電気通信事業法


昭59年12月25日法律第86号

昭和60年4月1日施行

平成7年5月8日改正


 

第1章 総  則

 

第1条(目 的)

 この法律は,電気通信事業の公共性にかんがみ,その運営を適正かつ合理的なものとすることにより,電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し,もって電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り,公共の福祉を増進することを目的とする。

第2条(定 義)

 この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

一 電気通信 有線,無線その他の電磁的方式により,符号,音響又は影像を送り,伝え,又は受けることをいう。

二 電気通信設備 電気通信を行うための機械,器具,線路その他の電気的設備をいう。

三 電気通信役務 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し,その他電気通信設備を他人の通信の用に供することをいう。

四 電気通信事業 電気通信役務を他人の需要に応ずるために提供する事業(放送法(昭和25年法律第132号)第52条の10第1項に規定する受託放送役務,有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送,有線放送電話に関する法律(昭和32年法律第152号)第2条第1項に規定する有線放送電話役務,有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送及び同法第9条の規定による有線テレビジョン放送施設の使用の承諾に係る事業を除く。)をいう。

五 電気通信事業者 電気通信事業を営むことについて,第9条第1項の許可を受けた者,第22条第1項の規定による届出をした者及び第24条第1項の登録を受けた者をいう。

六 電気通信業務 電気通信事業者の行う電気通信役務の提供の業務をいう。

第3条(検閲の禁止)

 電気通信事業者の取扱中に係る通信は,検閲してはならない。

第4条(秘密の保護)

1 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は,侵してはならない。

2 電気通信事業に従事する者は,在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても,同様とする。

第5条(電気通信事業に関する条約)

 電気通信事業に関し条約に別段の定めがあるときは,その規定による。

 

第2章 電気通信事業

 第1節 総  則

 

第6条(事業の種類)

1 電気通信事業の種類は,第一種電気通信事業及び第二種電気通信事とする。

2 第一種電気通信事業は,電気通信回線設備(送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路設備及びこれと一体として設置される交換設備並びにこれらの附属設備をいう。以下同じ。)を設置して電気通信役務を提供する事業とする。

3 第二種電気通信事業は,第一種電気通信事業以外の電気通信事業とする。

第7条(利用の公平)

 電気通信事業者は,電気通信役務の提供について,不当な差別的取扱いをしてはならない。

第8条(重要通信の確保)

1 電気通信事業者は,天災,事変その他の非常事態が発生し,又は発生するおそれがあるときは,災害の予防若しくは救援,交通,通信若しくは電力の供給の確保又は秩序の維持のために必要な事項を内容とする通信を優先的に取り扱わなければならない。公共の利益のため緊急に行うことを要するその他の通信であって郵政省令で定めるものについても,同様とする。

2 前項の場合において,電気通信事業者は,必要があるときは,郵政省令で定める基準に従い,電気通信業務の一部を停止することができる。

 

第2節 事業の許可等

第1款 第一種電気通信事業

 

第9条(第一種電気通信事業の許可)

1 第一種電気通信事業を営もうとする者は,郵政大臣の許可を受けなければならない。

2 前項の許可を受けようとする者は,郵政省令で定めるところにより,次の事項を記載した申請書を郵政大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名

二 郵政省令で定める区分による電気通信役務の種類及びその態様

三 業務区域

四 電気通信設備の概要

3 前項の申請書には,事業計画書その他郵政省令で定める書類を添付しなければならない。

第10条(許可の基準)

 郵政大臣は,前条第1項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときは,同項の許可をしなければならない。

一 その事業の提供に係る電気通信役務がその業務区域における需要に照らし適切なものであること。

二 その事業の開始によって,当該事業を行う区域又は区間の全部又は一部について電気通信事業の用に供する電気通信回線設備が著しく過剰とならないこと。

三 その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。

四 その事業の計画が確実かつ合理的であること。

五 その他その事業の開始が電気通信の健全な発達のために適切であること。

第11条(許可の欠格事由)

1 郵政大臣は,前条の規定にかかわらず,次の各号の一に該当する者に対しては,第9条第1項の許可をしてはならない。

一 この法律又は有線電気通信法(昭和28年法律第96号)若しくは電波法(昭和25年法律第131号)の規定により罰金以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

二 第19条第1項の規定により許可の取消しを受け,その取消しの日から2年を経過しない者

三 法人又は団体であって,その役員のうちに前2号の一に該当する者があるもの

四 日本の国籍を有しない人

五 外国政府又はその代表者

六 外国の法人又は団体

七 法人又は団体であって,前3号に掲げる者がその代表者であるもの,これらの者がその役員の3分の1以上を占めるもの又はこれらの者により直接占められる議決権の割合とこれらの者により他の法人若しくは団体を通じて間接に占められる議決権の割合として郵政省令で定める割合とを合計した割合が3分の1以上であるもの

2 前項(第4号から第7号までに係る部分に限る。)の規定は,次に掲げる電気通信設備のみを設置して電気通信役務を提供する国際電気通信事業を営もうとする者(同項第4号から第6号までに掲げる者に該当するものについては,国内に営業所を有するものに限る。)については,適用しない。

一 人工衛星の無線局(電波法第2条第5号本文に規定する無線局をいう。 以下この項において同じ。)であって,特定の固定地点間の無線通信を中継するもの(国際電気通信衛星機構が開設するものを除く。)の無線設備(同条第4号に規定する設備をいう。以下この項において同じ。)

二 前号の無線局の中継により特定の固定地点間の無線通信を行う無線局の無線設備

三 第1号の人工衛星の位置,姿勢等を制御することを目的として陸上に開設する無線局の無線設備

第12条(事業の開始の義務)

1 第9条第1項の許可を受けた者(以下「第一種電気通信事業者」という。)は,郵政大臣が指定する期間内に,その事業を開始しなければならない。

2 郵政大臣は,特に必要があると認めるときは,電気通信役務の種類若しくは態様又は業務区域を区分して前項の期間の指定をすることができる。

3 郵政大臣は,第一種電気通信事業者から申請があった場合において,正当な理由があると認めるときは,第1項の期間を延長することができる。

4 第一種電気通信事業者は,その事業の開始前に,第9条第1項の許可に係る電気通信設備(郵政省令で定めるものを除く。)が第41条第1項の技術基準に適合することについて,郵政大臣の確認を受けなければならない。

5 第一種電気通信事業者は,その事業(第2項の規定により電気通信役務の種類若しくは態様又は業務区域を区分して期間の指定があったときは,その区分に係る事業)を開始したときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

第13条(氏名等の変更)

 第一種電気通信事業者は,第9条第2項第1号の事項に変更があったときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

第14条(電気通信役務の種類等の変更)

1 第一種電気通信事業者は,第9条第2項第2号から第4号までの事項を変更しようとするときは,郵政大臣の許可を受けなければならない。ただし,郵政省令で定める軽微な変更については,この限りでない。

2 第一種電気通信事業者は,前項ただし書の郵政省令で定める軽微な変更をしたときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

3 第10条及び第11条(第1項第2号を除く。)の規定は,第1項の許可について準用する。

4 第12条の規定は,第1項の場合(業務区域の減少の場合を除く。)に準用する。この場合において,同条第1項及び第4項中「第9条第1項」とあるのは,「第14条第1項」と続み替えるものとする。

第15条(業務の委託)

1 第一種電気通信事業者は,電気通信業務の一部を委託しようとするときは,郵政大臣の認可を受けなければならない。

2 郵政大臣は,前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは,同項の認可をしなければならない。

一 その電気通信役務を効率的に提供するために当該委託を必要とする特別の事情があること。

二 受託者が当該業務を行うのに適している者であること。

第16条(事業の譲渡し及び譲受け並びに法人の合併)

1 第一種電気通信事業の全部の譲渡し及び譲受けは,郵政大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。

2 第一種電気通信事業者たる法人の合併は,郵政大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。ただし,第一種電気通信事業者たる法人と第一種電気通信事業を営まない法人が合併する場合において,第一種電気通信事業者たる法人が存続するときは,この限りでない。

3 第10条及び第11条の規定は,前2項の認可について準用する。

4 第一種電気通信事業の全部の譲渡しがあったとき,又は第一種電気通信事業者たる法人の合併があったときは,当該事業の全部を譲り受けた者又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は,第一種電気通信事業者の地位を承継する。

第17条(相 続)

1 第一種電気通信事業者が死亡した場合においては,その相続人(相続人が2人以上ある場合においてその協議により当該第一種電気通信事業を承継すべき相続人を定めたときは,その者。以下同じ。)が被相続人たる第一種電気通信事業者の地位を承継する。

2 前項の相続人が被相続人の死亡後60日以内にその相続について郵政大臣の認可を申請しない場合又は同項の相続人がしたその申請に対し認可をしない旨の処分があった場合には,その期間の経過した時又はその処分があった時に,第一種電気通信事業の許可は,その効力を失う。

3 第10条及び第11条の規定は,前項の認可について準用する。

第18条(事業の休止及び廃止並びに法人の解散)

1 第一種電気通信事業者は,電気通信事業の全部又は一部を休止し,又は廃止しようとするときは,郵政大臣の許可を受けなければならない。

2 前項の事業の休止の許可は,1年を超える期間についてすることができない。

3 第一種電気通信事業者たる法人の解散の決議又は総社員の同意は,郵政大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。

4 郵政大臣は,第一種電気通信事業の休止若しくは廃止又は法人の解散により公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認める場合を除き,第1項の許可又は前項の認可をしなければならない。

第19条(事業の許可の取消し)

1 郵政大臣は,第一種電気通信事業者が次の各号の一に該当するときは,第9条第1項の許可を取り消すことができる。

一 第12条第1項の規定により指定した期間(同条第3項の規定による延長があったときは,延長後の期間)内に事業を開始しないとき。

二 前号に規定する場合のほか,第一種電気通信事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反した場合において,公共の利益を阻害すると認めるとき。

三 第11条第1項各号(第2号を除く。)の一に該当するに至ったとき(同条第2項に規定する国際電気通信事業を営む者(同条第1項第4号から第6号までに掲げる者に該当するものについては,国内に営業所を有するものに限る。)が,同条第1項第4号から第7号までの一に該当するときを除く。)。

2 郵政大臣は,前項の規定により第9条第1項の許可を取り消したときは,文書によりその理由を付して通知しなければならない。

第20条(変更の許可の取消し)

1 郵政大臣は,第14条第1項の規定により第9条第2項第2号から第4号までの事項の変更の許可を受けた第一種電気通信事業者が,第14条第4項において準用する第12条第1項の規定により指定した期間(第14条第4項において準用する第12条第3項の規定による延長があったときは,延長後の期間)内にその事項を変更しないときは,その許可を取り消すことができる。

2 前条第2項の規定は,前項の場合に準用する。

 

第2款 第二種電気通信事業

 

第21条(第二種電気通信事業の種類)

1 第二種電気通信事業の種類は,一般第二種電気通信事業及び特別第二種電気通信事業とする。

2 一般第二種電気通信事業は,特別第二種電気通信事業以外の第二種電気通信事業とする。

3 特別第二種電気通信事業は,電気通信設備を不特定かつ多数の者の通信の用に供する第二種電気通信事業であって当該設備の規模が電気通信回線の収容能力を基礎として政令で定める基準を超える規模であるもの及び本邦外の場所との間の通信を行うための電気通信設備を他人の通信の用に供する第二種電気通信事業とする。

第22条(一般第二種電気通信事業の届出)

1 一般第二種電気通信事業を営もうとする者は,郵政省令で定めるところにより,次の事項を記載した書類を添えて,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名

二 郵政省令で定める区分による電気通信役務の種類及びその態様

2 前項の届出をした者(以下「一般第二種電気通信事業者」という。)は,同項第1号の事項に変更があったときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

3 一般第二種電気通信事業者は,第1項第2号の事項を変更しようとするときは,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。ただし,郵政省令で定める軽微な変更については,この限りでない。

第23条(一般第二種電気通信事業の譲渡し等)

1 一般第二種電気通信事業の全部の譲渡しがあったとき,又は一般第二種電気通信事業者について合併若しくは相続があったときは,当該事業の全部を譲り受けた者又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人若しくは相続人は,一般第二種電気通信事業者の地位を承継する。

2 前項の規定により一般第二種電気通信事業者の地位を承継した者は,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

3 一般第二種電気通信事業者は,電気通信事業の全部又は一部を休止し,又は廃止したときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

4 一般第二種電気通信事業者たる法人が合併以外の事由により解散したときは,その清算人(解散が破産による場合にあっては,破産管財人)は,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

第24条(特別第二種電気通信事業の登録)

1 特別第二種電気通信事業を営もうとする者は,郵政大臣の登録を受けなければならない。

2 前項の登録を受けようとする者は,郵政省令で定めるところにより,次の事項を記載した申請書を郵政大臣に提出しなければならない。

一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名

二 郵政省令で定める区分による電気通信役務の種類及びその態様

三 電気通信設備の概要

3 前項の申請書には,事業計画書その他郵政省令で定める書類を添付しなければならない。

第25条(登録の実施)

1 郵政大臣は,前条第1項の登録の申請があった場合においては,次条第1項の規定により登録を拒否する場合を除き,次の事項を特別第二種電気通信事業者登録簿に登録しなければならない。

一 前条第2項各号に掲げる事項

二 登録年月日及び登録番号

2 郵政大臣は,前項の規定による登録をしたときは,遅滞なく,その旨を申請者に通知しなければならない。

第26条(登録の拒否)

1 郵政大臣は,第24条第2項の申請書を提出した者が次の各号の一に該当するとき,又は当該申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり,若しくは重要な事実の記載が欠けているときは,その登録を拒否しなければならない。

一 この法律又は有線電気通信法若しくは電波法の規定により罰金以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

二 第28条第1項の規定により登録の取消しを受け,その取消しの日から2年を経過しない者

三 法人又は団体であって,その役員のうちに前2号の一に該当する者があるもの

四 その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有しない者

2 郵政大臣は,前項の規定により登録を拒否したときは,文書によりその理由を付して通知しなければならない。

第27条(変更登録等)

1 第24条第1項の登録を受けた者(以下「特別第二種電気通信事業者」という。)は,同条第2項第2号又は第3号の事項を変更しようとするときは,郵政大臣の変更登録を受けなければならない。ただし,郵政省令で定める軽微な変更については,この限りでない。

2 前項の変更登録を受けようとする者は,郵政省令で定めるところにより,変更に係る事項を記載した申請書を郵政大臣に提出しなければならない。

3 第24条第3項,第25条及び前条の規定は,第1項の変更登録について準用する。この場合において,第25条第1項中「次の事項」とあるのは「変更に係る事項」と,前条第1項中「第24条第2項の申請書を提出した者が次の各号」とあるのは「変更登録に係る申請書を提出した者が次の各号(第2号を除く。)」と読み替えるものとする。

4 特別第二種電気通信事業者は,第24条第2項第1号の事項に変更があったときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。その届出があった場合には,郵政大臣は,遅滞なく,当該登録を変更するものとする。

第28条(登録の取消し等)

1 郵政大臣は,特別第二種電気通信事業者が次の各号の一に該当するときは,第24条第1項の登録を取り消すことができる。

一 特別第二種電気通信事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反した場合において,公共の利益を阻害すると認めるとき。

二 不正の手段により第24条第1項の登録又は第27条第1項の変更登録を受けたとき。

三 第26条第1項第1号又は第3号に該当するに至ったとき。

2 第26条第2項の規定は,前項の場合に準用する。

第29条(登録の抹消)

 郵政大臣は,次条において準用する第23条第3項若しくは第4項の規定による電気通信事業の全部の廃止若しくは解散の届出があったとき,又は前条第1項の規定による登録の取消しをしたときは,当該特別第二種電気通信事業者の登録を抹消しなければならない。

第30条(準 用)

 第23条の規定は,特別第二種電気通信事業者について準用する。

 

第3節 業  務

 

第31条(料金の認可等)

1 第一種電気通信事業者は,電気通信役務に関する料金(第3項に規定する料金及び郵政省令で定める料金を除く。)を定め,郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。

2 郵政大臣は,前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは,同項の認可をしなければならない。

一 能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。

二 料金の額の算出方法が適正かつ明確に定められていること。

三 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。

3 第一種電気通信事業者は,電気通信役務のうちその内容,利用者(電気通信事業者との間に電気通信役務の提供を受ける契約を締結する者をいう。以下同じ。)の範囲等からみて利用者の利益に及ぼす影響が比較的少ないものとして郵政省令で定めるものに関する料金(第1項の郵政省令で定める料金を除く。)を定めようとするときは,あらかじめ郵政大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。

4 第一種電気通信事業者は,第1項の規定により認可を受けるべき料金又は前項の規定により届け出るべき料金については,それぞれ第1項の規定により認可を受け又は前項の規定により届け出た料金によらなければ電気通信役務を提供してはならない。ただし,第38条第2項の認可を受けた契約により一般第二種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者(以下この節において「第二種電気通信事業者」という。)に電気通信役務を提供する場合並びに次項の規定により電気通信役務の料金を減免する場合は,この限りでない。

5 第一種電気通信事業者は,郵政省令で定める基準に従い,第1項の規定により認可を受け又は第3項の規定により届け出た電気通信役務の料金を減免することができる。

6 特別第二種電気通信事業者は,電気通信役務に関する料金(郵政省令で定めるものを除く。)を定め,その実施前に,郵政大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。

7 第4項及び第5項の規定は,特別第二種電気通信事業者による電気通信役務の料金について準用する。この場合において,第4項中「第38条第2項の認可を受けた契約により一般第二種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者(以下この節において「第二種電気通信事業者」という。)に電気通信役務を提供する場合並びに次項」とあるのは,「次項」と読み替えるものとする。

第31条の2(契約約款の認可等)

1 第一種電気通信事業者は,電気通信役務に関する提供条件(料金並びに郵政省令で定める事項及び第49条第1項又は第52条第1項第1号の規定により認可を受けるべき技術的条件に係るものを除く。)について契約約款を定め,郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。

2 郵政大臣は,前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは,同項の認可をしなければならない。

一 第一種電気通信事業者及びその利用者の責任に関する事項並びに電気通信設備の設置の工事その他の工事に関する費用の負担の方法が適正かつ明確に定められていること。

二 電気通信回線設備の使用の態様を不当に制限するものでないこと。

三 特定の者に対し不当な差別的取扱いをするものでないこと。

四 第8条第1項の通信に関する事項について適切に配慮されているものであること。

3 第1項の規定により契約約款で定めるべき提供条件について,郵政大臣が標準契約約款を定めて公示した場合(これを変更して公示した場合を含む。)において,第一種電気通信事業者が,標準契約約款と同一の契約約款を定めようとして又は現に定めている契約約款を標準契約約款と同一のものに変更しようとして,あらかじめその旨を郵政大臣に届け出たときは,その契約約款については,同項の認可を受けたものとみなす。

4 第一種電気通信事業者は,第1項の規定により契約約款で定めるべき提供条件については,同項の認可を受けた契約約款によらなければ電気通信役務を提供してはならない。ただし,第38条第2項の認可を受けた契約により第二種電気通信事業者に電気通信役務を提供する場合は,この限りでない。

5 特別第二種電気通信事業者は,電気通信役務に関する提供条件(料金及び郵政省令で定める事項に係るものを除く。)について契約約款を定め,その実施前に,郵政大臣に届け出なければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。

6 特別第二種電気通信事業者は,前項の規定により契約約款で定めるべき提供条件については,同項の規定により届け出た契約約款によらなければ電気通信役務を提供してはならない。

第32条(料金等の掲示)

1 第一種電気通信事業者又は特別第二種電気通信事業者は,第31条第1項の規定により認可を受け若しくは同条第3項の規定により届け出た料金又は同条第6項の規定により届け出た料金並びに前条第1項の認可を受けた契約約款(第49条第1項又は第52条第1項第1号の規定により認可を受けた技術的条件を含む。第111条第2号において同じ。)又は前条第5項の規定により届け出た契約約款を,営業所その他の事業所において公衆の見やすいように掲示しておかなければならない。

2 前項の規定は,第31条第1項又は第6項の郵政省令で定める料金及び前条第1項又は第5項の郵政省令で定める事項に係る提供条件について準用する。

第33条(会計の整理)

 第一種電気通信事業者は,電気通信役務に関する料金の適正な算定に資するため,郵政省令で定める勘定科目の分類その他会計に関する手続に従い,その会計を整理しなければならない。

第34条(提供義務)

 第一種電気通信事業者は,正当な理由がなければ,その業務区域における電気通信役務の提供を拒んではならない。

第35条(業務の停止等の報告)

 電気通信事業者は,第8条第2項の規定により電気通信業務の一部を停止したとき,又は電気通信業務に関し通信の秘密の漏えいその他郵政省令で定める重大な事故が生じたときは,その旨をその理由又は原因とともに,遅滞なく,郵政大臣に報告しなければならない。

第36条(業務の改善命令)

1 郵政大臣は,第31条第1項の認可を受けた料金又は第31条の2第1項の認可を受けた契約約款で定める電気通信役務の提供条件が社会的経済的事情の変動により著しく不適当となり,利用者の利益を阻害していると認めるときは,第一種電気通信事業者に対し,相当の期限を定め,当該料金又は契約約款の変更の認可を申請すべきことを命ずることができる。

2 郵政大臣は,第31条第3項の規定により届け出た料金が利用者の利益を阻害していると認めるときは,第一種電気通信事業者に対し,相当の期限を定め,当該料金を変更すべきことを命ずることができる。

3 郵政大臣は,第一種電気通信事業者の業務の方法に関し通信の秘密の確保に支障があると認めるとき,事故により電気通信役務の提供に支障が生じている場合に第一種電気通信事業者がその支障を除去するために必要な修理その他の措置を速やかに行わないとき,その他第一種電気通信事業者の業務の方法が適切でないため利用者の利益を阻害していると認めるとき,又は第一種電気通信事業者が国際電気通信事業に関する条約その他の国際約束により課された義務を誠実に履行していないため若しくは第一種電気通信事業者が電気通信設備の接続若しくは共用若しくは第38条第2項の規定による電気通信役務の提供について特定の電気通信事業者に対し不当な差別的取扱いを行っているため,公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは,当該第一種電気通信事業者に対し,利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において,業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

第37条

 郵政大臣は,第二種電気通信事業者の業務の方法に関し通信の秘密の確保に支障があると認めるとき,事故により電気通信役務の提供に支障が生じている場合に第二種電気通信事業者がその支障を除去するために必要な修理その他の措置を速やかに行わないとき,その他第二種電気通信事業者の業務の方法が適切でないため利用者の利益を阻害していると認めるとき,又は第二種電気通信事業者が国際電気通信事業に関する条約その他の国際約束により課された義務を誠実に履行していないため,特別第二種電気通信事業者が電気通信設備の接続若しくは共用について特定の電気通信事業者に対し不当な差別的取扱いを行っているため若しくは第二種電気通信事業の経営によりこれと電気通信役務に係る需要を共通とする第一種電気通信事業の当該需要に係る電気通信回線設備の保持が経営上困難となるため,公共の利益が著しく阻害されるおそれがあると認めるときは,当該第二種電気通信事業者に対し,利用者の利益又は公共の利益を確保するために必要な限度において,業務の方法の改善その他の措置をとるべきことを命ずることができる。

第38条(電気通信設備の接続に関する協定等)

1 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,他の第一種電気通信事業者又は特別第二種電気通信事業者と電気通信設備の接続又は共用に関する協定を締結し,又は変更しようとするときは,郵政大臣の認可を受けなければならない。ただし,当該協定の当事者の双方が,特別第二種電気通信事業者であって本邦外の場所との間の通信を行うための電気通信設備を他人の通信の用に供する第二種電気通信事業を営むもの以外の者(以下この条及び次条において「国内特別第二種電気通信事業者」という。)であるときは,この限りでない。

2 第一種電気通信事業者は,その提供条件(第31条第1項の郵政省令で定める料金,第31条の2第1項の郵政省令で定める事項及び第49条第1項又は第52条第1項第1号の規定により認可を受けるべき技術的条件に係るものを除く。)が第31条第1項の規定により認可を受けた料金,同条第3項の規定により届け出た料金及び第31条の2第1項の規定により認可を受けた契約約款で定める提供条件と異なる電気通信役務(以下この条及び次条において「約款外役務」という。)を第二種電気通信事業者に提供するため,当該第二種電気通信事業者と約款外役務の提供に関する契約を締結し,又は変更しようとするときは,郵政大臣の認可を受けなければならない。

3 郵政大臣は,前2項の規定による協定又は契約が公共の利益を増進するものであるときは,前2項の認可をしなければならない。

4 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,一般第二種電気通信事業者と電気通信設備の接続又は共用に関する協定を締結し,又は変更しようとするときは,あらかじめ郵政大臣に届け出なければならない。国内特別第二種電気通信事業者が他の国内特別第二種電気通信事業者と電気通信設備の接続又は共用に関する協定を締結し,又は変更しようとするときも,同様とする。

第39条(電気通信設備の接続等に関する命令)

1 郵政大臣は,電気通信設備の接続若しくは共用に関する電気通信事業者間の協議(当事者の一方又は双方が一般第二種電気通信事業者であるもの及び当事者の双方が国内特別第二種電気通信事業者であるものを除く。)又は約款外役務の提供に関する第一種電気通信事業者と特別第二種電気通信事業者との間の協議が調わない場合又はこれらの協議をすることができない場合で,当事者から申立てがあった場合において,当該接続若しくは共用又は約款外役務の提供(以下この条において「接続等」という。)が公共の利益を増進するために特に必要であり,かつ,適切であると認めるときは,当該接続等に関し,前条第1項又は第2項の規定による協定又は契約を締結すべきことを命ずることができる。

2 前項の規定による命令があった場合において,当事者が取得し,若しくは負担すべき金額又は接続等の条件その他協定若しくは契約の細目について当事者間の協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,当事者は,郵政大臣の裁定を申請することができる。

3 郵政大臣は,前項の規定による裁定の申請を受理したときは,その旨を他の当事者に通知し,期間を指定して答弁書を提出する機会を与えなければならない。

4 郵政大臣は,第2項の裁定をしたときは,遅滞なく,その旨を当事者に通知しなければならない。

5 第2項の裁定があったときは,その裁定の定めるところに従い,当事者間に協議が調ったものとみなす。

6 第2項の裁定のうち当事者が取得し,又は負担すべき金額について不服のある者は,その裁定があったことを知った日から3月以内に,訴えをもってその金額の増減を請求することができる。

7 前項の訴えにおいては,他の当事者を被告とする。

8 第2項の裁定についての異議申立てにおいては,当事者が取得し,又は負担すべき金額についての不服をその裁定の不服の理由とすることができない。

第40条(外国政府等との協定等の認可)

 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,外国政府又は外国人若しくは外国法人との間に,電気通信業務に関する協定又は契約であって郵政省令で定める重要な事項を内容とするものを締結し,変更し,又は廃止しようとするときは,郵政大臣の認可を受けなければならない。

 

第4節 電気通信設備

第1款 電気通信事業の用に供する電気通信設備

 

第41条(電気通信設備の維持)

1 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,その電気通信事業の用に供する電気通信設備(以下「事業用電気通信設備」という。)を郵政省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。

2 前項の技術基準は,これにより次の事項が確保されるものとして定められなければならない。

一 電気通信設備の損壊又は故障により,電気通信役務の提供に著しい支障を及ぼさないようにすること。

二 電気通信役務の品質が適正であるようにすること。

三 通信の秘密が侵されないようにすること。

四 利用者又は他の電気通信事業者の接続する電気通信設備を損傷し,又はその機能に障害を与えないようにすること。

五 他の電気通信事業者の接続する電気通信設備との責任の分界が明確であるようにすること。

第42条(技術基準適合命令)

 郵政大臣は,事業用電気通信設備が前条第1項の郵政省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは,第一種電気通信事業者又は特別第二種電気通信事業者に対し,その技術基準に適合するように当該設備を修理し,若しくは改造することを命じ,又はその使用を制限することができる。

第43条(管理規程)

1 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,電気通信役務の確実かつ安定的な提供を確保するため,郵政省令で定めるところにより,事業用電気通信設備の管理規程を定め,事業の開始前に,郵政大臣に届け出なければならない。

2 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,管理規程を変更したときは,遅滞なく,変更した事項を郵政大臣に届け出なければならない。

第44条(電気通信主任技術者)

1 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,事業用電気通信設備の工事,維持及び運用に関する事項を監督させるため,郵政省令で定めるところにより,電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者のうちから,電気通信主任技術者を選任しなければならない。

2 第一種電気通信事業者及び特別第二種電気通信事業者は,前項の規定により電気通信主任技術者を選任したときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。これを解任したときも,同様とする。

第45条(電気通信主任技術者資格者証)

1 電気通信主任技術者資格者証の種類は,伝送交換技術及び線路技術について郵政省令で定める。

2 電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者が監督することができる電気通信設備の工事,維持及び運用に関する事項の範囲は,前項の電気通信主任技術者資格者証の種類に応じて郵政省令で定める。

3 郵政大臣は,次の各号の一に該当する者に対し,電気通信主任技術者資格者証を交付する。

一 電気通信主任技術者試験に合格した者

二 電気通信主任技術者資格者証の交付を受けようとする者の養成課程で,郵政大臣が郵政省令で定める基準に適合するものであることの認定をしたものを修了した者

三 前2号に掲げる者と同等以上の専門的知識及び能力を有すると郵政大臣が認定した者

4 郵政大臣は,前項の規定にかかわらず,次の各号の一に該当する者に対しては,電気通信主任技術者資格者証の交付を行わないことができる。

一 次条の規定により電気通信主任技術者資格者証の返納を命ぜられ,その日から1年を経過しない者

二 この法律の規定により罰金以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

5 電気通信主任技術者資格者証の交付に関する手続的事項は,郵政省令で定める。

第46条(電気通信主任技術者資格者証の返納)

 郵政大臣は,電気通信主任技術者資格者証を受けている者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したときは,その電気通信主任技術者資格者証の返納を命ずることができる。

第47条(電気通信主任技術者試験)

1 電気通信主任技術者試験は,電気通信設備の工事,維持及び運用に関して必要な専門的知識及び能力について行う。

2 電気通信主任技術者試験は,電気通信主任技術者資格者証の種類ごとに,郵政大臣が行う。

3 電気通信主任技術者試験の試験科目,受験手続その他電気通信主任技術者試験の実施細目は,郵政省令で定める。

第48条(電気通信主任技術者の義務)

 電気通信主任技術者は,事業用電気通信設備の工事,維持及び運用に関する事項の監督の職務を誠実に行わなければならない。

 

第2款 端末設備の接続等

 

第49条(端末設備の接続の技術基準)

1 第一種電気通信事業者は,利用者から端末設備(電気通信回線設備の一端に接続される電気通信設備であって,一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内であるものをいう。以下同じ。)をその電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは,その接続が郵政省令で定める技術基準(当該第一種電気通信事業者が郵政大臣の認可を受けて定める技術的条件を含む。次項及び第51条において同じ。)に適合しない場合その他郵政省令で定める場合を除き,その請求を拒むことができない。

2 前項の技術基準は,これにより次の事項が確保されるものとして定められなければならない。

一 電気通信回線設備を損傷し,又はその機能に障害を与えないようにすること。

二 電気通信回線設備を利用する他の利用者に迷惑を及ぼさないようにすること。

三 第一種電気通信事業者の設置する電気通信回線設備と利用者の接続する端末設備との責任の分界が明確であるようにすること。

第50条(端末機器技術基準適合認定)

1 郵政大臣は,申請により,郵政省令で定める種類の端末設備の機器(以下「端末機器」という。)について,前条第1項の郵政省令で定める技術基準に適合していることの認定(以下「技術基準適合認定」という。)を行う。

2 郵政大臣は,技術基準適合認定をしたときは,郵政省令で定めるところにより,その端末機器に技術基準適合認定をした旨の表示を付するものとする。

3 技術基準適合認定を受けた端末機器以外の端末機器には,前項(第72条において準用する場合を含む。)の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。

第51条(端末設備の接続の検査)

1 利用者は,技術基準適合認定を受けた端末機器を接続する場合その他郵政省令で定める場合を除き,端末設備を接続したときは,第一種電気通信事業者の検査を受け,その接続が第49条第1項の技術基準に適合していると認められた後でなければ,これを使用してはならない。これを変更したときも,同様とする。

2 第一種電気通信事業者は,端末設備に異常がある場合その他電気通信役務の円滑な提供に支障がある場合において必要と認めるときは,利用者に対し,その端末設備の接続が第49条第1項の技術基準に適合するかどうかの検査を受けるべきことを求めることができる。この場合において,当該利用者は,正当な理由がある場合その他郵政省令で定める場合を除き,その請求を拒んではならない。

3 前2項の検査に従事する者は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人に提示しなければならない。

第52条(自営電気通信設備の接続)

1 第一種電気通信事業者は,第一種電気通信事業者以外の者からその電気通信設備(端末設備以外のものに限る。以下「自営電気通信設備」という。)をその電気通信回線設備に接続すべき旨の請求を受けたときは,次に掲げる場合を除き,その請求を拒むことができない。

一 その自営電気通信設備の接続が,郵政省令で定める技術基準(当該第一種電気通信事業者が郵政大臣の認可を受けて定める技術的条件を含む。)に適合しないとき。

二 その自営電気通信設備を接続することにより当該第一種電気通信事業者の電気通信回線設備の保持が経営上困難となることについて当該第一種電気通信事業者が郵政大臣の認定を受けたとき。

2 第49条第2項の規定は前項第1号の技術基準について,前条の規定は同項の請求に係る自営電気通信設備の接続の検査について準用する。この場合において,同条第1項及び第2項中「第49条第1項の技術基準」とあるのは,「第52条第1項第1号の技術基準(同号の技術的条件を含む。)」と読み替えるものとする。

第53条(工事担任者による工事の実施及び監督)

1 利用者は,端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは,工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)に,当該工事担任者資格者証の種類に応じ,これに係る工事を行わせ,又は実地に監督させなければならない。ただし,郵政省令で定める場合は,この限りでない。

2 工事担任者は,その工事の実施又は監督の職務を誠実に行わなければならない。

第54条(工事担任者資格者証)

1 工事担任者資格者証の種類及び工事担任者が行い,又は監督することができる端末設備若しくは自営電気通信設備の接続に係る工事の範囲は,郵政省令で定める。

2 第45条第3項から第5項まで及び第46条の規定は,工事担任者資格者証について準用する。この場合において,第45条第3項第1号中「電気通信主任技術者試験」とあるのは「工事担任者試験」と,同項第3号中「専門的知識及び能力」とあるのは「知識及び技能」と読み替えるものとする。

第55条(工事担任者試験)

1 工事担任者試験は,端末設備及び自営電気通信設備の接続に関して必要な知識及び技能について行う。

2 第47条第2項及び第3項の規定は,工事担任者試験について準用する。この場合において,同条第2項中「電気通信主任技術者資格者証」とあるのは,「工事担任者資格者証」と読み替えるものとする。

 

第5節 指定試験機関及び指定認定機関

第1款 指定試験機関

 

第56条(指定試験機関の指定等)

1 郵政大臣は,その指定する者(以下「指定試験機関」という。)に,電気通信主任技術者試験又は工事担任者試験の実施に関する事務(以下「試験事務」という。)を行わせることができる。

2 指定試験機関の指定は,郵政省令で定める区分ごとに,試験事務を行おうとする者の申請により行う。

3 郵政大臣は,指定試験機関の指定をしたときは,その旨を公示しなければならない。

4 郵政大臣は,指定試験機関の指定をしたときは,当該指定に係る区分の試験事務を行わないものとする。

第57条(指定試験機関の指定の基準)

1 郵政大臣は,前条第2項の申請に係る区分の試験事務につき他に指定試験機関の指定を受けた者がなく,かつ,当該申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,指定試験機関の指定をしてはならない。

一 職員,設備,試験事務の実施の方法その他の事項についての試験事務の実施に関する計画が試験事務の適確な実施のために適切なものであること。

二 前号の試験事務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。

三 試験事務以外の業務を行っている場合には,その業務を行うことによって試験事務が不公正になるおそれがないこと。

2 郵政大臣は,前条第2項の申請をした者が次の各号の一に該当するときは,指定試験機関の指定をしてはならない。

一 民法(明治29年法律第89号)第34条の規定により設立された法人以外の者であること。

二 この法律又は有線電気通信法若しくは電波法の規定により罰金以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者であること。

三 第66条第1項又は第2項の規定により指定を取り消され,その取消しの日から2年を経過しない者であること。

四 その役員のうちに,次のいずれかに該当する者があること。

イ 第2号に該当する者

ロ 第59条第3項の規定による命令により解任され,その解任の日から2年を経過しない者

第58条(試験員)

 指定試験機関は,試験事務を行う場合において,電気通信主任技術者として必要な専門的知識及び能力又は工事担任者として必要な知識及び技能を有するかどうかの判定に関する事務については,郵政省令で定める要件を備える者(以下「試験員」という。)に行わせなければならない。

第59条(役員等の選任及び解任)

1 指定試験機関の役員の選任及び解任は,郵政大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない。

2 指定試験機関は,試験員を選任し,又は解任したときは,遅滞なく,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

3 郵政大臣は,指定試験機関の役員又は試験員が,この法律,この法律に基づく命令若しくは処分又は第61条第1項の試験事務規程に違反したときは,その指定試験機関に対し,その役員又は試験員を解任すべきことを命ずることができる。

第60条

1 指定試験機関の役員若しくは職員(試験員を含む。)又はこれらの職にあった者は,試験事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

2 試験事務に従事する指定試験機関の役員及び職員(試験員を含む。)は,刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については,法令により公務に従事する職員とみなす。

第61条(試験事務規程)

1 指定試験機関は,郵政省令で定める試験事務の実施に関する事項について試験事務規程を定め,郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。

2 郵政大臣は,前項の認可をした試験事務規程が試験事務の適確な実施上不適当となったと認めるときは,その指定試験機関に対し,これを変更すべきことを命ずることができる。

第62条(事業計画等)

1 指定試験機関は,毎事業年度,事業計画及び収支予算を作成し,当該事業年度の開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては,その指定を受けた後遅滞なく),郵政大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも,同様とする。

2 指定試験機関は,毎事業年度,事業報告書及び収支決算書を作成し,当該事業年度の終了後3月以内に郵政大臣に提出しなければならない。

第63条(帳簿の備付け等)

 指定試験機関は,郵政省令で定めるところにより,帳簿を備え付け,これに試験事務に関する事項で郵政省令で定めるものを記載し,及びこれを保存しなければならない。

第64条(監督命令)

 郵政大臣は,この法律を施行するため必要があると認めるときは,指定試験機関に対し,試験事務に関し監督上必要な命令をすることができる。

第65条(業務の休廃止)

1 指定試験機関は,郵政大臣の許可を受けなければ,試験事務の全部若しくは一部を休止し,又は廃止してはならない。

2 郵政大臣は,前項の許可をしたときは,その旨を公示しなければならない。

第66条(指定の取消し等)

1 郵政大臣は,指定試験機関が第57条第2項各号(第3号を除く。)の一に該当するに至ったときは,その指定を取り消さなければならない。

2 郵政大臣は,指定試験機関が次の各号の一に該当するときは,その指定を取り消し,又は期間を定めて試験事務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 この款の規定に違反したとき。

二 第57条第1項各号の一に適合しなくなったと認められるとき。

三 第59条第3項,第61条第2項又は第64条の規定による命令に違反したとき。

四 第61条第1項の規定により認可を受けた試験事務規程によらないで試験事務を行ったとき。

五 不正な手段により指定を受けたとき。

3 郵政大臣は,第1項若しくは前項の規定により指定を取り消し,又は同項の規定により試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたときは,その旨を公示しなければならない。

第67条(郵政大臣による試験事務の実施)

1 郵政大臣は,指定試験機関が第65条第1項の規定により試験事務の全部若しくは一部を休止したとき,前条第2項の規定により指定試験機関に対し試験事務の全部若しくは一部の停止を命じたとき,又は指定試験機関が天災その他の事由により試験事務の全部若しくは一部を実施することが困難となった場合において必要があると認めるときは,第56条第4項の規定にかかわらず,試験事務の全部又は一部を自ら行うものとする。

2 郵政大臣は,前項の規定により試験事務を行うこととし,又は同項の規定により行っている試験事務を行わないこととするときは,あらかじめその旨を公示しなければならない。

3 郵政大臣が,第1項の規定により試験事務を行うこととし,第65条第1項の規定により試験事務の廃止を許可し,又は前条第1項若しくは第2項の規定により指定を取り消した場合における試験事務の引継ぎその他の必要な事項は,郵政省令で定める。

 

第2款 指定認定機関

 

第68条(指定認定機関の指定)

1 郵政大臣は,その指定する者(以下「指定認定機関」という。)に技術基準適合認定を行わせることができる。

2 指定認定機関の指定は,郵政省令で定める区分ごとに,技術基準適合認定を行おうとする者の申請により行う。

3 郵政大臣は,指定認定機関の指定をしたときは,当該指定に係る区分の技術基準適合認定を行わないものとする。

第69条(指定認定機関の指定の基準)

1 郵政大臣は,前条第2項の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ,指定認定機関の指定をしてはならない。

一 職員,設備,技術基準適合認定の業務の実施の方法その他の事項についての技術基準適合認定の業務の実施に関する計画が技術基準適合認定の業務の適確な実施のために適切なものであること。

二 前号の技術基準適合認定の業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。

三 技術基準適合認定の業務以外の業務を行っている場合には,その業務を行うことによって技術基準適合認定の業務が不公正になるおそれがないこと。

四 その指定をすることによって当該申請に係る区分の技術基準適合認定の業務の適確な実施を阻害することとならないこと。

2 第57条第2項の規定は,指定認定機関の指定について準用する。

第70条(指定の公示等)

1 郵政大臣は,指定認定機関の指定をしたときは,指定認定機関の名称及び住所,指定に係る区分,技術基準適合認定の業務を行う事務所の所在地並びに技術基準適合認定の業務の開始の日を公示しなければならない。

2 指定認定機関は,その名称若しくは住所又は技術基準適合認定の業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときは,変更しようとする日の2週間前までに,その旨を郵政大臣に届け出なければならない。

3 郵政大臣は,前項の規定による届出があったときは,その旨を公示しなければならない。

第71条(技術基準適合認定の義務等)

1 指定認定機関は,技術基準適合認定を行うべきことを求められたときは,正当な理由がある場合を除き,遅滞なく,技術基準適合認定のための審査を行わなければならない。

2 指定認定機関は,技術基準適合認定を行うときは,郵政省令で定める方法に従い,郵政省令で定める要件を備える者(以下「認定員」という。)にその審査を行わせなければならない。

(準用)

第72条

 第50条第2項及び第59条から第67条までの規定は,指定認定機関について準用する。この場合において,第59条第2項及び第3項並びに第60条中「試験員」とあるのは「第71条第2項の認定員」と,第59条第3項,第61条及び第66条第2項第4号中「試験事務規程」とあるのは「業務規程」と,第60条,第61条,第64条,第65条第1項,第66条第2項及び第3項並びに第67条中「試験事務」とあるのは「技術基準適合認定の業務」と,第63条中「試験事務」とあるのは「技術基準適合認定」と,第66条第2項第1号中「この款」とあるのは「第71条の規定又は第72条において準用するこの款」と,同項第2号中「第57条第1項各号」とあるのは「第69条第1項第1号から第3号まで」と読み替えるものとする。

 

第3章 土地の使用

 

第73条(土地等の使用権)

1 第一種電気通信事業者は,第一種電気通信事業の用に供する線路及び空中線並びにこれらの附属設備(以下この章において「線路」と総称する。)を設置するため他人の土地及びこれに定着する建物その他の工作物(以下単に「土地等」という。)を利用することが必要かつ適当であるときは,その土地等の所在地を管轄する都道府県知事の認可を受けて,その土地等の所有者(所有権以外の権原に基づきその土地等を使用する者があるときは,その者及び所有者。以下同じ。)に対し,その土地等を使用する権利(以下「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。第3項の存続期間が満了した後において,その期間を延長して使用しようとするときも,同様とする。

2 前項の認可は,第一種電気通信事業者がその土地等の利用を著しく妨げない限度において使用する場合にすることができる。ただし,他の法律によって土地等を収用し,又は使用することができる事業の用に供されている土地等にあってはその事業のための土地等の利用を妨げない限度において利用する場合に限り,建物その他の工作物にあっては線路を支持するために利用する場合に限る。

3 第1項の使用権の存続期間は,15年(地下ケーブルその他の地下工作物又は鉄鋼若しくはコンクリート造の地上工作物の設置を目的とするものにあっては,50年)とする。ただし,同項の協議又は第77条第2項若しくは第3項の裁定においてこれより短い期間を定めたときは,この限りでない。

4 都道府県知事は,第1項の認可をしたときは,その旨をその土地等の所有者に通知するとともに,これを公告しなければならない。

5 第1項の協議が調った場合には,第一種電気通信事業者及び土地等の所有者は,郵政省令で定めるところにより,その協議において定めた事項を都道府県知事に届け出るものとする。

6 前項の届出があったときは,その届け出たところに従い,第一種電気通信事業者がその土地等の使用権を取得し,又は当該使用権の存続期間が延長されるものとする。

第74条(裁定の申請)

1 前条第1項の規定による協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,第一種電気通信事業者は,郵政省令で定める手続に従い,その土地等の使用について,都道府県知事の裁定を申請することができる。ただし,同項の認可があった日から3月を経過したときは,この限りでない。

2 第一種電気通信事業者は,使用権の存続期間の延長について前項の規定により裁定を申請したときは,その裁定があるまでは,引き続きその土地等を使用することができる。

第75条(裁 定)

1 都道府県知事は,前条第1項の規定による裁定の申請を受理したときは,3日以内に,その申請書の写しを当該市町村長に送付するとともに,土地等の所有者に裁定の申請があった旨を通知しなければならない。

2 市町村長は,前項の書類を受け取ったときは,3日以内に,その旨を公告し,公告の日から1週間,これを公衆の縦覧に供しなければならない。

3 市町村長は,前項の規定による公告をしたときは,公告の日を都道府県知事に報告しなければならない。

4 前3項の規定の適用については,これらの規定中「市町村長」とあるのは,特別区のある地にあっては「特別区の区長」と,地方自治法(昭和22年法律第67号)第252条の19第1項の指定都市にあっては「区長」と,全部事務組合のある地にあっては「全部事務組合の管理者」と,役場事務組合のある地にあっては「役場事務組合の管理者」とする。

第76条

 前条第2項の規定による公告があったときは,土地等の所有者その他利害関係人は,公告の日から10日以内に,都道府県知事に意見書を提出することができる。

第77条

1 都道府県知事は,前条の期間が経過した後,速やかに,裁定をしなければならない。

2 使用権を設定すべき旨を定める裁定においては,次の事項を定めなければならない。

一 使用権を設定すべき土地等の所在地及びその範囲

二 線路の種類及び数

三 使用開始の時期

四 使用権の存続期間を定めたときは,その期間

五 対価の額並びにその支払の時期及び方法

3 使用権の存続期間を延長すべき旨を定める裁定においては,延長する期間(延長に際し前項第5号に掲げる事項を変更するときは,延長する期間及び当該変更後の同号に掲げる事項)を定めなければならない。

4 都道府県知事は,第2項第5号に掲げる事項(前項に規定する変更後のものを含む。)については,あらかじめ収用委員会の意見を聴き,これに基づいて裁定しなければならない。この場合において,同号の対価の額の基準は,その使用により通常生ずる損失を償うように,線路及び土地等の種類ごとに政令で定める。

5 都道府県知事は,第74条第1項の裁定をしたときは,遅滞なく,その旨を第一種電気通信事業者及び土地等の所有者に通知するとともに,これを公告しなければならない。

6 使用権を設定すべき旨を定める裁定があったときは,その裁定において定められた使用開始の時期に,第一種電気通信事業者は,その土地等の使用権を取得するものとする。

7 使用権の存続期間を延長すべき旨を定める裁定があったときは,当該使用権の存続期間は,その裁定において定められた期間延長されるものとする。

8 第39条第6項から第8項までの規定は,第74条第1項の裁定について準用する。この場合において,第39条第6項及び第8項中「当事者が取得し,又は負担すべき金額」とあるのは「対価の額」と,同項中「異議申立て」とあるのは「審査請求」と読み替えるものとする。

第78条(土地等の一時使用)

1 第一種電気通信事業者は,次に掲げる目的のため他人の土地等を利用することが必要であって,やむを得ないときは,その土地等の利用を著しく妨げない限度において,一時これを使用することができる。ただし,建物その他の工作物にあっては,線路を支持するために利用する場合に限る。

一 線路に関する工事の施行のため必要な資材及び車両の置場並びに土石の捨場の設置

二 天災,事変その他の非常事態が発生した場合その他特にやむを得ない事由がある場合における重要な通信を確保するための線路その他の電気通信設備の設置

三 測標の設置

2 第一種電気通信事業者は,前項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは,都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし,天災,事変その他の非常事態が発生した場合において15日以内の期間一時使用するときは,この限りでない。

3 第一種電気通信事業者は,第1項の規定により他人の土地等を一時使用しようとするときは,あらかじめ,土地等の占有者に通知しなければならない。ただし,あらかじめ通知することが困難なときは,使用開始の後,遅滞なく,通知することをもって足りる。

4 第1項の規定により一時使用しようとする土地等が居住の用に供されているときは,その居住者の承諾を得なければならない。

5 第1項の規定による一時使用の期間は,6月(同項第2号に規定する場合において仮線路又は測標を設置したときは,1年)を超えることができない。

6 第1項の規定による一時使用のため他人の土地等に立ち入る者は,第2項の許可を受けたことを証する書面(同項ただし書の場合にあっては,その身分を示す証明書)を携帯し,関係人に提示しなければならない。

第79条(土地の立入り)

1 第一種電気通信事業者は,線路に関する測量,実地調査又は工事のため必要があるときは,他人の土地に立ち入ることができる。

2 前条第2項から第4項まで及び第6項の規定は,第一種電気通信事業者が前項の規定により他人の土地に立ち入る場合について準用する。

第80条(通 行)

1 第一種電気通信事業者は,線路に関する工事又は線路の維持のため必要があるときは,他人の土地を通行することができる。

2 第51条第3項並びに第78条第3項及び第4項の規定は,第一種電気通信事業者が前項の規定により他人の土地を通行する場合について準用する。

第81条(植物の伐採)

1 第一種電気通信事業者は,植物が線路に障害を及ぼし,若しくは及ぼすおそれがある場合又は植物が線路に関する測量,実地調査若しくは工事に支障を及ぼす場合において,やむを得ないときは,都道府県知事の許可を受けて,その植物を伐採し,又は移植することができる。

2 第一種電気通信事業者は,前項の規定により植物を伐採し,又は移植するときは,あらかじめ,植物の所有者に通知しなければならない。ただし,あらかじめ通知することが困難なときは,伐採又は移植の後,遅滞なく,通知することをもって足りる。

3 第一種電気通信事業者は,植物が線路に障害を及ぼしている場合において,その障害を放置するときは,線路を著しく損壊し,通信の確保に重大な支障を生ずると認められるときは,第1項の規定にかかわらず,都道府県知事の許可を受けないで,その植物を伐採し,又は移植することができる。この場合においては,伐採又は移植の後,遅滞なく,その旨を都道府県知事に届け出るとともに,植物の所有者に通知しなければならない。

第82条(損失補償)

1 第一種電気通信事業者は,第78条第1項の規定により他人の土地等を一時使用し,第79条第1項の規定により他人の土地に立ち入り,第80条第1項の規定により他人の土地を通行し,又は前条第1項若しくは第3項の規定により植物を伐採し,若しくは移植したことによって損失を生じたときは,損失を受けた者に対し,これを補償しなければならない。

2 前項の規定による損失の補償について,第一種電気通信事業者と損失を受けた者との間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,第一種電気通信事業者又は損失を受けた者は,郵政省令で定める手続に従い,都道府県知事の裁定を申請することができる。

3 第39条第3項から第8項までの規定は,前項の裁定について準用する。この場合において,同条第3項中「郵政大臣」とあるのは「都道府県知事」と,「答弁書」とあるのは「答弁書(損失を受けた者に通知する場合にあっては,意見書)」と,同条第4項中「郵政大臣」とあるのは「都道府県知事」と,同条第6項及び第8項中「当事者が取得し,又は負担すべき金額」とあるのは「補償金の額」と,同項中「異議申立て」とあるのは「審査請求」と読み替えるものとする。

4 損失の補償をすべき旨を定める裁定においては,補償金の額並びにその支払の時期及び方法を定めなければならない。

第83条(線路の移転等)

1 線路が設置されている土地等又はこれに近接する土地等の利用の目的又は方法が変更されたため,その線路が土地等の利用に著しく支障を及ぼすようになったときは,その土地等の所有者は,第一種電気通信事業者に,線路の移転その他支障の除去に必要な措置をすべきことを請求することができる。

2 第一種電気通信事業者は,前項の措置が業務の遂行上又は技術上著しく困難な場合を除き,同項の措置をしなければならない。

3 第1項の措置について,第一種電気通信事業者と土地等の所有者との間に協議が調わないとき,又は協議をすることができないときは,第一種電気通信事業者又は土地等の所有者は,郵政省令で定める手続に従い,都道府県知事の裁定を申請することができる。

4 第75条,第76条並びに第77条第1項及び第5項の規定は,前項の裁定について準用する。

5 第1項の措置をすべき旨を定める裁定においては,その措置に要する費用の全部又は一部を土地等の所有者が負担すべき旨を定めることができる。

6 第1項の措置をすべき旨を定める裁定においては,その措置をすべき時期(前項の場合にあっては,その時期並びに土地等の使用者が負担すべき費用の額,支払の時期及び支払の方法)を定めなければならない。

7 第4項において準用する第77条第5項の規定による公告があったときは,裁定の定めるところに従い,第一種電気通信事業者と土地等の所有者との間に協議が調ったものとみなす。

8 第39条第6項から第8項までの規定は,第3項の裁定について準用する。この場合において,同条第6項及び第8項中「当事者が取得し,又は負担すべき金額」とあるのは「費用の負担の額」と,同項中「異議申立て」とあるのは「審査請求」と読み替えるものとする。

第84条(原状回復の義務)

 第一種電気通信事業者は,土地等の使用を終わったとき,又はその使用する土地等を第一種電気通信事業の用に供する必要がなくなったときは,その土地等を原状に回復し,又は原状に回復しないことによって生ずる損失を補償して,これを返還しなければならない。

第85条(公用水面の使用)

1 第一種電気通信事業者は,公共の用に供する水面(以下「水面」という。)に電気通信事業の用に供する水底線路(以下「水底線路」という。)を敷設しようとするときは,あらかじめ,次の事項を郵政大臣及び関係都道府県知事(漁業法(昭和24年法律第267号)第136条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行う漁場たる水面については,農林水産大臣を含む。次項において同じ。)に届け出なければならない。

一 水底線路の位置及び次条第1項の申請をしようとする区域

二 工事の開始及び完了の時期

三 工事の概要

2 関係都道府県知事は,前項の規定による届出があった場合において,漁業権(漁業法による漁業権をいう。以下同じ。)に関する利害関係人若しくは同項第1号の区域において次条第4項の政令で定める漁業を現に適法に行っている者の意見により,又は漁業に対する影響を勘案して,前項の届出に係る事項を変更する必要があると認めるときは,他の関係都道府県知事がある場合にあっては必要な協議を行った上,届出があった日から30日以内に,その旨を郵政大臣及び当該第一種電気通信事業者に通知することができる。

3 第一種電気通信事業者は,前項の規定による通知を受けた場合には,当該事項を変更しなければならない。ただし,当該事項の変更がその業務の遂行上著しい支障がある場合において,その変更を要しない旨の郵政大臣の認可を受けたときは,その事項については,この限りでない。

第86条(水底線路の保護)

1 郵政大臣は,第一種電気通信事業者の申請があった場合において,前条に定める敷設の手続を経た水底線路を保護するため必要があるときは,その水底線路から1000メートル(河川法(昭和39年法律第167号)が適用され,又は準用される河川(以下「河川」という。)については,50メートル)以内の区域を保護区域として指定することができる。

2 前項の規定による指定は,告示によって行う。

3 第一種電気通信事業者は,第1項の規定による保護区域の指定があったときは,郵政省令で定めるところにより,これを示す陸標を設置し,かつ,その陸標の位置を公告しなければならない。

4 何人も,第1項の保護区域内において,船舶をびよう泊させ,底びき網を用いる漁業その他の政令で定める漁業を行い,若しくは土砂を掘採し,又は前項の陸標に舟若しくはいかだをつないではならない。ただし,河川管理者が河川工事を行う場合,海岸法(昭和31年法律第101号)第2条第2項に規定する海岸管理者(以下この条において「海岸管理者」という。)が同法第2条第1項に規定する海岸保全施設(以下この項において「海岸保全施設」という。)に関する工事を施行する場合又は同法第6条第1項の規定により主務大臣が海岸保全施設に関する工事を施行する場合においてやむを得ない事情があるとき,その他政令で定める場合は,この限りでない。

5 都道府県知事(漁業法第136条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行う場合は,農林水産大臣。次項において同じ。)は,第一種電気通信事業者の申請があった場合において,水底線路を保護する必要があると認めるときは,第1項の保護区域内の水面に設定されている漁業権を取り消し,変更し,又はその行使の停止を命ずることができる。

6 都道府県知事は,第1項の保護区域内の水面における漁業権の設定については,水底線路の保護に必要な配慮をしなければならない。

7 海岸管理者は,第1項の保護区域の水面における施設若しくは工作物の設置又は行為の許可については,水底線路の保護に必要な配慮をしなければならない。

第87条

1 第一種電気通信事業者は,前条第5項の規定による漁業権の取消し,変更又はその行使の停止によって生じた損失を当該漁業権者に対し補償しなければならない。

2 漁業法第39条第6項から第11項までの規定は,前項の規定による損失の補償について準用する。この場合において,同条第9項中「」とあり,及び同条第10項中「政府」とあるのは,「第一種電気通信事業者」と読み替えるものとする。

第88条

 船舶は,水底線路の敷設若しくは修理に従事している船舶であって,その旨を示す標識を掲げているものから1000メートル以内で郵政省令で定める範囲内(河川については,50メートル以内)又は敷設若しくは修理中の水底線路の位置を示す浮標であって,その旨の標識を掲げてあるものから400メートル以内で郵政省令で定める範囲内(河川については,30メートル以内)の水面を航行してはならない。

 

第4章 雑  則

 

第89条(許可等の条件)

1 許可又は認可には,条件を付し,及びこれを変更することができる。

2 前項の条件は,許可若しくは認可の趣旨に照らして,又は許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要最小限のものでなければならない。

第90条(適用除外等)

1 この法律の規定は,次に掲げる電気通信事業については,適用しない。

一 専ら一の者(電気通信事業者たる一の者を除く。)に電気通信役務を提供する電気通信事業

二 その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内である電気通信設備その他郵政省令で定める基準に満たない規模の電気通信設備により電気通信役務を提供する電気通信事業

三 電気通信設備を用いて他人の通信を媒介する電気通信役務以外の電気通信役務を提供する第二種電気通信事業

2 前項の規定にかかわらず,第3条及び第4条の規定は,同項各号に掲げる電気通信事業を営む者の取扱中に係る通信についても適用する。

第91条(外国人等の取得した株式の取扱い)

1 証券取引所に上場されている株式又はこれに準ずるものとして郵政省令で定める株式を発行している会社である第一種電気通信事業者(第11条第2項に規定する国際電気通信事業を営むことについて第9条第1項の許可を受けた者を除く。)は,その株式を取得した第11条第1項第4号から第6号までに掲げる者又はこれらの者の占める議決権の割合が郵政省令で定める割合以上である法人若しくは団体(次項及び次条において「外国人等」という。)から,その氏名及び住所を株主名簿に記載することの請求を受けた場合において,その請求に応ずることにより第11条第1項第7号に該当することとなるときは,その氏名及び住所を株主名簿に記載することを拒むことができる。

2 前項の規定の適用を受ける第一種電気通信事業者(次条第2項の規定の適用を受けるものを除く。)は,郵政省令で定めるところにより,外国人等がその議決権に占める割合を公告しなければならない。ただし,その割合が郵政省令で定める割合に達しないときは,この限りでない。

第91条の2

1 前条第1項の規定の適用を受ける第一種電気通信事業者であって株券等の保管及び振替に関する法律(昭和59年法律第30号)第3条第1項に規定する保管振替事業において取り扱われている株券を発行しているものは,同法第31条第1項の規定による通知に係る同法第30条第1項に規定する実質株主のうちの外国人等が同項の規定により各自有するものとみなされる株式のすべてについて同法第32条第2項の規定により実質株主名簿に記載することとした場合に第11条第1項第7号に該当することとなるときは,同号に該当することとならないように当該株式の一部に限って実質株主名簿に記載する方法として郵政省令で定める方法に従い記載することができる株式以外の株式については,同法第32条第2項の規定にかかわらず,同項の規定による実質株主名簿の記載をしないことができる。

2 前項の第一種電気通信事業者は,商法(明治32年法律第48号)第224条ノ3第1項の一定期間の初日又は同項の一定の日から郵政省令で定める日数前までに,郵政省令で定める方法により,外国人等がその議決権に占める割合を公告しなければならない。

第92条(報告及び検査)

1 郵政大臣は,この法律の施行に必要な限度において,電気通信事業者に対し,その事業に関し報告をさせ,又はその職員に,第一種電気通信事業者若しくは特別第二種電気通信事業者の営業所,事務所その他の事業場に立ち入り,電気通信設備,帳簿,書類その他の物件を検査させることができる。

2 郵政大臣は,この法律の施行に必要な限度において,指定試験機関若しくは指定認定機関に対し,その業務に関し報告をさせ,又はその職員に,指定試験機関若しくは指定認定機関の事務所若しくは事業所に立ち入り,帳簿,書類その他の物件を検査させることができる。

3 前2項の規定により立入検査をする職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係人に提示しなければならない。

4 第1項及び第2項の規定による立入検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第93条(協議等)

 この法律の規定により,第二種電気通信事業に関し,郵政大臣が郵政省令(政令で定めるものに限る。)を定め,若しくは命令その他の処分(政令で定めるものに限る。)を行う場合又は郵政大臣に対し第二種電気通信事業に関する届出(政令で定めるものに限る。)若しくは登録の申請があった場合における必要な関係行政機関との協議,これに対する通知その他の手続については,政令で定める。

第94条(審議会への諮問)

 郵政大臣は,次に掲げる処分等をしようとするときは,政令で定める審議会(以下この条において「審議会」という。)に諮り,その決定を尊重してこれをしなければならない。ただし,審議会が軽微な事項と認めたものについては,この限りでない。

一 第9条第1項の規定による第一種電気通信事業の許可

二 第14条第1項の規定による第一種電気通信事業者の電気通信役務の種類等の変更の許可

三 第21条第3項の規定による政令の制定,変更又は廃止の立案

四 第31条第1項の規定による第一種電気通信事業者の料金に関する認可

五 第31条の2第1項の規定による第一種電気通信事業者の契約約款に関する認可

六 第31条の2第3項に規定する標準契約約款の制定,変更又は廃止

七 第41条第1項,第49条第1項又は第52条第1項第1号の規定による技術基準に係る郵政省令の制定,変更又は廃止

第95条(聴聞の特例)

1 郵政大臣は,第36条,第37条又は第39条第1項の規定による処分をしようとするときは,行政手続法(平成5年法律第88号)第13条第1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず,聴聞を行わなければならない。

2 第19条第1項,第20条第1項,第28条第1項,第36条,第37条,第39条第1項,第46条(第54条第2項において準用する場合を含む。)又は第59条第3項(第72条において準用する場合を含む。)の規定による処分に係る聴聞の主宰者は,行政手続法第17条第1項の規定により当該処分に係る利害関係人が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは,これを許可しなければならない。

第96条(不服申立ての手続における意見の聴取)

1 この法律の規定による処分についての審査請求又は異議申立てに対する裁決又は決定は,審査請求人又は異議申立人に対し,相当な期間を置いて予告をした上,意見の聴取をした後にしなければならない。

2 前項の予告においては,期日,場所及び事案の内容を示さなければならない。

3 第1項の意見の聴取に際しては,審査請求人又は異議申立人及び利害関係人に対し,当該事案について証拠を提示し,意見を述べる機会を与えなければならない。

第97条(指定試験機関等の処分についての審査請求)

 この法律の規定による指定試験機関又は指定認定機関の処分に不服がある者は,郵政大臣に対し,行政不服審査法(昭和37年法律第160号)による審査請求をすることができる。

第98条(手数料)

1 第12条第4項の規定による確認を受ける者,電気通信主任技術者試験若しくは工事担任者試験を受けようとする者,技術基準適合認定を受けようとする者又は電気通信主任技術者資格者証若しくは工事担任者資格者証の交付若しくは再交付を受けようとする者は,実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

2 前項の手数料は,指定試験機関がその試験事務を行う試験を受けようとする者の納めるものについては当該指定試験機関の,指定認定機関が行う技術基準適合認定を受けようとする者の納めるものについては当該指定認定機関の,その他のものについては国庫の収入とする。

第99条(経過措置)

 この法律の規定に基づき命令を制定し,又は改廃するときは,その命令で,その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において,所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 

第5章 罰  則

 

第100条

 第9条第1項の規定に違反して第一種電気通信事業を営んだ者は,3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。

第101条

 次の各号の一に該当する者は,2年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。

一 第18条第1項の規定に違反して第一種電気通信事業の全部又は一部を休止し,又は廃止した者

二 第34条の規定に違反して電気通信役務の提供を拒んだ者

第102条

1 みだりに電気通信事業者の事業用電気通信設備を操作して電気通信役務の提供を妨害した者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

2 第一種電気通信事業又は特別第二種電気通信事業に従事する者が,正当な理由がないのに電気通信事業者の事業用電気通信設備の維持又は運用の業務の取扱いをせず,電気通信役務の提供に障害を生ぜしめたときも,前項と同様とする。

3 第1項の未遂罪は,罰する。

第103条

 第24条第1項の規定に違反して特別第二種電気通信事業を営んだ者は,1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。

第104条

1 電気通信事業者の取扱中に係る通信(第90条第2項に規定する通信を含む。)の秘密を侵した者は,1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

2 電気通信事業に従事する者が前項の行為をしたときは,2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

3 前2項の未遂罪は,罰する。

第105条

 第60条第1項(第72条において準用する場合を含む。)の規定に違反してその職務に関し知り得た秘密を漏らした者は,1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第106条

 第66条第2項(第72条において準用する場合を含む。)の規定による業務の停止の命令に違反したときは,その違反行為をした指定試験機関又は指定認定機関の役員又は職員は,1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

第107条

 次の各号の一に該当する者は,100万円以下の罰金に処する。

一 第14条第1項の規定に違反して第9条第2項第2号から第4号までの事項を変更した者

二 第15条第1項の規定に違反して電気通信業務の一部を委託した者

三 第31条第4項又は第31条の2第4項の規定に違反して電気通信役務を提供した者

四 第36条,第37条,第39条第1項又は第42条の規定による命令又は処分に違反した者

五 第38条第1項又は第40条の規定に違反して協定又は契約を締結し,変更し,又は廃止した者

六 第44条第1項の規定に違反して電気通信主任技術者を選任しなかった者

第108条

 次の各号の一に該当する者は,30万円以下の罰金に処する。

一 第22条第1項の規定に違反して一般第二種電気通信事業を営んだ者

二 第27条第1項の規定に違反して第24条第2項第2号又は第3号の事項を変更した者

三 第31条第7項において準用する同条第4項又は第31条の2第6項の規定に違反して電気通信役務を提供した者

四 第50条第3項の規定に違反して技術基準適合認定をした旨の表示又はこれと紛らわしい表示を付した者

第109条

 第92条第1項の規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告をした電気通信事業者又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み,妨げ,若しくは忌避した第一種電気通信事業者若しくは特別第二種電気通信事業者の役員若しくは職員は,20万円以下の罰金に処する。

第110条

 次の各号の一に該当するときは,その違反行為をした指定試験機関又は指定認定機関の役員又は職員は,20万円以下の罰金に処する。

一 第63条(第72条において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備え付けず,帳簿に記載せず,若しくは帳簿に虚偽の記載をし,又は帳簿を保存しなかったとき。

二 第65条第1項(第72条において準用する場合を含む。)の規定に違反して試験事務又は技術基準適合認定の業務の全部を廃止したとき。

三 第92条第2項の規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告をし,又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み,妨げ,若しくは忌避したとき。

第111条

 次の各号の一に該当する者は,10万円以下の罰金に処する。

一 第12条第5項(第14条第4項において準用する場合を含む。),第22条第3項,第23条第2項若しくは第3項(第30条において準用する場合を含む。),第38条第4項,第43条第1項若しくは第2項又は第44条第2項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をした者

二 第32条第1項の規定に違反して料金又は契約約款を掲示しなかった者

三 第35条の規定による報告をせず,又は虚偽の報告をした者

四 第86条第4項又は第88条の規定に違反した者

第112条

 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,第100条から前条までの違反行為(第102条,第105条,第106条及び第110条の違反行為を除く。)をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,各本条の罰金刑を科する。

第113条

 次の各号の一に該当する者は,100万円以下の過料に処する。

一 第33条の規定に違反した者

二 第91条の2第2項の規定に違反して公告することを怠り,又は不実の公告をした者

第114条

 次の各号の一に該当する者は,10万円以下の過料に処する。

一 第13条,第14条第2項,第22条第2項,第23条第4項(第30条において準用する場合を含む。)又は第27条第4項の規定による届出をせず,又は虚偽の届出をした者

二 正当な理由がないのに第46条(第54条第2項において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反して電気通信主任技術者資格者証又は工事担任者資格者証を返納しなかった者

三 第86条第3項の規定に違反した者

 


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最終更新日: 1998/04/08

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