∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵          応植研ニュース Vol.11 No.4 ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵ 2006年10月26日発行 〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1 明治大学農学部農学科応用植物生態学研究室 編集 倉本宣・菊地哲理・高橋伸明・圓實裕美 URL http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄  秋も深まり食べ物のおいしい季節となりました。応植研究室でも とれたての玄米を炊いて食べました。  今号のニュースは10月9日に行なわれた親子自然教室についてと卒 業論文計画についてです。 ■ 生田緑地で行われた親子自然教室について ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【 土の中の生き物観察&生田緑地の生き物の保護 】                          野呂 恵子  10月9日、生田緑地で親子自然教室が開催されました。これは多摩 区と区内3大学の連携事業で、土を掘って出てきた小さな生き物を 顕微鏡で観察することに始まり、生田緑地の自然保護についても考 えてもらおうという催しです。参加者は主に小学校低学年児童と保 護者計33名で、日本女子大から7名、明治大から14名、計21名の学生 ボランティアが観察指導にあたりました。  初めての試みだったこともあり、事前準備は決して万全とはいえ ませんでした。それでも参加者の満足度の高い観察会となったのは、 天候に恵まれ野外での観察が存分にできたこと。子供たち一人一人 に学生ボランティアがつき、細やかな対応ができたこと。充実した 道具が一人に1セットずつ用意されていたこと。(こんな贅沢な観察 会はそうそうありません) 子供たちはおそらく吸虫管や携帯顕微鏡 を触るのは初めてで、土を採集することから始める一連の作業も新 鮮であったに違いありません。保護者も一緒に参加し、安心して観 察に専念できたということもありますね。そして何より、学生ボラ ンティアが張り切ってのぞみ、かつ自らも楽しみながらやっていた ことが盛会につながったのではないかと思います。  お昼休みに「ごはん一緒に食べられないの?」と聞いてきた子供 がいました。それを察してお弁当を持って外に出て行った学生たち。 それまでは余裕なく駆け回っていた私でしたが、この様子を見てふ っと気持ちがなごみました。参加者の感想文には温かい言葉があふ れ、単に科学を追及するだけの観察会には終わらなかったことがう かがい知れます。皆さんも、ボランティアとして地域に貢献できて いることを実感していたのではないでしょうか。自然の不思議さ・ おもしろさを体で感じた子供たちは、やがてその大切さにも目を向 けてくれることと思います。  こんな楽しいイベントはまたやってみたいですね。そのときは是 非、企画段階から皆さんの手で作り上げていけたら、もっと達成感 を得られるのではないかと思います。  元気な子供たち相手に頭と体を駆使して奉仕した皆さん、本当に お疲れ様でした。そして、頑張ってくれてありがとう。 【 親子自然教室に参加して 】                        3年 圓實 裕美  10月9日に、生田緑地で親子自然教室が行われました。午前中は土 の中の生きものの観察、午後は生きもの保護について参加した子供 たちと学びました。私は土壌生物については詳しくありませんが、 子供と何かをすることやボランティアに興味があったため参加しま した。  観察方法自体は、授業で経験したことがあったのでさほど難しく はありませんでした。しかし、今回は「いかに子供達が楽しく土の 中の生きものを観察できるか」がポイントであったため、どうすれ ばいいのか少し不安でした。けれど私の担当した子は、最初は少し 人見知りをしていたのか元気がなかったのですが、いざ観察となる と楽しそうにしてくれました。その子は虫を怖がることなく、嬉々 として観察、スケッチをしていました。家族の方も楽しんでいただ けたようです。結局、私も一緒に楽しくやればいいのだろうという 結論に達し、あまり生きもの名前などにはこだわりませんでした。 今思うと、少しは名前を教えてあげられればよかったかと思います。  普段、土壌の生物を観察するという機会はそうないと思います。 今回参加した子供達、それに家族の方もこれを機に、生きものにつ いてより興味を抱いてくれれば、と思います。また、この企画は私 たちにとってもとても勉強になりました。環境教育や子供達への対 応の仕方の難しさ、生きものや生田緑地内の知識不足などを感じま した。今後このような企画があれば、今回学んだことを活かし、ま た参加したいです。 【 生田緑地でのボランティアに参加して 】                         4年 大橋 賢  10月9日、生田緑地にて子ども達(正式には親子)と土壌動物の観 察をしました。普段子ども達と関わる機会がないのですが、子ども 達と自然のすばらしさを共有してみたいと思い参加しました。子ど もと一緒に土を取り、ザルでふるいをし、土壌動物を観察、同定し ました。ふるいをした土を掻き分け土壌動物を観察していたら何と サソリの様な身体をした土壌動物が...。「サソリ!?」と子供 と一緒に驚きました。生田緑地にサソリがいるのかと思ってよく見 ると、尾にサソリが持っているはずの針が無い事に気がつき違うと わかりました。そこでどのような名前を持つ土壌動物なのかと疑問 に思い、同定するための分類表を見ていたら見た目そっくり特徴も 当たっている土壌動物を発見しました!名前は「カニムシ」である とわかりました。子供と土の中にこんな面白い形をした動物がいる のかと感動しました。その後ご飯を一緒に食べ、生田緑地を親子と 歩きながら植物を観察し、自分が知っている植物については名前や 特徴を教えました。  そしてプログラムが終了し、今日1日一緒に作業、観察をした親 子とお別れをする時に「今日は有難うございました。普段こんなに 植物や動物をじっくり見たことが無いので初めてじっくり見ました。 じっくり見るのも楽しいですね。これからはじっくり見ていきます ね。」と親御さんに言っていただけてうれしかったです。参加して よかったと思いました。もっと多くの人に自然の面白さや感動など を知っていただき興味、関心を持ってもらいたいと思いました。ま た機会があれば参加していきたいと思いました。   ■ 卒業論文計画 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━        【 卒論をまとめるにあたって 】                        4年 坂田 久幸  研究室に入室してから早くも1年半が経ち、卒論をまとめ始めなけ ればならない時期となりました。  私の研究テーマは、「タマノカンアオイ保全のための基礎的研究」 というもので、環境省レッドデータブックで絶滅危惧U類に指定さ れているタマノカンアオイは、区画整理事業などで、保護のための 移植が行われています。研究では、タマノカンアオイを長期的に保 存できる環境を明らかにすることを目的とし、黒川地区の明治大学 農場予定地にて、これまでに個体サイズ・残存個体・個体分布につ いて調べました。  また調査では、農場予定地と隣接する土地の所有者の方にお話を お聞きする機会が何度かあり、昼間からお酒を飲みながら、タマノ カンオアイについて教えて頂きました。私はあまりお酒には強くな いので、毎回必死でメモをとり、フラフラとしながら研究室に帰る という楽しい調査が続きました。  卒論では、これまでに作成した個体分布図および、管理区域や非 管理区域などのいくつかの条件にわけた区域で、どのような環境で タマノカンアオイが多数生育し、消失してしまうのかを示し、タマ ノカンアオイの好む環境を明らかにすることで、移植に適した環境 を把握します。また、タマノカンアオイの消失個体の個体サイズと、 残存個体の個体サイズを見ることで、どのような個体が移植に適し ているのかを明らかにしたいと考えています。 【 卒論をこれからどうまとめていくか 】                        3年 長尾 圭祐  私の研究テーマは「放置された針葉樹林の針広混交林化」という ものです。これは現在全国各所に存在する管理されていない人工の スギ・ヒノキの針葉樹林の森林を有効活用し、森林を物質生産機能 だけではなく、水源かん養機能、山地災害防止機能、生活環境保全 機能など様々な公益的機能を生かそうというものです。  とはいっても私が実験できる森林があるわけでもなく、先日、先 生に東京都の環境局にお連れいただきました。そこで私がやりたい ことに適した森林を探していただき、東京都が森林再生事業を行っ ている場所をご紹介いただきました。場所は八王子です。先生と一 緒に試験地が適当か否か見学に行きました。生田から一時間半ほど 電車とバスを乗り継ぎ、行きついたところはまさに私が想像してい たものでした。しかし試験地がまだ足りないので八王子市役所にお 願いし、現在調査中です。  どのような環境が針広混交林化するのに適当な条件なのか、間伐 の強度、光、温度、水環境などを調査し明らかにしていきたいとお もいます。 ■ 倉本先生から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【 研究を通して人と人をつなげる 】                           倉本 宣  夏休みが明けてから、3年生の卒業論文の指導に本腰を入れていま す。指導といっても、中心にしているのは、調査の援助をしてくだ さる方に引き合わせたり、調査をする場所を探してあげたりするこ とです。これは、桜ヶ丘公園で雑木林ボランティアのコーディネー ターをしていたときの役割とよく似ています。  大学院生になると、研究に関わる人的ネットワークが豊かになっ ています。学部のときに紹介したり、いっしょに会いに行ったりし た方々が、大学院生たちを支えてくださっていると思えてなりませ ん。研究というのは、自分がデータを取ることだけでなく、ネット ワークを作ることでもあるのです。                    _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄  いつも応植研ニュースをご覧いただき、ありがとうございます。 応植研ニュースはメーラーやブラウザの表示をMSゴシックなどの等 幅フォントに設定していただくと、見やすくご覧いただくことがで きます。  これからも応用植物生態学研究室をどうぞよろしくお願いいたし ます。また、新聞係へのご意見やご質問などございましたら、下記 のメールアドレスまでお寄せ下さいますよう宜しくお願いいたしま す。 応用植物生態学研究室 新聞係 ohshokunews-request@mail.goo.ne.jp