ICTメディア編集U 2025年10月3日
コンピュータアニメーション(2)
アニメーション技術の進展とコンピュータの導入:
コンピュータを利用することによって、絵を描くことや動画の作成も特別な装置や技術を必要としなくなってきており、アニメーションの作成も容易になってきています。コンピュータによるアニメーションの作成は、1968年アメリカ、ユタ大学のSutherlandによる「スケッチパッド」で始まったといわれています。セルアニメーションは、1915年以降アメリカで急速に普及しました。
現在,コンピュータのハードウエアの技術進歩により,高速に画像を表示,切り換え処理ができるようになり,また,アプリケーションソフトの開発により,手軽にCGを描くことができるようになったため,急速にコンピュータを用いたアニメーションが広がりつつあります.Webページなどで,アニメーションを取り入れるものも増えています.視覚に訴えるという意味では,静止しているものよりも,人間は動いているものに反応しやすいので,アニメーションを効果的に活用する場面が様々に出てきています.
なぜ動いているように見えるのでしょうか?:
人間は、ふつう0.1秒(1/10秒)の動き(変化)を見分けられるのが平均的といわれます。
1)静止画(1コマ;フレーム)の連続であるアニメーションや映画などが、実際にものの動きを見ているように見えるのは、人間の目の特性として、「網膜の残像現象」があるからです。すなわち,実際のものを見ているときも常に一瞬前に見た画像が眼に焼き付いており,その残像が消える時間があるため,画像の切り換えを素早く行った場合には,画像がコマ送りのように変化したことを認知せずに,実際にものを見ているように,徐々に前の画像から今の画像になったと認識し,違和感がないのです.
2)画面中のものが実際に動いているように見えるのは,物体に対する意識や知識も利用した錯覚によるものです.下の図に示すように,ある位置に図形を表示して(図1),次に
その図形を消去した後,少し離れた位置に時間をわずかだけ遅らせて同じ図形 を表示すると(図2),図形は実際に動いていないにも関わらず(図3)の 矢印が示す方向の(滑らかな)動きが知覚できます.これは「仮現運動」と呼ばれるもので、視覚における錯覚です。こうした視覚の特性を生かすと動いているように見せることができるのです。

0.1秒の切り換え表示
0.2秒の切り換え表示
0.3秒の切り換え表示
上から白紙を0.3秒表示後に4枚の赤い円の絵を0.1秒,0.2秒,0.3秒で切り換えて表示しています.赤い円を人間がボールのような動くものと認識し,網膜の残像現象と仮現運動の錯覚により,ある程度の切り換え時間であれば,あたかも赤いボールが動いているように見えるのです.
さて,上の図では,切り換え時間を変えたものが表示されています.滑らかに動いて見えるものはどれでしょうか.見る側の意識によっては,点滅しているようにも見える場合もあります.切り換えの時間だけではなく,画像の中で対象物がどれくらい移動しているか(変化したか),ということも問題になります.
映画のフィルムは、1秒間に24コマの画像(約0.042秒の切り換え)が記録されています。これをアニメーションで実現すると30分で、43200枚以上の絵を描かなければならないことになります。実際には、1秒あたり12から8コマ程度で済まされているため、多少ギクシャクしたものになっているのです。ちなみにテレビやビデオは1/30秒に1コマ(1フレーム)であるが,ディスプレイへの表示の仕方には特徴があり,走査線と呼ばれる横一列すなわち1ラインを,次の1ラインを飛ばすことで画面全体の半分を1/60秒で1ライン毎に切り換えています.
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