3日目(2000年7月26日)

 

移動用の自動車

訪問先への移動には,この自動車を貸し切りで利用した。大型のバンだ。室内は広く,シートも日本車と比較して大きめであり,居住性が良い。ワシントンDCでもシアトルでも同タイプの自動車が観光等の目的で多数利用されている。
この日は,この自動車に乗って,ワシントンDCの隣りにあるバージニア州に移動し,Network solutions社とMulticast社を訪問した。

Network solutions社の会議室
(写真:新坂氏提供)

Network solutions社は,最近,Verisign社の傘下となり,idNames.comという名称も持つことになった。
この会議室でブリーフィングを受けた。
Network solutions社は,世界最大のトップ・レベル・ドメイン名の管理会社で,今後は,セキュリティ技術を関連させたドメイン名ビジネスを展開していく予定だという。また,この新たなビジネスについて,日本を含む世界のどこでも,積極的にプレゼンテーションをしたいとの意向だった。
ちなみに,ブリーフィングの中では,今回のツアー参加者の所属企業の商号等を含むドメイン名について事前に調査がなされており,その調査結果に基づくコメントもあった。ネット・ビジネスにおいて,ドメイン名の国際的な取得・登録をうけることの重要性の大きさを実感させられた。
idNames.comのURLは,http://www.idNames.com/ だ。

バージニア州の州務長官事務所(Attoney General of Virginia

Multicast社を訪問するために訪れた場所でたまたま発見した。閑静な住宅街の中にあり,予想以上に小さな建物だが,落ち着いて仕事ができそうだ。
Multicast社が入っているアパートは,この建物の向かいにある。同じような感じの建物であり,設立されたばかりのベンチャー企業の中では比較的豊かな環境を確保しているといえる。東海岸では大きなIT企業がひしめいているが,こうしたベンチャー企業も沢山あるという。

Multicast社のCEOである T. Marshall Eubanks

パソコン画面に映っているのは,同社の音楽配信システム,机の上に並べた5インチFD(普段はコースターとして使っているという。ジョークとは思われない。)でシステムの仕組みを説明しているところ。マルチキャスト方式による音楽データ配信及び課金システムのビジネス特許を保有しているという。ゴッホの糸杉と月の絵柄をあしらったかなり派手なネクタイが印象的だった。もし彼が将来BIGな人々の一員となったならば,貴重な写真の1枚となるかもしれない。
なお,Multicast社のURLは,http://www.MultiCastTech.com/にある。

On-The-I.comのポスターの前で記念撮影
(写真:新坂氏提供)

Multicast社が提供する音楽ストリームは,On-The-I.comというドメインから世界へ向けて発信されている。ただし,マルチキャスト方式による課金システムを利用するためには,特別な契約を締結しなければならない。
説明によると,映像ストリームはデータが大きすぎるため,現在のインターネットで配信するのは困難であり,当面は,音楽ストリームを中心にビジネスを展開するとのことだった。
この音楽ストリームは,http://www.On-the-I.com/home.htmlで試聴することができる。

スミソニアン博物館

午後の日程が午後4時ころに終了したので,その後は自由行動となった。
ワシントンDCは夏期休暇期間にあたっていたせいでアメリカ合衆国内外からの観光客が多い。夏のワシントンDCは,完全に「観光の街」となっている。冬のワシントンDCは,もちろん,「政治の街」だ。
スミソニアン博物館のところまで全員で行動し,そこで各自自由行動となった。
スミソニアン博物館は,いくつかの建物に分かれているが,どこも無料で入場できる。たいていは,午後5時ころに閉館となるが,場所によっては午後7時くらいまで開館しているとこもある。
ところで,無料といえば,アメリカ合衆国の高速道路は,全米でごく数カ所の道路を除き,すべて無料だ。インフラとしての公共施設・設備を無料で利用させることが国益の源であるという考えによるものだろう。よく考えてみると,関所や料金所が必要ないわけだから,それだけでも料金所その他の関連施設の建設費・維持費や人件費等を無用とすることができるわけだし,特別のサービスエリア等も必要ないから,そのための敷地取得費用・建設費や維持費・人件費も必要ない。高速道路を有料にすることによる関連コストの莫大な増大というものを考えると,無料にすることのほうが社会の負担の総額が少なくて済むということは言えそうだ,と思ってしまった。しかし,日本の場合,何が現代の社会にとっての公共の利益であり,何がそうでないのか,はっきりとした基準のようなものは誰も持ち合わせていない。日米におけるこの相違が現在の日本の窮状を招いてしまっているのではないだろうか・・・
というようなことを考えながら,高橋氏らと四方山話をしたり,リフレッシュ・コーナーでペプシ・コーラを買って飲んだりしながら,博物館めぐりをしてみた。このスミソニアン博物館のあるエリアの雰囲気は,日本だとちょうど上野公園と似ている。幕末に咸臨丸で渡米した使節団や,その後明治初期にアメリカで学んだ人々,そして,それを受け継いだ人々は,文化を育むための土壌を耕すことの重要性を認識し,そのための社会的装置としての公共施設の重要性もしっかりと噛みしめながら,ワシントンDCのこの地区の模倣として,上野公園やそこにある博物館などの造営を考えてきたのではないだろうか,と想像してみた。
さて,我々現代の人間は,先人達の理想をきちんと理解し,受け継いでいると言えるだろうか?

自然史博物館内の三葉虫化石

スミソニアン博物館は,テーマ毎にいくつかの建物に分かれている。自然史博物館は,上野の科学博物館と同様の構造を持ち,恐竜,翼竜や巨大古代魚など,多くの貴重な化石のほか,古代の地球を再現した見事なジオラマなども展示されている。三葉虫マニアの夏井としては,この写真で見られるような巨大な三葉虫化石に感激の一言・・・

 


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Last Modified : Aug/07/2000  (Rel.3)