運動と免疫

 ■白血球と運動

以下は白血球の種類(分画)と,それぞれの運動との関連性を簡単にまとめた表です。

◆1 好中球,好酸球,好塩基球
◆2 リンパ球
◆3 単球
1 好中球,好酸球,好塩基球

これらの白血球は顆粒球と呼ばれ,細胞質に殺菌作用を持つ顆粒を含んでいる。
種類(分画) 特徴 運動との関連

好中球
  • 末梢血白血球の約50〜60%を占める。
  • 貪食作用と活性酸素の殺菌作用によって侵入してきた細菌を破壊する。
  • 運動中の運動の強度に依存して増加する。
  • 中程度の運動では活性酸素産生能と貪食作用が高まり,バクテリアやウイルスを破壊する能力が増加し,強度の高い運動,長時間の運動では運動後に活性酸素産生能が抑制されるとの報告が多い。

好酸球
  • 末梢血白血球の約2〜4%を占める。
  • 貪食作用と殺菌作用によって寄生虫などの大きな対象に対して傷害性もつ。
  • 好酸球濃度は比較的軽い強度の運動では低下するが,強い強度の運動では一次的に増加する。

好塩基球
  • 末梢血白血球の約1%を占める。
  • ヒスタミンやヘパリンを含む顆粒を持つ,炎症に関系する細胞。(アレルギーなどに関係する
  • 大きな変化はない

2 リンパ球

末梢血白血球の30%〜40%を占める。非常に運動性の高い細胞である。

種類(分画)

特徴

運動との関連

ヘルパーT細胞
  • T細胞全体でリンパ球の65〜80%を占める。
  • 「自己」に対して反応しない。
  • 司令官的な役割を果たす。
  • マクロファージなどの抗原提示細胞が侵入してきた微生物の一部(抗原)を提示することにより攻撃の対象を認識する。
  • 攻撃対象の情報をB細胞に伝える。
  • キラーT細胞やNK細胞を活性化するサイトカインを放出する。
  • 運動によって血液中の濃度が高くなるが,キラーT細胞よりは高くなる程度が小さい。
  • 運動時にはマイトジェン刺激による増殖能が低下するが,これはヘルパーT細胞の比率が低下するためである。

キラーT細胞
  • T細胞全体でリンパ球の65〜80%を占める。
  • 「自己」に対して反応しない。
  • サイトカインによって傷害性を発揮する。
  • 運動中には血液中にNK細胞に次いで濃度が高くなる。

B細胞
  • リンパ球の5〜15%を占める。
  • ヘルパーT細胞からの情報によって活性化される。
  • 抗体産生細胞(形質細胞)になって大量に抗体を産生する。
  • 運動中に血液中の濃度はほとんど増加しない。
  • 強い運動の後には抗体産生能が低下する。
NK細胞
  • リンパ球の10〜20%を占める。アズール顆粒を持ち大型。
  • その名(natural killer)のとおり,抗原感作の必要がないという点でキラーTとは性質が異なる。
  • 好中球とともに非特異的免疫の中心的存在。
  • 外から侵入した微生物や,変異(がん化したウイルス感染による)細胞に対する最初の防衛腺であると考えられている。
  • ウイルスやバクテリアなどの成長や増殖を抑制する作用ももつ。
  • 白血球のなかで最も運動に対する反応が大きく,運動中は血液中の細胞数(濃度)が著しく増加する。
  • 増加は運動時間よりも運動強度に依存する。

3 単球

種類

特徴

運動との関連

単球
  • 貪食機能を持つ細胞で,末梢白血球の約3〜8%を占める。
  • 単球は血管から組織へ移動し,マクロファージへ分化する。

マクロファージ
  • 中程度の運動や短時間の運動では末梢血における単球濃度は変化しない。
  • 強度が高い場合や非常に長い運動の場合のみ増加傾向にある。

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