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本研究の目的・意義・概要

 本研究の目的は、宇宙飛翔体、航空機、原子力発電装置、車両、生産機械等における機械材料ならびに機械を構成する素になる各種転がり機械要素の疲労強度・寿命分布および信頼性に関するデータバンクを構築し、機械の設計・製作・保全に対する機械工学の基盤技術データを、従来看過されてきた確率論を導入して疲れ限度の有無を含めた新しい見方に立って整理蓄積することである。S-N(Stress life)曲線で材料に疲れ限度があると最初に提唱したのはドイツの鉄道技術者Wohler(1819-1914)であり、今日もなお100万〜1000万サイクルの応力繰返し数に疲れ限度が存在するとして大部分のS-N試験データが整理され、しかも1応力水準に1破損データであってもそのデータは破損確率50%、すなわち信頼度が50%のデータであるとされているのが、実情である。転がり軸受の分野では、2000年のISOでこのような従来基準の疲れ限度を寿命修正式に導入した規格ができたが、もし、疲れ限度の基準が誤っていたり、材料が疲れ限度を示さなかったりすれば、機械を設計する上で安全性が危惧され、材料や転がり機械要素の疲労破損につながる危険性をはらむことになるのである。

 本研究の意義はこのような疲れ限度の従来基準の見直しと各応力または各荷重水準に対する収集データの寿命分布状態を求め、機械材料に対してはP-S-N(Probabilistic Stress Life)曲線を、転がり機械要素に対してはP-F-L(Probabilistic Force Life)曲線を解明し、寿命予測の精度を向上させる統計処理手法を開発することであり、対数正規分布と位置パラメータとしての最小寿命を導入した3パラメータワイブル分布を用い、各統計分布関数におけるパラメータの物理的意義が明確に定義された新モデルを構築してこのことを明らかにしようとしている点にある。

 研究計画の概要は、機械材料として転がり軸受と同じ熱処理硬度HRC60±2の試料に対する回転曲げと両振りねじりのP-S-N試験を実施し、機械要素としてボールねじ、ローラガイド、ボールガイド、ボールブシュ、ボールスプラインおよび転がり軸受に対するP-F-L試験を実施し、それぞれ新しい概念を導入した定格応力や定格荷重を求めて寿命予測ができるようにすることである。これら各種寿命試験を実施するために6種類の試験機の設計ならびに試作を実施し、それらの加速寿命試験を実施しつつ試験機のスクリーニングと改造を行い、寿命試験条件を決定してきた。また、寿命試験試料は1ロット20〜30個のサンプルサイズとし、4〜6段階の応力または荷重水準に対する寿命試験を系統的に実施し、疲労破損の起点や形態および寿命分布を求め、定格荷重や寿命理論を構築していく。そして、これらの成果を精密工学会やトライボロジー学会およびSTLEなどに発表し、さらに明治大学ホームページに信頼性データバンクとして掲載することを目指している。なお、ボールねじとリニア軸受は、将来のISO規格に対する定格荷重と寿命式の提案を視野に入れつつデータ収集とその整理を実施している。また、ボールスプラインは現在ISOに提案中(ISO国内対策委員長:清水)であり、本研究の信頼性データバンクの成果が有効に活用されるものと思われる。
 
明治大学学術フロンティア信頼性データバンク疲労データシート (PDF)
本研究は文部科学省の学術フロンティア推進事業(研究期間:2002.4〜2009.9)として以下の7班で研究を行いデータバンクを構築してきた。
 
(H01) Rotating Bending Test Group
 (SUJ2-HRC60) (SUJ2-HRC30) (SCM420H-1) (SCM420H-2)
(H11) Alternating Torsion Fatigue Test Group
 (SUJ2) (S55Cx/CFRP) (SCM420H-1) (SCM420H-2)
(H12) Alternating Axial Fatigue Test Group
 (JR Rail Steel - JIS 50kgN)-(1) (2)
(H21) Ball Screw Life Test Group
 (H21-1) (H21-2) (H21-3) (H21-4) (H21-5) (H21-6)
(H22) Linear Bearing Life Test Group
 (Ball Guide-1) (Roller Guide-1)
 (Ball Guide-2) (Roller Guide-2)
 (Ball Guide-3) (Roller Guide-3)
(H23) Ball Bush and Ball Spline Life Test Group
 (Ball Bush-1) (Ball Spline-1)
 (Ball Bush-2) (Ball Spline-2)
 (Ball Bush-3) (Ball Spline-3)
(H24) Deep Groove Ball Bearing Life Test Group
 (H24-1) (H24-2) (H24-3)
 
研究成果報告書
 
2007.5
報告書(PDF)
(約160MB)
 
2009.9
報告書(PDF)
(約1.57MB)

2010.5
報告書(PDF)
(約94.8MB)
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