ノ調査ノ上日本人引揚者二対シ御同情ノ元二朝鮮国二来タリシ財産其ノ他二就テ正義ナル御処置ヲ乞ヒ願フモノナリ

一、農業方面一般ニ就イテ

ニ、商業方面ニ対シテハ

三、砿業方面ニ対シテハ

 以上ノ如ク朝鮮人申告ニ対シ反駁スレバ現在朝鮮国内ニ日本人ノ所有スル資産其ノ八割ヲ独占スルト朝鮮人ガ主唱シ居レ共実際ニ於テハ之ニ反シ朝鮮人ハ私有財産ハ六割以上ヲ所有スルコト明白ナリ以上陳情 特別ノ御詮議ヲ願フモノナリ


1946年1月30日

□□□□ 千葉県君津郡

謹賀新年

私は閣下の益々御健康と御幸福あられむ事を衷心より朝夕仏神 合掌御祈りをいたして居ります
 そして此事が何よりも小生には愉快で日一日と健康と幸福とが弥益して参る様で陛下よ 亦只  木更津市内に入院重体の実父を思ふ重苦しき悶へさは何時やら忘れられる程   有難く感せられます
 あヽ何と閣下の進駐せらるヽ故の幸福を寸時も忘却出来ませうや一刻も早く閣下を千代田城に御迎へ致し度存じます


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