6日目(2000年7月29日)

 

パブリック・マーケット・センター

シアトル空港での集合時間までに余裕があったので,朝のシアトル市街を散歩した。
シアトル港のすぐ近くに公共市場がある。この市場の中には,鮮魚,野菜,果物,肉類等の店舗のほか,レストランや土産物店などもあり,朝早くからにぎわっている。ただし,食品店は,午後5時ころには閉店してしまうようだ。

鮮魚店の店先

写真(上)に並べられているのは,シアトル名物(?)の「ダンジネス・クラブ」という大きなカニだ。値札に「Fat Boy」と書いてあるが,これは,「大きく身が詰まっている」という意味だろう。
このカニは,毛ガニに似た食感がある。レストランでは,魚肉ケーキやチャウダーにしたものが出されることが多いが,まるごと蒸して食べるととても美味しい。メニューになくても,シェフに頼み込むと,まるごと蒸したもの(Whole steamed crab)を出してくれるレストランもある。
市場の中には,この店をはじめ数件の鮮魚店があり,どの店でも,ロブスター,キングサーモン,オヒョウ,天然オイスター,ムール貝,海老などがぎっしりと並べられている。いずれも見るからに新鮮で価格も驚くほど安い。。
陳列棚の魚介類の上にどっさりと乗せられている白いものは,細かく砕いた氷だ。冷蔵庫の中に小綺麗に並べられているよりもずっと食欲を刺激するのだから不思議だ。
シアトル市民は幸せだ。

青果物店の店先

とれたてのベリーやオレンジ,メロンなどの果物やトマト,マッシュルーム,オニオン,コーン,パンプキンなどの野菜が山盛りになっている。これも安い!
有機栽培に対する関心も高いらしく,有機栽培だということを強調してトマトなどを販売している店もある(写真中央)。
こうした光景を見ていると,食品に関しては豊かなところだということがよく分かる。しかも,シアトルは気候も温暖で暮らしやすいという。何だかシアトルで暮らしてみたくなってしまった。
ところで,八百屋では,天井からぶら下げたバネ秤や天秤を用いて計量しているところがほとんどだった。日本のスーパーマーケットでは計量済みでパックされたものが並べられていることが多く,秤量が正確であるかどうかを消費者が確認することは難しい。この市場では,昔ながらの方法で計量しているのだが,そのほうが,消費者にとっても納得がいきやすいし,停電になっても商売を続けることができるのだから,現代の日本の多くの小売店のようにパッケージ化され電子化された店先よりもずっと良いのではないかと考えてしまった。
「ポスト情報社会」を考える上で貴重な体験だったともいえる。

港の公園

市場の西側に小さな公園があり,大きなトーテムポールが立っていた。モニュメントだと思うが,かつてシアトルを含む地域一帯がエスキモーやインディアンの住む土地であったことを示すものだ。ここでは,散歩をする人々やジョッギングを楽しむ人々の姿が目立った。
シアトル市内には,エスキモーないし北部インディアン関連の芸術品を含む民芸品店もあり,レストランの入り口にトーテムポールのデザインをあしらったところもある。
ちなみに,アラスカ航空の飛行機には,航空会社のマークとして,氷原のように純白な機体の尾翼部分にエスキモーの顔が大きく描かれており,印象的だった。ガイドさんの説明によると,数年前まで,このエスキモーの顔にはサングラスが描かれていたが,評判が良くなかったので削除されたのだそうだ。

 


Copyright (C) 2000 Takato Natsui, All rights reserved.

Last Modified : Aug/07/2000  (Rel.3)