アメリカ合衆国の「1997年インターネット・ギャンブリング禁止法案」

(仮訳)

翻訳:夏井高人


これは,アメリカ合衆国の1997年インターネット・ギャンブリング禁止法(Internet Gambling Prohibition Act of 1997)」の法案[S.474]を大急ぎで仮訳したものです。誤訳もあるかもしれません。この点,ご注意ください。
この仮訳は,
19987月23日上院通過時の法案の仮訳です。

なお,この法案のオリジナル・テキストは,

ftp://ftp.loc.gov/pub/thomas/c105/s474.is.txt

で入手できます。


105議会第1セッション

S. 474

 

SEC 1. 略 称

 この法律は,「1997年インターネット・ギャンブリング禁止法(Internet Gambling Prohibition Act of 1997)」として引用することができる。

SEC 2. 定 義

 合衆国法典(United States Code)タイトル181081条は,次のとおり改正される。

(1) コロンにすぐ続く事項中の項目指定のない最初の5文をそれぞれ(1)項ないし(5)項とした上,それぞれについてインデントを施す。

(2) 改正後の(5)項の

(A) 「有線通信(wire communication)」を削除し,「通信(communication)」を挿入する。

(B) 「著作物の送信(transmission of writings)」を削除し,「データ,著作物の送受信(transmission or receipt of data, writings)」を挿入する。そして,

(C) 「または,その他同様の(or other like)」からピリオドの前までの全部を削除し,「ラジオ,電子磁気的,写真・光学的,写真電子的その他類似の設備(radio, electromagnetic, photo-optical, photoelectric, or other similar facility)」を挿入する。そして,

(3) 末尾に次の(6)項を追加する。

(6) 賭けまたは賭博(BETS OR WAGERS

 賭けまたは賭博(bets or wagersという用語は,

(A) 一定の出来事が起きるかどうかによって何らかの価値物を受領するという合意もしくはそのような理解に基づいて,人の管理もしくは影響の下にないチャンスもしくは将来の偶然の出来事が起きるかどうにについて何らかの価値物を賭け,または,危険を冒すことを意味する。

(B) 宝籤その他の懸賞を勝ち取るチャンスないし機会を追求することを含むが,

(C) 次のものは含まない。

(i) 有価証券取引法に基づく善意の取引行為(a bona fide business transaction)(その用語は,1934年有価証券取引法(the Securities Exchange Act of 19343(a)(47)(15 U.S.C. 78c(a)(47))で定義されている。)

(ii) 保証契約(contract of indemnity)または保証(guarantee

(iii) 生命保険契約,健康保険契約または事故損害賠償保険契約」

SEC 3. 賭博情報の送信:罰則

 合衆国法典(United States Code)タイトル181084条は,次のとおりに改正される。

(1) (a)項及び(b)項を削除し,次のとおり挿入する。

(a) 一般規定

(1) 賭けまたは賭博の業務に従事する者

 賭けまたは賭博の業務に従事する者が,故意に,州際取引もしくは国際取引上の賭けもしくは賭博の情報の送受信,賭けもしくは賭博の場所をアシストする情報の提供,または,賭けもしくは賭博の結果として,送信者もしくは受信者に対し,金銭もしくはクレジットを受領することができるようにする通信のために,通信設備を使用したときは,10,000ドル以下の罰金,2年以下の拘禁刑,または,その両方の刑に処する。

(2) その他の者

 ((1)号に規定する意外の)者が,故意に,州際取引もしくは国際取引上の賭けもしくは賭博の情報の送受信,賭けもしくは賭博の場所をアシストする情報の提供,または,賭けもしくは賭博の結果として,送信者もしくは受信者に対し,金銭もしくはクレジットを受領することができるようにする通信のために,通信設備を使用したときは,5,000ドル以下の罰金,1年以下の拘禁刑,または,その両方の刑に処する。

(b) 適用除外

(1) ニュース配信

 本条の規定は,

(A) 賭けや賭博がそのベースとしている活動,イベントもしくはコンテストのニュース配信に用いる送受信のための情報,または,

(B) もしその賭けや賭博について,

(i) 各州もしくは外国で,それ自体が合法的なものとされている場合,あるいは,

(ii) 各州もしくは外国で,情報の受信が合法的なものとされている場合

において,その賭けもしくは賭博の場所に関する情報

を,州際取引または国際取引において送受信することを禁止するものと解釈されてはならない。

(2) 本条の規定は,州法を無効にするものと解釈されてはならない。」

(2) (d)項において,

(A) 「(d) When」を削除し,次のとおり挿入する。

(d) コモン・キャリア及び双方向コンピュータ・サービス・プロバイダの義務

(1) 一般規定 − もし,」

(B) 「コモン・キャリア」という単語のある箇所について,それぞれその単語の次に「もしくは双方向コンピュータ・サービス・プロバイダ」を挿入する。

(C) 「Nothing」を削除し,次のとおり挿入する。

(3) JUDICIAL ACTION- Nothing

(D) 本号(A)による改正後の(1)号の次に,次のとおり挿入する。

(2) 差止命令 − 連邦,州もしくは地方自治体の各裁判管轄内で活動する法執行機関は,連邦法,州法もしくは地方自治体条例に違反して州際取引もしくは国際取引の中で賭けもしくは賭博に関する情報の送受信をするための通信設備へのアクセスを阻止するために,裁判管轄権を有する連邦もしくは州の裁判所に対し,(1)号に規定する警告に続けて,差止命令の発布その他の適切な救済を求める権限を有するべきである。」

SEC 4. 上院の意見

 上院は,

(1) 賭けもしくは賭博(その用語は合衆国法典タイトル181081条に定義されている。)

(2) 賭けもしくは賭博の場所をアシストする情報,または,

(3) 賭けもしくは賭博の結果として,送信者もしくは受信者に対し,金銭もしくはクレジットを受領することができるようにする通信

についての合衆国内でなされる送受信に関して,連邦政府が,領域を超えた裁判管轄権を持つべきであると判断する。

SEC 5. 報 告

 本法成立後360日以内に,司法長官は,連邦議会に対し,

(1) 本法の改正と合衆国法典タイトル181084条の執行とが関連する場合には,問題の分析

(2) 同条を執行するについて司法省(the Department of Justice)が最も良くリソースを利用できるようにするための勧告

(3) 同条を執行するについて連邦通信委員会(the Federal Communications Commission)が最も良くリソースを利用できるようにするための勧告

(4) インターネット上のギャンブリングに用いられた活動及び金銭の額の見積もり額(その用語は1934年通信法230(e)(1)the Communications Act of 1934 (47 U.S.C.230(e)(1))で定義されている。)

を含む報告をしなければならない。

 


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最終更新日:Aug/03/1998

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