subject:応植研ニュース Vol.12 No.5 from:"kuramoto noboru" to:倉本 宣 date:Thu, 27 Dec 2007 21:04:42 +0900 ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵          応植研ニュース Vol.12 No.5 ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵ 2007年12月27日発行 〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1 明治大学農学部農学科応用植物生態学研究室     編集 倉本宣・高橋伸明・圓實裕美・中村光一朗 URL http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄  久しぶりの応植ニュースです。長い間出せなくて申し訳ございま せん。気がつけばもう2007年もあと4日ほどになってしまいました。 自分が小学生だった頃に比べ、どれだけ時のスピードが速くなった のだろうとしみじみ感じます。今号の応植ニュースは、水田で発見 されたカヤネズミ、黒川での稲刈り、鳥類相調査です。 ■ 黒川での行事 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【水田で発見されたカヤネズミ】                     3年 中村光一朗  9月17日に稲を植えた水田において、除草の際にカヤネズミを発見 しました。 カヤネズミとは、イネ科の植物に球状の巣を作る、神奈川県では準 絶滅危惧種に指定されている動物です。背面は暗褐色、腹面は白色 であり頭胴長は5〜8cmと大変小さくてかわいいネズミです。  そして後日、日本大学生物資源学部緑地・環境計画学研究室のポ ストドクターの黒田貴綱さんに実際にカヤネズミの球巣をファイバ ースコープにより観察してもらいました。残念ながら当日はカヤネ ズミ自体を見ることはなかったのですが、ファイバースコープを使 用できるという大変貴重な経験をすることができたのは良かったこ とだと思います。  その後も、臨時研究員の野呂惠子さんを中心に幾度かカヤネズミ、 そして新しい球巣を発見し記録してきました。稲刈りの際には、依 然として水田にカヤネズミが生息していた為に、まだ使われている だろう巣の周辺を刈らずに巣からカヤネズミが出て行ったのを確認 後の後日、残りの稲刈りを行うという大変ネズミ想いである稲刈り を行いました。これは完全に自分の意見ですが、生物を守る研究室 ならではのこのような振る舞いに大変満足しています。 最後に、今年の水田作業が終わってしまった今目標は来年にありま す。来年もおそらく出現するだろうカヤネズミに対して、どう向き 合っていくかがこれからの課題になりそうです。 【黒川での稲刈り】                        3年 佐藤渉  10月7日に黒川での稲刈りが行われました。当日は地元の農家の方 々、越畑敬一さん、坂本正さん、越畑耕作さん、そして市川幹雄さ んに御指導を頂き、稲刈りの作法を学びつつ楽しく作業をすること ができました。 ありがとうございました。 作業としては大きく分けて、(1)稲を刈る作業(2)稲を結わえる作業 (3)稲を干す作業を行いました。稲を刈る作業は、作業初めは鎌の使 いかたに不慣れなために、稲を切るというよりはなぎ倒す形に近い 作業となってしまいましたが、徐々に鎌の使い方にも慣れ、終盤は だいぶ手馴れたものとなっていました。稲を結わえる作業は、きつ く結ばないと次の稲を干す作業のときにほどけてしまい、気合いの 必要な作業でした。稲を干す作業は前作業でゆるく結んでしまった ヒモを結びなおしたり、根気のいる作業となりました。 前回の作業でカヤネズミの巣を発見し、稲刈りでカヤネズミに影響 を及ぼすことが懸念されましたが、カヤネズミには影響がほとんど なく、無事に作業を終えることができました。いずれの作業も予想 以上に大変な作業でしたが、研究室の持ち前の明るさと農家の方々 のおかげで充実した作業ができました!稲刈りをしたことがない方 もよい経験をされたと思います。  12月16日に黒川の青少年野外活動センターで今回の作業で収穫し た稲(米)の収穫祭を行います。お酒はありませんが、非常に楽し みです。                               【鳥類相調査】                       M1 保母 桂志  9月11日に明治大学農場予定地のある黒川地区において、黒川谷 戸プロジェクトの一環として鳥類相調査を行いました。調査は、黒 川地区に存在する海道谷戸、西谷谷戸、明坪谷戸及び明治大学農場 予定地沿いにそれぞれ1つ、計4つの観察コースを設置し、ルートセ ンサスにより鳥類の観察を行いました。また観察の際には個体がい た場所を地図上に記録するとともに、利用場所(樹林地、田、畑) などの情報も記録しました。  今回の調査では4つの観察コース全体で12種の野鳥を確認する事 が出来ました。調査日が9月11日で繁殖期と越冬期の中間に当たり、 鳥類の観察にあまり適した時期でなかったことから、キジバト、ス ズメ、ハシボソガラス、ヒヨドリなど市街地から樹林地まで普通に 見られる種が大半を占め、確認できたは種数は比較的少なかったで すが、山地や平地の渓流や河川、農耕地を主な生息場所としている セキレイ類の内、ハクセキレイ、キセキレイ、セグロセキレイ、の 3種がほぼ同じ場所で見られました。このことから黒川地区ではセ キレイ類の主要な餌である水生昆虫などが比較的豊富に存在してい ると思われます。また、色づいた稲穂めがけて移動するスズメの大 群や、モズの縄張り宣言でもある高鳴き等、残暑が厳しい中にあっ て、秋の訪れを感じられる調査でした。  今後、年明けには越冬期の鳥類相調査も検討しており、自分自身 の同定能力のより一層の向上はもちろん、今回の調査で明らかとな った問題点を踏まえ、冬鳥を始めとする多くの野鳥の観察が出来る よう計画して行きたいと思います。                      ■ 先生から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【市民から学ぶ】                    私は忙しいときが多い。多くのしごとを瞬間芸でこなしながら、市 民のための活動をなんとか続けている。  1975年に日本ナチュラリスト協会に参加して、和泉多摩川と高尾 山東尾根で毎月子どもを対象とした自然観察会を開催するようにな ってから、休みはほとんどなく、煩瑣な活動を行ってきた。  先日来、我が家の中学生の子どもに、「もっとまじめに研究した ほうがいいんじゃないか」とか、「もっとまじめに勉強したほうが いいんじゃないか」といわれている。確かに、休みがほとんどない ので、研究したり勉強したりする時間は不足がちである。  でも、私は市民からパワーと知恵を分けてもらってきた。高島平 ナチュラリストクラブ、いたばし自然観察会、区の花ニリンソウを 保存する会、大島自然愛好会、くにたち生活者ネットワーク、国立 市動物調査会、桜ヶ丘公園雑木林ボランティア、多摩川の自然を守 る会、かわさき自然調査団、生田緑地雑木林勉強会、リトルターン ・プロジェクト、多摩川カワラノギクプロジェクトなどにかかわっ てきた。勉強の足りない私は、むずかしいことは話せないから、簡 単で大事なことをわかりやすく市民に伝えるように努めてきた。私 は市民から質問や反論があることを期待しているので、講演はなる べく市民が発言しやすいように工夫しているし、市民の発言をメモ に残すようにしている。  市民とのかかわりの中で、研究の社会的なニーズを探り、独特な 研究の世界をつくっていきたい。 _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄  いつも応植研ニュースをご覧いただき、ありがとうございます。 応植研ニュースはメーラーやブラウザの表示をMSゴシックなどの等 幅フォントに設定していただくと、見やすくご覧いただくことがで きます。  これからも応用植物生態学研究室をどうぞよろしくお願いいたし ます。また、新聞係へのご意見やご質問などございましたら、下記 のメールアドレスまでお寄せ下さいますよう宜しくお願いいたしま す。 応用植物生態学研究室 新聞係 ohshokunews-request@mail.goo.ne.jp  また過去の応植ニュースや研究室の情報などを応用植物生態学研 究室のHPに更新していますので、下記のURLからご覧ください 。 L.A.P.E. 応用植物生態学研究室             http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai/ -- kuramoto noboru