ジョージア州(USA)の「1997年電子記録及び電子署名法」

(仮訳)

翻訳:夏井高人


これは,アメリカ合衆国ジョージア州の電子記録及び電子署名法(Georgia Electronic Records and Signatures Act)を大急ぎで仮訳したものです。誤訳もあるかもしれません。この点,ご注意ください。

なお,この法律のオリジナル・テキストは,

http://www.cc.emory.edu/BUSINESS/digital_signature_draft.html

で入手することができます。


Tysinger上院議員(第41番),Egan上院議員(第40番),Oliver上院議員(第42番)による上院の法案第103号

1997年3月20日:下院(House) で採択

1997年3月24日:上院 (Senate) は下院(House)の修正に同意

取引と貿易に関するジョージア州法典(Official Code of Goergia Annotated)タイトル10を改正して,ジョージア州電子記録及び電子署名法(Georgia Electronic Records and Signatures Act)を略称とする法律を制定するための,法の条文と定義を定めるための,手書きの署名の代わりに電子署名(electronic signature)の使用を公認し,その使用についての法的有効性を定めるための,公的記録の公開の例外に関するジョージア州法典50-18-72条を改正し,その例外の中に電子署名に関連する一定の情報を含ませるための,ジョージア州法典タイトル50第29章「1995年情報技術政策法 Information Technology Policy Act 1995」を改正して,法の中身を定めるための,政府部門及び民間部門における電子媒体を使用したビジネス遂行の奨励に権威を与えて,ジョージア州情報技政策評議員会(Georgia Information Technology Policy Council)の権限と義務を定めるための,パイロット・プロジェクトに関して定めるための,電子取引研究委員会(Electronic Commerce Study Committee)及びその委員,手当,義務及び権限を定めること)を定めるための,この法律の発効日を定めるための,抵触する他の法律を無効なものとするための,並びに,その他の目的のための法律

 

Section 1.

取引と貿易に関するジョージア州法典(Official Code of Goergia Annotated)タイトル10を,その最後に次の新しい章を追加して改正する。

第12章

10-12-

本章は,「ジョージア州電子記録及び電子署名法」(Georgia Electronic Records and Signatures Act)として認識され,引用されなければならない。

10-12-

本章の規定は,電子政府(electronic government)及び電子取引(electronic commerce)の開発を促進するためのものであると解釈されなければならない。

10-12-

本章では,次の各用語は,次のとおりの用法とする。

(1) 「電子署名 electronic signature」とは,ある記録を認証する(authentificate)ためもしくは認証することによって拘束力あるものとされることを目的として,当事者によって実行されもしくは採用される電子的手段またはデジタル手段であって,それを使用する当事者を識別可能なものであり,照合(verification)が可能であり,それを使用する当事者の合意にのみ基づくものであり,かつ,もしデータが変更されたときは電子署名を無効とするような方法でデータとリンクされているものを意味する。

(2) 「記録 record」とは,有形の媒体上に固定されている情報,電子媒体その他の媒体上に記憶されている情報,または,電子媒体その他の媒体上に記憶されており,認識可能な形式で検索することができる情報を意味する。「記録」は,電子的記録,印刷された記録,タイプで打たれた記録及び有形の記録(tangible records)を含む。

10-12-

州またはその行政部門の省もしくは庁(これらに限定されるわけではない。)を含むすべての個人または団体は,電子署名が付されもしくは採用された電子記録によって拘束されることを要求され,承認し,または,同意することができるが,それを義務づけられてはならない。個人または団体が,電子署名が付されもしくは採用された電子記録によって拘束されることを要求され,承認し,または,同意する場合には,

(1) 手書きのタイプの記録を要求する法律の要件は,充足されたものと推定され,かつ,

(2) 署名を要求する法律の要件は,充足されたものと推定される。」

Section 2.

公的記録の公開の例外に関するジョージア州法典50-18-72条は,その(a)項(10)号の最後に「または」を削除し,同項(11)号の最後にピリオドを打って,「または」を挿入し,その直後に次の文章を挿入して,改正される。

「(12) それが明らかにするであろうか、あるいはプロセスでどんなコンポーネントの公表にでも導くかもしれないインフォメーションを含んでいる公開記録が、もしこのような発表が電子の署名をそれを使っている人の唯一の制御の下であるのをやめさせるであろう、あるいはそうするかもしれなかったなら、実行するか、あるいは電子の署名を採用したものであった。

電子署名の実行もしくは採用のために利用されるプロセスにおいて公開される情報またはその内容が開示されることになる情報を含む公的記録,その電子署名を使用する者のコントロールのみに基づいて電子署名を終了させるような開示である場合。本項においては,「電子署名」は,10-12-3条におけるのと同じ意味を有する。」

Section 3.

ジョージア州法典タイトル50第29章「1995年情報技術政策法 Information Technology Policy Act 1995」は,以下の新しい条文を挿入して,改正される。

50−29−12

(a) 総会 (The General Assembly) は,政府部門及び民間部門における電子媒体を使用したビジネスと業務(transaction)の遂行を奨励することによって,経済発展及び政府サービスの効率的な分配を促進することを切望する。

(b) 州のすべての政府機関,官庁及び委員会は,電子署名のような技術について,そのような技術に関連するサービスを提供する私企業との間の公的もしくは私的なパートナーシップを通じて,その技術の応用のモデルを提供するパイロット・プロジェクトを設立する権限を与えられる。かかるパイロット・プロジェクトは,ジョージア州情報技政策評議員会(Georgia Information Technology Policy Council)によって承認されなければならない。かかるプロジェクトは,商用の応用及び政府部門での応用のいずれについても,電子署名技術の主要なカテゴリーを含むものであり,かつ,申請手続を経て設立される。パイロット・プロジェクトは,電子署名のような技術の応用の概念の証明を提供することを目途とするものであり,将来のいずれのにおける州の統治能力における州政府の役割と同様に,電子署名の利点を可能な限り大きくするものとして,総会及び公衆の教育を提供することを目途とするものである。かかるパイロット・プロジェクトの1つは,電子署名,そして,サービス・プロバイダーによって構築される公開鍵のインフラストラクチャの利用を含むものであるかもしれない。これらパイロット・プロジェクトのために選任される私的なパートナーは,州の資金を必要としないようにするために,これらのサービスの費用を支弁するためのユーザ利用料金を設定することができる。

(c) 州政府機関が設立するパイロット・プロジェクトは,ジョージア州情報技政策評議員会(Georgia Information Technology Policy Council)に対し,当該プロジェクトに関する中間報告書を年4回提出しなければならない。そして,評議員会は,電子取引研究委員会(Electronic Commerce Study Committee)に対し,この報告書を提出しなければならない。委員会は,当該パイロット・プロジェクトの成功度をモニターし,委員会のリソースが利用可能な限りにおいて,技術的な助言をしなければならない。

(d) 電子取引研究委員会(Electronic Commerce Study Committee)は,12名の委員で構成される。委員会は,電子記録及び電子署名に関連する問題について研究しなければならない。上院議長は,委員会の5名の委員を任命し,その中の3名は上院議員,2名は電子取引に対する興味及び専門知識を有する一般市民から任命しなければならない。上院議長及び下院議長は,その議会から任命された者の中から委員会の共同議長を指名しなければならない。ジョージア州情報技政策評議員会(Georgia Information Technology Policy Council)は,委員会の委員1名を任命しなければならない。州務長官(Secretary of State)は,委員会の委員1名を任命しなければならない。委員会は,共同議長の召集に基づき,適切な時期に適切な場所で会議を開催する権限を有し,また,完全かつ十分に,その権限を行使し,その任務を遂行し,その目的を達成するために必要または有用なその他のことを行う権限を有する。議会委員及び市民委員は,委員会での職務に対するものとして,暫定的な議会任命委員のために法律によって認められた手当を受け取るが,5日分以上の手当を受け取ることはできない。議員以外の州政府の公務員である委員及び州の従業員は,委員会における職務に対する手当を受け取ることができないが,委員会の委員としての職務遂行のために支出した費用の償還を受ける。議員以外の州政府の公務員である委員及び州の従業員の委員会の委員としての職務遂行のために支出した費用の償還の資金は,関連部局に割り当てられた資金,または,使用可能な資金の中から支出する。本項の規定を実施するために必要なその他の資金は,上院及び下院に割り当てられた資金,または,使用可能な資金の中から支出する。委員会が調査結果及び勧告の報告書を作成する場合,もし立法提案の示唆を伴うのであれば,そのような報告書は,1997年12月15日以前に作成されなければならない。委員会は,1997年12月15日に廃止となる。」

Section 4.

本法は,州知事の承認によって,または,当該承認なしに法律となることによって発効する。

Section 5.

すべての法律または法律の部分は,この法律と抵触する限り,無効とする。

 


Martin議員(第47番)は,次のとおりの修正案を提出した。

 

改正法SB103の1頁7行目の「usage;」の語及び記号の後に,次のとおり挿入して,修正する。

「無権限で電子署名を使用された者の損害の回復を定めるために,」

2頁32行目の最後の引用符を削除し,2頁32行目と33行目の間に次のとおり挿入して,修正する。

10-12-

無権限で電子署名を使用された者は,当該電子署名の無権限使用が故意または過失による場合には,当該無権限使用をした者に対し,次の損害の全部または一部の回復もしくは賠償を請求することができる。

(1) 実質的損害(actual damage)

(2) 差止命令,金銭もしくは財産の返還を含む(これらに限定されるわけではない。)衡平法上の救済

(3) 法典51-12-51条に規定する要件に基づく懲罰的損害賠償

(4) 合理的な範囲内の弁護士報酬及び訴訟費用

(5) 裁判所が適当と認めるその他の救済

本条において,「 person」とは,自然人,会社,信託,組合,法人もしくは法人格のない団体,または,その他の法的団体を意味する。」

 


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最終更新日: 1998/04/27

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