∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵          応植研ニュース Vol.12 No.3 ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵ 2007年7月3日発行 〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1 明治大学農学部農学科応用植物生態学研究室     編集 倉本宣・高橋伸明・圓實裕美・中村光一朗 URL http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄ セミの鳴き声が聞こえる季節になってきました。これから暑くなりますが頑張 って行きましょう。 今号の応植ニュースは、ねずみ類捕獲調査、田植え、20日のホタルの 観察、新しく応植研に入室した今津さん保母さんの自己紹介ついての 報告です。 ■ 新しい研究室の仲間から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【今津健志さん】 今年度から応用植物生態学研究室に所属することになりまし た今津健志(いまづ たけし)です。学部生時代は千葉県に ある東邦大学理学部の地理生態学研究室に所属していました。 私は卒業研究時から継続して、千葉県市原市においてクサガ メの生態学的研究を行っています。修士課程では近年減少傾 向にある淡水性カメ類の保全に寄与することを目的として、 産卵や活動開始直後の幼体の生態に関する研究を行う予定です。  専門はカメですが、他に両生類の研究の補助も担当していまし た。また夏には趣味で自宅近くの神社で、セミの幼虫の調査を小 学4年生から現在まで毎年続けています。色々知識不足の点があ るので御迷惑をおかけすることもあると思いますが、よろしくお 願いします。 【保母圭志さん】  始めまして大学院修士課程1年の保母桂志です。 今年度から倉本研に入室することになり新たな気持ちで活動して行こ うと思っています。 現在私は樹洞(キツツキ類が繁殖のために掘った穴や、樹木の枝折れ 、枝抜けなどにより形成された自然樹洞)の動物たちの利用について 研究を行っています。双眼鏡を使用し樹木を観察し樹洞の有無を確認 していますが、樹洞内で繁殖しているシジュウカラを発見した時は本 当にうれしかったです。また野鳥にはとても興味がありまだまだバー ドウオッチング歴は浅いですが、いろいろ珍しい鳥を見に行きたいと 考えています。 どうぞ宜しくお願いします。 ■ 黒川での行事 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【田植え】                       4年 米山 雄三 先日、黒川に田植えをしに行きました。この日の1ヶ月くらい 前だったでしょうか、その場所は雑草が生い茂っていた場所でし た。雑草を刈り取ったその場所は、水が張ってありました。そこ で私たち応植のメンバーたちは、田植えをしました。広さは10 m×15mくらいでした。黒川で以前、実際に田植えをしていた方 々の協力のもと田植えをしました。土地を耕し、水を張る作業まで をやってくださったのも彼らでした。  私たちがやった作業は、水の張ってある場所に稲を植えるだけ。 稲を育て、収穫をする課程のほんの一部に過ぎません。途中で浮い てしまった稲の場所に補ったり、生えてきた雑草を取り除いたりす る作業は、自分たちで行わないようなことを言っていた気がします。  しかし、稲を育て収穫をする課程のほんの一部ですが、都会に住 む人々や全く田植えをしない人々とは違い、貴重な田植えの経験を したと思っています。実際に肌で経験するのとしないのとは大違い です。泥を裸足で踏む感触、ぬるくなった田んぼの水、照りつける 太陽。比較的、都会に住む時間が多い私には祖父の兄弟の田舎に遊 びに行き、蝉を取ったり川で釣りをしたりと小さい頃の遠い記憶がほ のかに蘇るくらいでしたが、今の時世、田植えをする人の数がもの すごく少ないと思うのでこの体験に興味がある人などに伝えていき たいと思います。また、この体験を喋る必要性が出たそのときに伝 えたいとも思っています。 【鼠調査】                         3年 菅野 麻帆 先週、黒川で夜の調査をしました。状態が違う3箇所の雑木林にトラ ップを仕掛け、つかまったネズミの種類、サイズ、体重などを測って指 標をつけて逃がす、という流れです。  夕方黒川に着いたときには既に園田さんが前日からの調査をしていま した。が、何も捕まっていませんでした・・・。餌のピーナッツと煮干 しには色んな種類の蟻がたくさんついていました。でもピーナッツには かじった様な痕がありました。これは・・・ネズミなのでしょうか。  餌を変えました。オートミールと油揚げです。これはすごくいい匂い がするのできっと捕まる!というか何か捕まってほしい!と願っていま した。しかし。夜にまた見て回ってみるとやっぱりネズミはおらず・・ ・蟻は相変わらずたくさんいて餌を巣に持ち帰るのに頑張っていました。 オートミールは小さいからか、ほとんど運び出されていました。  というわけでネズミには会えませんでした。悲しかったです。冬にむけ て蓄えている秋にはよく捕まるという事だったので、秋にもう一度挑戦し てみたいです。 それから、「けものみち」というものを教えてもらいました。そこだけ 落ち葉で覆われた地面がへこんでいて、しゃがんで覗くと通りやすそうな 空間が見えました。ここをネズミやタヌキが走っているんだろうなぁと想 像して感激してしまいました。トトロの森に向かう道のような景色が見え ているのでしょうか。 これからも黒川での調査が楽しみです。 【蛍の観察】                          3年 川原 健 6月20日(水)は、ポストラルドクターの園田さん、4年生の榎本さん 両名が主体となり、ゼミ全体の活動として、黒川にホタル及びネズミの 調査に行きました。私はホタル班のサブリーダーの様な役割をさせて 頂き、榎本さんと事前に谷戸の下見をし、観察ポイントを確認しました。 集合時間になり、黒川野外活動センターの方にご挨拶をした後、ネズミ 班の方々はトラップをしかけにいきました。全員が夕食をとった後、観 察開始の時間に間に合わないということで、ゼミ員全員での徒競走を余 儀なくされましたが、無事予定時刻には間に合い、観察を始めることが 出来ました。 私は黒川でホタルを見るのは初めてで、カエルの大合唱が聞こえる中、 緑色のやさしい光を観察していました。明治大学農場予定地である斜面 付近の小川では、たくさんの個体は観察することが出来ませんでしたが 、一歩予定地の雑木林の中に足を踏み入れると、流れの有るところでは 狭い空間に5、6頭のホタルが舞っていて、とても幻想的で綺麗でした。 しかし、斜面付近でホタルが見られるところでは、通過する車のライト が激しく、ホタルに悪影響が出るのではないか、と皆で心配していまし た。 その後行われたネズミ班のトラップ回収では、残念ながら捕獲できた 個体はありませんでしたが、どの様な所に、土の様な餌で、どんなトラ ップをしかけるか等、色々と勉強になりました。 ゼミの先輩方や同期と始めて寝食を共にする機会でもありましたので 、色々なことをゆっくりとお話しでき、ただの調査以上にゼミに溶け込 めるきっかけになった、とても楽しくそして勉強になる調査でした。 ■ 先生から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【荒れた里山の「目標とする自然」】                             倉本 宣 自然の創出や保全を行うときには、「目標とする自然」を考える必要が あります。黒川に出入りさせてもらうようになって、管理があまりされ なくなって荒れかけている里山についてはどのような目標がふさわしい のかときどき考えています。  話をおおざっぱにすると,管理された里山に戻すか,人間の力を排除 して原生自然に近いものにするかという選択肢があるように思います。こ のほかの目標についてはいま考えているところです。  管理された里山にするのなら、農家もあるし,近くに住民も多いので, やり方次第で管理は可能でしょう。雑木林は、ペレットや堆肥を利用するこ とで、代表的な管理作業である皆伐更新,下刈,落ち葉かきをしっかりやっ て、元の雑木林に戻していきます。谷底の畑や荒れ地は水田に戻すことにな ります。水田を維持するために小川や用水路の水路網を管理します。この場 合には,実際に見た人や管理していた人が現存するので教えてもらうことも 可能です。  原生自然に近い自然にするのなら,その自然がどのようなものだったのか を検討しなければなりません。斜面は照葉樹林、谷底は湿地かハンノキ林で す。黒川では南向きの斜面にシラカシなどが生えている林分があります。こ うした樹木を親木として、雑木林に種子を播き,雑木林を間伐して少し明る くする必要があるでしょう。湿地は現存する湿地の土壌シードバンクを育て ることで導入可能ですが,水田の土壌では水田雑草が多いので、しばらくの 間,植生管理が必要です。ハンノキ林もなるべく近くからハンノキを導入す ることが必要です。  里山は狭い面積でもできますが,原生自然に近い自然には広大な面積が必 要です。人手のある都市に近い場所では里山の方がよさそうです。 _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄  いつも応植研ニュースをご覧いただき、ありがとうございます。 応植研ニュースはメーラーやブラウザの表示をMSゴシックなどの等 幅フォントに設定していただくと、見やすくご覧いただくことがで きます。  これからも応用植物生態学研究室をどうぞよろしくお願いいたし ます。また、新聞係へのご意見やご質問などございましたら、下記 のメールアドレスまでお寄せ下さいますよう宜しくお願いいたしま す。 応用植物生態学研究室 新聞係 ohshokunews-request@mail.goo.ne.jp  また過去の応植ニュースや研究室の情報などを応用植物生態学研 究室のHPに更新していますので、下記のURLからご覧ください 。 L.A.P.E. 応用植物生態学研究室             http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai/