■これからの健康
1 これまでの健康の考え方
病気というネガティブな方向からの評価が中心であった。その象徴がWHOの健康の定義,
"Health is a state of complete physical, mental, and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity."
です。
「これまでの健康の考え方」における
問題点
病気を克服したスポーツマンやパラリンピック等で活躍する選手を見るまでもなく,病気や障害があっても自分のやりたいことをやり,はつらつと暮らしてる人は健康的な印象を与えます。また,ストレスや生活習慣病が蔓延している現代社会のなかでこの定義をみたす人はまずいないというのも問題です。
健康の定義は生活に密着したものでなければならないはずです。理想的であってもほとんどの人が当てはまらないようでは定義として失格です。
2 新しい健康の考え方
70年代から80年代にかけて,健康の定義については活発な議論が交わされてきました。その過程を経て,池上晴夫や小泉明は次のように健康を定義しました。
池上
「環境に適応し,かつその人の能力が充分に発揮できるような状態」
(運動処方,1982)
わたしたちを取り巻く環境はたえず変化し,その変化はストレッサーとして生体に加えられる。とくに現代社会では心理・社会的なストレッサーが増加しており,わたしたちは既存のストレッサーの他,これらのストレッサーにも積極的に対応しホメオステイシスを得ていかなければならない。
小泉
「自己実現」
(Health Science, 1986)
自分の価値形成を行うことが重要な要素になる。
これらの考え方には病気や障害などのネガティブな要素に目を向けるのでなく,人間が持っているダイナミックな面を積極的に評価しようという意図が読みとれます。
つまり健康とは,まず,自分の能力が発揮できる環境を自分のなかに作り上げることがあり,これを基礎として自分の
生きがい
,
望み
,
欲求の実現
などを形成していくことと考えられないでしょうか(WHOも近年このような考え方をHealth Promotionに関しては示している)。
健康が持っている生き生きとした面は,この「適応」と「価値の形成(実現)」の二つの要素から生み出されるものです。
また,健康は個人を対象に考えることを基本としており,そのためには次の3つの原則があります。
1. 健康の自己責任(self-resposibility)
2. 健康の自己管理(self-care)
3. 健康の自己評価(self-estimation)
これは自分の健康は,自分自身が責任をもって管理し,そのためにすべきことも自分自身で決定することです。さらに,健康かどうか判断するのも自分自身であるということを表します。
◆top へ戻る
◆はじめにに戻る
◆ウエルネススペクトルへ進む
◆ 健康科学の目次へ
◆ホームへ