ケンタッキー州の「1998年情報技術の利用に関する法律」

(仮訳)

<2000年1月17日改訂版>

翻訳:夏井高人


これは,アメリカ合衆国ケンタッキー州法の電子記録及び電子署名に関する法律である「情報技術の利用に関する法律(An Act relating to the use of information technology)を大急ぎで仮訳したものです。誤訳もあるかもしれません。この点,ご注意ください。

なお,この法律のオリジナル・テキスト(Microsoft Word形式ファイルのダウンロード)及び解説(HTML)は,

http://www.state.ky.us/agencies/elecsig/

で入手できます。


1998年3月27日公布

1998年4月8日州知事署名

 

情報技術の利用に関する法律(An Act relating to the use of information technology

 

SECTION 1.

ケンタッキー州法第369章第1条を次のとおり新設する。

本法の第1条ないし第3条までは,現在の商業的合理性と一致し,かつ,以下の目的を効果的に果たすためのものとして解釈されなければならない。

(1) 州政府のオンラインによるサービスを容易にし,かつ,これを増進し,

(2) 州政府内,公共部門と民間部門の間及び民間部門の団体間での適法な電子記録(electronic records)の流通を容易にし,かつ,

(3) 電子記録の完全性と信頼性に関する社会的信頼を増進すること

SECTION 2.

ケンタッキー州法第369章第2条を次のとおり新設する。

本法の第1条ないし第3条においては,文脈が明らかに他の意味を要求しない限り,

(1) 「電子的(Electronic)」とは,電子的,デジタル的,磁気的,光学的,電子磁気的,または,その他これらの技術に類する能力を必要とする技術形態を意味する。

(2) 「電子記録(Electronic record)」とは,情報システムで利用するため,または,ある情報システムから他の情報システムへ転送するために,電子的手段によって生成され,通信され,受領され,記憶されたデータもしくは情報のデジタル表現を意味する。

(3) 「電子署名(Electronic signature)」とは,手書きの署名の使用と同じ強制力と効果を持ち,かつ,以下のような特徴を有するものとして利用されるべき電子的な認証手段を意味する。

(a) それを使用する者を特定できること

(b) 照合可能であること,そして,

(c) それを使用する者のコントロールの下にのみあること

(4) 「記録(Record)」とは,有形の媒体に記録され,記憶され,もしくは,固定された情報,または,電子的媒体その他の媒体に記憶され,認識可能な形式で復元することのできる情報を意味する。

SECTION 3.

ケンタッキー州法第369章第3条を次のとおり新設する。

(1) 本法の第1条ないし第3条は,

(a) それを適用することによって,当事者が書面に表現しようとしたころと一致しなくなるような状況

(b) 遺言もしくは信託に基づき権利義務を移転するために用いられる書面の作成または執行について適用される法律上の要件

(c) 不動産の関連する取引(conveyance)について適用される法律上の要件

(d) 合意の手段,その合意により生成される権限もしくはその権限に基づく利益の作成または移転について適用される法律上の要件

に関しては適用しない。

(2) 本法の第1条ないし第3条は,

(a) 電子記録もしくは電子署名(electronic signature)の送信前に,当事者が自由かつ任意にその利用について合意しているのでない限り,電子記録もしくは電子署名に信頼を寄せる受信者その他の者に対し,電子記録もしくは電子署名を承認すること,または,電子記録もしくは電子署名に基づいて応答もしくは行動することを要求し,

(b) 電子記録もしくは電子署名の送信前に,受信者が承認するであろう電子記録もしくは電子署名の条件について当事者が自由かつ任意に合意しているのでない限り,受信者が承認すべき電子記録もしくは電子署名の条件の形成について,電子記録もしくは電子署名の受信者を排除し,あるいは,

(c) 州もしくは地方自治体政府の機関が,電子記録もしくは電子署名の送信を事前に認可し,かつ,送信の方法及び媒体がその機関にとって承認可能なものでない限り,州もしくは地方自治体政府の機関に対し,電子記録もしくは電子署名の認可を要求する

ものとして解釈されてはならない。

(3) 民間部門の業務に従事する当事者全員が電子記録もしくは電子署名の利用に合意した場合,または,州もしくは地方自治体政府の機関の取り扱いにつき当該機関が電子記録もしくは電子署名の認可に同意した場合において,

(a) 情報,記録及び電子署名は,それらが電子的形態である,複製可能な形態である,もしくは,イメージ形態であるという理由のみでは,その法的効果,法的有効性または法的強制力を否定されてはならない。

(b) 州規則もしくは政府規則が手書きの署名を要求し,または,そうでない場合について特定の結果をもたらす規定を設けているときには,電子署名は,手書きの署名を利用した場合と同じ強制力及び効果を有するのでなければならない。

(c) 州規則もしくは政府規則が,情報がその原本(original form)によって表示もしくは保存されるものであることを要求し,または,そうでない場合について特定の結果をもたらす規定を設けているときは,電子記録は,当該州規則もしくは政府規則の要件を満たすものとされなければならない。

(d) 州規則もしくは政府規則が,情報が「手書きされた」ものであることを要求し,または,情報が手書きでない場合について特定の結果をもたらす規定を設けているときは,電子記録は,それが電子記録等として最初に最終稿が生成された時からデータもしくは情報の完全性が保証されるものとして存在しているのである限り,当該州規則もしくは政府規則の要件を満たすものとされなければならない。

Section 4. 

ケンタッキー州法61.950は,次のとおり改正される。

(1) 委員会は,少なくとも年4回会議を開催し,かつ,立法調査委員会(the Legislative Research Commission)及び州知事に対し,半年に1回以上,その調査結果を報告しなければならない。委員会の報告はすべて,一般市民に利用可能なものでなければならない。加えて,委員会は,その委員長の召集によって,必要と考える時に会議を開催することができる。

(2) 委員会の任務と義務は,以下のものを含むものとする。

(a) 州政府及び公立大学の行政部門のために,全体的なリーダーシップ,方針の指示,戦略的なプランニング,情報資源管理(information resources management)の調整を提供すること

(b) 委員会の要求によって公立大学を含む行政部門に属する機関によって提出される長期情報資源管理計画から2年毎に改訂されるべき州全体の情報資源管理5カ年計画を作成すること

(c) 州の行政機関による情報資源の管理に関する情報資源管理基準,並びに,情報資源管理基準の遵守を確保するための実施手順及び手続を,適宜,決定し,管理し,出版すること

(d) 政策及び機関相互の合意と意見聴取を通じて,戦略的情報システムの計画を検討している州及び地方自治体の行政機関のための適切な訓練・教育プログラムについて,並びに,情報資源管理,適切な労働能力の涵養(employee skill building)及びキャリアの育成(career development)が効果的にできるようにするための情報技術の選択・利用について,調整すること

(e) 政府の行政部門内における情報資源管理について,執行レベルでの認識,支援及び関わり合いを増進させること

(f) 行政機関の戦略的情報資源5カ年計画の全部または一部の認可もしくは却下を報告し,そして,予算の執行と立案において活用するために,その行政機関の長,州知事の政策管理事務所(the Governor's Office for Policy and Management)及び議会調査委員会(Legislative Research Commission)に対する報告及び勧告の中に,その計画を組み入れること。委員会の報告は,その計画が州全体の情報資源管理基準,政策及びガイドラインに準拠し,機関の活動を支持するよう適合し,そして,州全体の計画の中で規定されている州全体のイニシアティブを更に実施する程度に基づかなければならない。調査報告の過程において,委員会は,現在の計画の進行状況及び行政機関における情報技術の利用状況を調査・評価しなければならず,また,これらの活動に対する評価結果を調査報告及び勧告の中に組み入れなければならない。

(g) 情報資源を各機関が共同開発及び共同利用する機会,または,情報の質及び利用可能性を向上させ得るような行政機関のプロジェクトの機会を検討し,評価すること。これらの機会を検討するについて,委員会は,行政機関に対し,その行政機関の計画の選択肢としてその機会を評価するように求めることができ,また,本条(f)項に規定する報告の中にそれを組み入れることができる。

(h) 情報技術を含み,もしくは,情報技術の影響を受ける州全体の包括的な戦略の調整及び実施を確保するのに必要なものとして,ケンタッキー州法61.955及び61.957に規定する付属物通信諮問委員会(the adjunct Communications Advisory Council)並びに1992101日行政命令92-1049によって設立された地理情報諮問委員会(the Geographic Information Advisory Council)との協力関係を維持し,調整すること

(i) 情報技術を含み,もしくは,情報技術の影響を受ける州全体の包括的な戦略の策定及び実施を確保するのに必要なものとして,他の企画組織との関係を確立し,維持すること

(j) 技術的なポジション及び管理上のポジションを含ませるために,人事局(the Department of Personnel)その他の関連部局に対し,情報資源管理に関連する適切なジョブ配分を調査報告し,推奨すること

(k) 以下の目的により,情報普及サービスまたはクリーニングハウス(an information dissemination service or clearinghouse)を確立し,管理すること

1 情報資源管理に関する州機関の現行業務

2 現在の及び将来の情報資源技術

3 公共部門における情報資源・ベンダーの能力

4 州(the Commonwealth)内の技術的資源,及び,

5 情報資源管理基準の要素

(l) 次のものを含め,州の公共部門のための,情報資源技術を有利に適用する能力の調査と開発を確立し,維持すること

1 現行及び現在の情報資源技術及び政府サービスへのその拡大の可能性に関する調査の実行

2 州の他の機関が続いて採用することを補佐するためのパイロット・プロジェクトの金銭的支援と評価

(m) 公共サービス提供の改善及び拡大のための,州の情報資源技術コミュニティの興味関心及び協力を助長し,奨励すること

(n)  公共部門における情報技術の増進のための促進剤を提供すること

(o) 州機関,市民及び企業による機械読取式公文書へのアクセス可能性を改善ずるための手続及び立法を保証すること

(p) 個人のプライバシーに対する侵害の可能性に特に留意してなされる,個人のプライバシーを確保するための手続及び立法を保証すること

(3) ケンタッキー州法61.940及び61.945並びに本条は,ケンタッキー州法171.410ないし171.740の各規定並びにこれらの法律により文書記録委員会(the Archives and Records Commission)及び公文書局(the Department for Libraries and Archives)に与えられている権限を変更または制限するものとして解釈してはならない。

(4) 委員会は,本条の普及のために,州政府の行政部門の電子署名基準を確立するための行政規則を含む必要な行政規則を公布することができる。

(5) 委員会は,その責任,義務及び権限を行使するについて,委員会を補佐するために必要なときは,委員会委員であるメンバー及び委員ではないメンバーで構成される小委員会または作業部会(work groups)を組織することができる。

(6) 委員会は,その円滑かつ効果的な運営のために必要な内規(bylaws)及び運営方針を採択することができる。

 


Copyright (C) 1998-2000 Takato NATSUI, All rights reserved.

最終更新日:Jan/17/2000

インデックス・ページへ

トップ・ページへ