学部・法と経済学  



担当教員 南  繁樹(MINAMI Shigeki)
飯田  高(IIDA Takashi)
太田 勝造(OTA Shozo)
講義・演習の別 講義
配当学期
単位数
法学部と大学院の合併
経済学部との合併
法科大学院との合併
公共政策大学院との合併
必修・選択・選択必修 全類で選択科目

《教材》

教材:資料を配布する予定である.
参考文献
矢野誠『ミクロ経済学の基礎』(岩波書店,2001年)
アラン・フェルドマン『厚生経済学と社会選択論』(マグロウヒル,1984年)
ラスムセン『ゲームと情報の経済分析(T)・(U)』(九州大学出版会,1990-91年)
追補 クーター&ユーレン(太田訳)『新版・法と経済学』商事法務
ポズナー(太田監訳)『法と社会規範』木鐸社
ドゥネス&ローソン(太田監訳)『結婚と離婚の法と経済学』木鐸社
ボウン(細野訳)『民事訴訟法の法と経済学』木鐸社
マルシェ(太田監訳)『合理的な人殺し:犯罪の法と経済学』木鐸社
佐伯&亀田(編著)『進化ゲームとその展開』共立出版
細江&太田(編著)『法の経済分析:契約,企業,政策』勁草書房
三輪,神田&柳川(編)『会社法の経済学』東京大学出版会
ルー(太田監訳)『法,疫学,市民社会:法政策における科学的手法の活用』木鐸社
バー=ギル(太田監訳)『消費者契約の法と行動経済学』木鐸社


《概 要》

 本講義は,南繁樹講師(弁護士)と藤谷武史講師(東京大学社会科学研究所)及び太田勝造によるジョイント講義である.
 法規範・法制度・法現象の分析と評価のために,理論構築・仮説導出・仮説 検証をミクロ経済学やゲーム論,統計学などを応用して行う学際的研究方法が 「法と経済学(law & economics)」である.このように法と経済学は研究パラ ダイムであり,特定の価値判断に立脚する「もう一つの法解釈学説」であるか のような誤解をしてはならない.法と経済学が準拠する経済学自体の発展にと もなう分析道具の進化の影響を受けて,法と経済学の対象領域も,不法行為法 や契約法,所有権法,会社法,競争法などから,家族法,消費者法,知的財産 権法,情報法,訴訟法,紛争処理法,国際私法,国際法,刑事法などへと広がっ て来ている.
 本講義は,このように法の分野の学際的研究パラダイムである法と経済学の 方法論的基礎と,各法領域におけるその基礎的な成果とを参加者に理解しても らうことを目的とする.まず,分析ツールとしてのミクロ経済学とゲーム論の 基礎の解説を行い,民事法を中心に法と経済学の理論的分析を行う.次いで,法実務上重要なテーマを取捨選択して,法と経済学理論の応用分析としてレクチャーする.
 本講義に参加する上で,ミクロ経済学やゲーム論,高等数学(=高校レベル を超える数学)などの予備知識は必要とされない.法を用いて社会をよりよく したいという法政策的認識関心と,事実と証拠に基づいて(evidence-based)議 論しようとする着実性と,法解釈学から見れば新奇な分析方法や結論をも理解 する柔軟な分析力だけがあればよい.