情報処理学会倫理綱領


<夏井による注記>

これは,情報処理学会から転載の許諾を得て掲載するものです。

この倫理綱領は,情報処理学会の会員を対象とするものです。


第38回通常総会(平成8年5月20日)において制定

情報処理学会倫理綱領

前  文

 我々情報処理学会会員は,情報処理技術が国境を越えて社会に対して強くかつ広い影響力を 持つことを認識し,情報処理技術が社会に貢献し公益に寄与することを願い,情報処理技術の 研究,開発および利用にあたっては,適用される法令とともに,次の行動規範を遵守する.

1.社会人として

 1.1 他者の生命,安全,財産を侵害しない.
 1.2 他者の人格とプライバシーを尊重する.
 1.3 他者の知的財産権と知的成果を尊重する.
 1.4 情報システムや通信ネットワークの運用規則を遵守する.
 1.5 社会における文化の多様性に配慮する.

2.専門家として

 2.1 たえず専門能力の向上に努め,業務においては最善を尽くす.
 2.2 事実やデータを尊重する.
 2.3 情報処理技術がもたらす社会やユーザへの影響とリスクについて配慮する.
 2.4 依頼者との契約や合意を尊重し,依頼者の秘匿情報を守る.

3.組織責任者として

 3.1 情報システムの開発と運用によって影響を受けるすべての人々の要求に応じ,その尊 厳を損なわないように配慮する.
 3.2 情報システムの相互接続について,管理方針の異なる情報システムの存在することを 認め,その接続がいかなる人々の人格をも侵害しないように配慮する.
 3.3 情報システムの開発と運用について,資源の正当かつ適切な利用のための規則を作成 し,その実施に責任を持つ.
 3.4 情報処理技術の原則,制約,リスクについて,自己が属する組織の構成員が学ぶ機会 を設ける.

 本綱領は必ずしも会員個人が直面するすべての場面に適用できるとは限らず,研究領域における他の倫理規範との矛盾が生じることや,個々の場面においてどの条項に準拠すべきであるか不明確(具体的な行動に対して相互の条項が矛盾する場合を含む.)であることもあり得る.したがって,具体的な場面における準拠条項の選択や優先度等の判断は,会員個人の責任に委ねられるものとする.

付記

 1. 本綱領は平成8年5月20日より施行する. 
 2. 本綱領の解釈および見直しについては,必要に応じて委員会を設置する.


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