アメリカ合衆国「1998年高齢者スキャム防止法案」

(仮訳)

翻訳:夏井高人


これは,アメリカ合衆国のインターネット上の消費者保護のための新規立法である「1998年高齢者スキャム防止法(Protection Against Scams on Seniors Act of 1998)」の下院提出法案[H.R.3134]を大急ぎで仮訳したものです。誤訳もあるかもしれません。この点,ご注意ください。

なお,この法案のオリジナル・テキストは,

http://thomas.loc.gov/home/c105query.html

でキーワード検索(キーワード:Protection Scams)することにより入手することができます。


第105議会第2セッション

HR 3134

1998年1月28日議会提出

 

高齢の消費者に対してテレ・マーケティング詐欺の危険を警告し,彼ら自身の助けとなる情報を提供するための法律(Bill)

 

SECTION 1. SHORT TITLE. 略 称

この法律は,「1998年高齢者スキャム防止法(Protection Against Scams on Seniors Act of 1998」として引用することができる。

SEC. 2. FINDINGS. 決 議

議会は,次のとおりに決議する。

(1) テレ・マーケティングは,毎年約40,000,000,000ドルを消費者に負担させている。

(2) 合衆国内の140,000のテレ・マーケティング会社の約10パーセントは,詐欺行為をしている。

(3) 高齢者は,しばしば,テレ・マーケティング詐欺のターゲットとなっている。

(4) テレ・マーケティング詐欺をする者は,見込みのある弱い消費者を「ムック・リスト(mooch lists)」に収録している。

(5) アメリカ合衆国退職者協会(the American Association of Retired Persons)によれば,「ムック・リスト」上の名前の56パーセントは,50歳以上である。

(6) 司法省(the Department of Justice)は,「Operation Disconnect」,「Operation Senior Sentinel」及び「Operation Upload」を含む様々な行動計画(Operations)を通じて,テレ・マーケティング詐欺について十分に調査をし,かつ,これを訴追してきた。

(7) 連邦調査局(the Federal Bureau of Investigation)は,押収された「ムック・リスト」上に名前が記載されている高齢者に対して警告を発するための救援プログラムを実施するためのアメリカ合衆国退職者協会のような団体を支援するために,資金提供を援助してきた。

(8) 高齢者局(the Administration on Aging)の一部は,高齢者に対し,その特殊な状況が要求する資金,情報及び支援を提供するために形成された。

(9) 高齢者局は,高齢者に対し,テレ・マーケティング詐欺の危険を効果的に知らせるための場としてのシステムを持つ。そして,

(10) 高齢者は,彼らが犠牲者となってしまう前に,テレ・マーケティング詐欺の危険を警告される必要がある。

SEC. 3. PURPOSE. 目 的

この法律の目的は,教育と支援を通じて,高齢者をテレ・マーケティング詐欺から保護し,かつ,テレ・マーケティング詐欺をする者の調査と訴追を容易にすることにある。

SEC. 4. DISSEMINATION OF INFORMATION. 情報の普及

(a) 一般規定 − 高齢者局補佐官(the Assistant Secretary for Aging)を通じて活動するThe Secretary of Health and Human Servicesは,テレ・マーケティング詐欺の危険について,高齢者を教育し,注意を喚起するための情報を,各州に公報しなければならない。

(b) 情 報 − (a)項を実施するについては,the Secretaryは,

(1) 高齢者に対し,彼らをターゲットにしたテレ・マーケティングの流行を知らせ,

(2) 高齢者に対し,テレ・マーケティング詐欺がどのようなものであるかを知らせ,

(3) 高齢者に対し,どのようにしてテレ・マーケティング詐欺を見分けるかを知らせ,

(4) 高齢者に対し,一方的に電話をかけてくる者に銀行の口座番号,クレジット・カード,その他の財産情報または個人情報を提供することの危険性を説明することを含め,どのようにして自分自身をテレ・マーケティングから守るかを知らせ,

(5) 高齢者に対し,テレ・マーケティング詐欺の疑いのあるはたらきかけがあったことをどのように連絡したらよいかを知らせ,

(6) 高齢者に対し,連邦の消費者保護法上の権利を知らせ,

(7) テレ・マーケティング詐欺に対して高齢者を保護するために必要だとthe Secretaryが考えるその他の情報を提供し

なければならに。

(c) 公報の方法 − The Secretaryは,本条に基づく情報を広報するための方法を決定しなければならない。この決定をするに際しては,the Secretaryは,

(1) 公共サービス上の公報(public service announcements

(2) 印刷されたマニュアルまたはパンフレット

(3) インターネット上のWebサイト

(4) テレ・マーケティング詐欺者から押収された「ムック・リスト」上に名前が記載されている者に対する電話による連絡

を考慮しなければならない。

(d) 優先度 − 本条に基づく公報をする場合には,the Secretaryは,高齢者が集中する地域を優先しなければならない。

SEC. 5. AUTHORITY TO ACCEPT GIFTS. 贈与を受ける権限

The Secretaryは,本法を実行するために,無制限の贈与,遺贈(bequests),あるいは,サービスまたは動産及び不動産を含む財産の遺贈を受け,使用し,これに活用することができる。

SEC. 6. AUTHORIZATION OF APPROPRIATIONS. 支出の権限

1998会計年度中は10,000,000ドルを支出することができ,必要なときは,次の会計年度にその総額を繰り越すことができる。

SEC. 7. DEFINITION. 定 義

本法においては,「州(State」は,コロンビア区(the District of Columbia),プエルト・リコ(the Commonwealth of Puerto Rico),グアム(Guam),ヴァージン諸島(the Virgin Islands),アメリカ領サモア(American Samoa)及び北マリアナ諸島(the Commonwealth of the Northern Mariana Islands)を含む。

 


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最終更新日:May/26/1998

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