ガイドライン
by 夏井高人
私は,しばしば,諸外国の政府や研究者等から次のような質問を受けます。
日本では,「ガイドライン」は任意的なもの(voluntary)か,それとも強制的なもの(compulsory)か?
私は,こう返答します。
日本国政府は「一般にガイドラインとは任意的なものだ」と説明している。
しかし,日本語で「任意的」という場合には,文脈により「強制的」という意味を含むことがある。例えば,ガイドラインの現実の実施方法が告示による場合があるが,告示は法規範の一種であると考えられている。つまり,強制的な要素を持っている。告示は,単なるinformationやnoticeやindicationではなくorderとして機能している部分がある。
すると,大抵の人は困惑してこう言います。
それじゃあ任意的なのか強制的なのか全然わからないじゃないか。
私は,こう答えます。
わからなくて困っているのは日本の学者でも同じですよ。
でも,一般的には,Guidelinesと題していても,regulationの一種である場合もあり得るという警戒心を持っていたほうが安全だ。もともとどちらも外来語なので使っている本人が意味を間違えて理解している場合もある。英語の本来の意味で決め付けて解釈するのは一番まずいことだ。英語と同じような体裁をもっている片仮名日本語は,特に気をつけたほうが良い。
結論として,ほとんどの人が私の説明に納得してくれます。
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Last modified :Jun/15/2004