3日目(2000年7月26日)

 

USPTO(アメリカ合衆国特許商標庁)の建物

特許商標庁の建物は,非常に大きく立派な建物だ。ロナルド・レーガン空港からも見える(写真下)。
ブリーフィングのために案内された部屋への通路の壁には,特許関連の歴史的文書(レプリカ)が額縁に入れて飾ってあった。アメリカの文化であり憲法で保障された権利としての特許権を大事にしようとするアメリカ合衆国の姿勢を窺い知ることができたような気がする。

USPTO(アメリカ合衆国特許商標庁)の会議室
(写真:新坂氏提供)

落ち着いた造りの会議室だ。
Workgroup 2750 & 2780 Director である Allen R. MacDonald 氏ほか2名からブリーフィングを受けた。他に数名の審査官(examiner)がブリーフィングと質疑応答に参加してくださった。
ブリーフィングには,訪問の数日前に公表されたばかりだというビジネス・メソッド特許ホワイトペーパーに関連する説明と特許審査官に対するトレーニング・プログラムに関する説明が盛り込まれていた。
ホワイトペーパーは,http://www.uspto.gov/web/menu/busmethp/index2.htmから入手することができる。また,その日本語訳は,http://www.venus.dti.ne.jp/~inoue-m/bm_000329actionplan.htm#WhitePaperから入手することができる。
この場では,様々な点について意見交換がなされた。「ビジネス・モデル特許」という用語に関しては,「非常に限定された意味で用いられており,概念として狭すぎる。合衆国としては,より広い「ビジネス・メソッド」を特許の対象としている。」とのことだった。また,「特許に関連する新たな問題は,ビジネスの方法だけではなく,ヒトの遺伝子の特許その他様々なものがあるが,先行特許等に乏しいため,特許外情報の収集方法の確立とそのトレーニングのために相当力を入れている。さらに,特許商標庁を利用するユーザーとしてのカスタマーの意見を特許審査の方法や内容に反映するために,フォーラムを開催する。」ということだった。このフォーラムに「日本の企業も参加できるのか?」と質問すると,「チケットを買ってください」との答えだった。フォーラムの開催日は,2日後とのことで,参加不可能であり,とても残念だった。中立・公正であるべき特許商標庁が民間企業やファームなどと意見交換することについては,様々な問題もあろうが,日本の特許実務においても,特許システムのユーザーから広くの意見聴取し,これを特許審査実務に反映するシステムがあってもよいのではないかと思った。
その他の詳細は,割愛する。

Sughrue Mion Zinn Macpeak & Seas, PLLC が入っているビル

全米で第2位の出願数を誇る特許専門の弁護士事務所だという説明を受けた。年間の特許出願件数は,約8,000件だそうで,日本企業のクライアントも多く,日本語を理解できる特許弁護士も所属している。
この事務所で,ビジネス方法特許の申請実務などに関するブリーフィングを受けた。詳細は,公開できない。
Sughrue Mion Zinn Macpeak & Seas, PLLCのURLは,http://www.sughrue.com/だ。

会議室で記念撮影
(写真:宮田氏提供)

オフィスの会議室内における長時間にわたるブリーフィングと熱心な質疑応答の後,Sughrue 氏の肖像画の前でツアー参加者全員で記念撮影をした。
ビジネス特許に関するブリーフィングをしていただいたKasper氏の言によると,Sughrue氏は今年で78歳になり,この法律事務所の創立者であり,78歳だが非常に元気だそうだ。
右から,宮田氏,Kasper氏,土屋氏,新坂氏,高橋氏,夏井,眞山氏,宮腰氏。事務所の女性事務員の方に撮影していただいた。

ポトマック河畔Water Gate付近の風景

のんびりとした良いところだ。日本人を含む観光客と思しき人々だけではなく,市民も多数散策している場所だ。
この河の上をクリントン大統領専用機とおぼしきヘリコプターが通行する。ちょうどこの日も複数のヘリコプターが通り過ぎて行った。その中の1機だけが本物で残りはダミーだそうだ。テロへのセキュリティということだ。
ここにあるレストランで夕食会が開催された。

Alan J. Kasper

夕食会は,SEQUOIAというレストランで開かれた。Kasper氏の招待によるものだった。
魚料理が美味しく,ワインも良かった。ポトマックの夕暮れ時を楽しむことができた。また,Kasper氏との間でDMCAの動向やソフトウェアの法的保護などに関する議論をすることができたのも大きな収穫だった。

 


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Last Modified : Aug/15/2000  (Rel.4)