MIND利用上の遵守事項ガイドライン


明治大学総合情報システムMIND運用部会(1998年4月2日)


1 はじめに

 このガイドラインは,学校法人明治大学総合ネットワーク(MIND)利用基準第7条に定める遵守事項を分かりやすく説明するために作成されたものです。

 利用者は,このガイドラインの趣旨を十分に理解し,社会の一員としての良識に基づいてMINDを利用してください。

2 MIND利用の目的

 MINDは,明治大学における学術研究と大学研究を支援することを目的として運営されている情報ネットワークです。

 このことは,一般のプロバイダなどでのネットワーク利用とは異なるMINDの大きな特徴の一つです。このことから,MIND利用基準第7条第1項第1号は,「教育・研究及びその支援」以外の目的での利用を禁止しております。

 したがって,MINDは,バーチャル・モール,バーチャル企業やネットワーク・マーケティングなどのような営利目的での利用,SOHO(Small Office Home Office)のような自営業のための利用,ゲームその他の単なる娯楽目的での利用,純然たる政治活動のみを目的とする利用,特定の宗教の布教のみを目的とする利用などを支援するシステムではありません。まして,ネットワークを利用したいわゆる「援助交際」とか「ねずみ講」まがいの行為あるいは「ギャンブル」などは許されません。このほか,ネットワーク上のめいわく行為,たとえばチェーン・メール等は許されません。

3 通信の秘密とプライバシーの保護

 MINDでは,情報通信のために電子メール・システムを利用することができます。

 この電子メールの送受信については,憲法で保障された基本的人権の一つである「通信の秘密」の保護が強く求められます。したがって,他人の電子メールの内容を勝手に見たり,本人の承諾を得ないまま電子メールの内容を他人に知らせたりすることは許されません。また,通信の秘密を危うくするようなシステム上のトラブルを招く行為をすることも許されません。

 同様に,ネットワーク上で知ることのできた個人のプライバシーは,普通の社会でのプライバシーと同様に守られなければなりません。たとえば,メンバー限定のホームページに入会して知った情報は,そのホームページのメンバー限りのものですから,メンバーでない人にその内容を知らせることは許されません。いわゆるメーリング・リストの場合も同じです。

4 システムの適正な利用

 MINDは,非常に高機能なネットワーク・システムです。そして,とても多くの人たちが毎日このシステムを利用しています。

 システムが円滑に運営されるためには,MINDを支えているコンピュータ・システムが安全に機能していることが不可欠です。システムの安全の確保にとって最も大きな脅威は,コンピュータ・ウイルスです。コンピュータ・ウイルスに感染しているかもしれない出所不明のプログラムや電子メールの転送は,とても危険なことです。

 他の利用者の存在やシステムの負荷を考慮せず,利己的な都合だけで大量の電子メールを送受信することなどもシステムの円滑な利用を阻害するものです。なかなかネットワークにつながらないからといって,自己の端末装置(クライアント)をネットワークに接続しっぱなしにするような行為も,結果的に,システム全体の接続状況を悪化させることになります。

 また,電子メールを含む情報ネットワークを利用するためには,さまざまな技術的な約束ごともあります。この約束事をきちんと守らないと,自分ではそのつもりでなくても,結果的に他の利用者に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。ネットワークにはネットワークのエチケット(ネチケット)があります。

 なお,MINDやインターネットの利用方法がよく分からない人は,必ずMIND利用者講習などを受講し,情報科学センターや研究室の先生などの指導を受けるようにしましょう。

5 社会常識に反する行為

 MINDの上では,ホームページの開設やメーリング・リストの利用などを通じて,一定の情報コミュニケーション社会が形成されています。そこでは,コミュニケーションに参加する利用者相互の人間としての尊厳を尊重することが求められます。このことは,普通の社会における人間関係とまったく同じです。したがって,ネットワーク上での誹謗中傷とか名誉毀損行為,感情の流れにまかせた個人攻撃,不合理な差別行為などは,決して許されることではありません。また,状況をわきまえないで,面白半分だけのからかいとか卑わいな言動をすることなども非難の対象となることがあります。

6 遵守事項違反行為に対するペナルティ

 MINDの遵守事項を守らない接続責任者に対しては,一定のペナルティが与えられます。ペナルティには,利用資格の取消,利用資格の停止,利用資格の変更,その他の教育的措置があります。また,これらのペナルティが決定されるまでの間,仮の措置として,MINDの利用が暫定的に禁止または制限されることがあります。

 ペナルティのうち,利用資格の取消がなされると,それ以降は,MINDにアクセスすることができなくなります。利用資格が停止されると,停止が解除されるまでの間はアクセスすることができなくなります。利用資格の変更がなされると,それまでの利用レベルよりも低いレベルでのアクセスしかできなくなることがあります。

 ここで注意しなければならないことがあります。それは,ペナルティを受けるのは接続責任者だということです。たとえば,大学の研究室のパソコンの接続責任者は,通常,その研究室の先生です。そして,学生は,その先生の接続権限に基づいてネットワークを利用していることになります。ところが,誰か学生が違反行為をしたとすると,利用資格の取消は接続責任者である先生に対してなされることになります。そうすると,以後,その研究室では,違反行為をした学生だけではなく,研究室の先生もほかの学生も一斉に全員ネットワーク利用ができなくなってしまいます。したがって,接続責任者である先生などは,その下でネットワークを利用している学生などのユーザに対する教育・指導を徹底するように義務づけられています。なお,ppp接続をするときは,学生も含めその接続をする人が接続責任者となる事に気をつけてください。

 ペナルティは,情報科学センター所長によってなされますが,センター所長による措置が公正になされるようにするため,MIND審査委員会が設置されています。

 このペナルティの詳細は,MIND利用基準第8条に定められています。

7 コンピュータ犯罪と民事賠償責任

 MIND利用上の違反行為が悪質な場合,コンピュータ犯罪として処罰されたり(懲役など),損害賠償責任を負わされたりすることがあります。

 たとえば,他のユーザの権利義務に関する文書データを勝手に書き換えたり壊したりすると犯罪になります。詐欺目的で課金システムに偽のデータを送信したりプログラムを書き換えたりすれば,かなり重い罪になります。ネットワーク上の名誉毀損とか業務妨害なども処罰対象です。わいせつな画像や文書などをホームページに掲載するのも犯罪行為です。犯罪行為の場合には,刑事事件として警察や検察庁の捜査対象となってしまいます。

 他方で,コンピュータ犯罪にならないものも含めて,ネットワーク上で他人の権利を害する行為をすると,民事上の賠償責任を問われることがあります。たとえば,電子メールやニューズ・グループあるいはホームページでの名誉毀損行為,誹謗中傷行為,脅迫行為,差別発言行為などで悪質なものは,それが犯罪にならない程度のものであっても,民事上の損害賠償責任を負わされることがあるのです。

 わざとやったのではなく,まちがってネットワーク・システムを壊してしまった場合でも,そのあやまち(過失)の内容と程度によっては,損害賠償責任を負うことがあります。この場合,賠償金額がかなり巨額になる可能性があります。まちがいとは言えないにしても度が過ぎた場合で,それが社会的な相当性を欠く場合には,同じです。

 もし学生がMINDの規程違反行為その他の不都合な行為をしてしまい,法的責任を負わされる可能性があるときは,その後の対応(弁護士相談を含む。)について,速やかに情報科学センターの窓口に申し出てください。

8 ネットワークの快適な利用に向けて

 MIND利用基準上の遵守事項は,大学のネットワーク・システムを利用する上での最低限度の倫理基準を定めるものです。

 大事なことは,ネットワーク上であっても,普通の社会生活と同様に,社会の一員としての良識に従った利用が必要だということを自覚すること,すなわち,きちんとした情報倫理を身につけることです。それは,社会の一員として当然のことなのですから,どんな人にもできるとても簡単なことです。

 ネットワークの利用者は,相互に相手の人格と生活を尊重し,だれもが快適な利用ができるように気配りをし合うことを心がけましょう。それによって,MINDの利用環境は,これからもますます充実したものとなるでしょう。そして,そのことによって,快適で実り多いネットワーキング・ライフが保証されるでしょう。


Index