∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵          応植研ニュース Vol.11 No.3 ∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵ 2006年9月28日発行 〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1 明治大学農学部農学科応用植物生態学研究室 編集 倉本宣・菊地哲理・高橋伸明・圓實裕美 URL http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄  今号の応植研ニュースは夏休みに行われた2つの学会に行った7 人に原稿を書いてもらいました。 ■ 環境教育学会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【 日本環境教育学会に参加して 】                        3年 榎本 大輔  去る8月18日から8月21日にかけて北海道で環境教育学会の大会が 行われました。私は研究の参考になると思い,今回参加することに しました。実際に何人かの発表を受けて一番の感想は理論が多かっ たことだと思います。環境教育はやはり実行なのではないかと私は 思います。そんな中,何人かの方と名刺交換して話す機会があり, 各々の方が実行されている環境教育の話しを聞くことができ理論だ けではないのだなと思え安心しました。さらに自分の研究におおい に参考になりました。  そんな中,四日目の旭山動物園のエクスカーションに参加しまし た。旭山動物園は動物を野生動物として見せるという画期的な展示 法で人気を博していますが,実際の動物園の裏側を見たり,職員の 方の話を聞いて様々な事を考えました。観光客が増えすぎ,見る側 のモラルの問題が低下していること。地域の学校と連携しての環境 教育など様々な問題や活動などの話を聞かしてもらいました。一番 印象に残ったのはエクスカーションを案内をしてくれた奥山さんと いう方がとても熱い人でした。動物に対する愛情が深く,動物を通 しての教育をしようという情熱にあふれていました。自分もそんな 情熱を持った人になれたらと強く感じました。  学会を通して強く感じたことは自分のやろうとしている研究はと ても情熱が必要だということです。人に対して発信すること。それ はとても力必要です。いかに人の心に強く印象づける方法があるの か。それを今回の学会を参考にして生かしていきたいと思いました。 【 初めての学会参加 】                        3年 大原 尚子  8月に人生で初めての学会、環境教育学会に参加しました。初め ての学会で日本の最北県に行くとは思ってもいませんでしたが…と ても充実した3日間を過ごすことができました。  『環境教育学会』ということもあって1日目、2日目の午前に行わ れた口頭発表では、大学の先生方だけではなく、小学校から高等学 校まで多くの現職の先生方の研究がありとても驚きました。  まだまだ、知らないことばかりで内容も理解できたとは言えませ んが、『環境教育』という1つのテーマでも様々な取り組み方、と らえ方があるのだということを実感することができました。  今回特に面白かったことがポスター発表と関連小集会です。ポス ター発表で自分から直接声をかけることはとても勇気のいることで、 本当に訊きたいことをきくのは難しかったです。小学校での実践例 など興味深かったです。  最後にこれから旭山動物園にまだ行ったことがないという方に…  今回、旭山動物園エクスカーションに参加しました。前半は、動 物園職員の方の案内で動物園の裏側など貴重なお話をうかがいまし た。後半は動物園内を自由にまわってよかったのですが…なにせ夏 休み中。人、人、人…1つの建物に入るにも長い行列。園内の展示 は様々な工夫があって面白いのですが、ゆっくり見ている時間はあ りませんでした。  ですから、もし初めて旭山動物園に行く!という方がいましたら、 なるべく人の少ない日をお勧めします!!せっかく面白い企画がた くさんあるのに楽しめなかったらもったいないです。                               【 環境教育学会および旭山動物園に行って 】                         3年 松塚 浩  私は、8月18〜22日にかけ、研究室の3年生4人と北海道江別市の 酪農学園大学で行われた日本環境教育学会第17回大会に参加し、今 話題の旭川市旭山動物園を見学に行きました。私は卒業論文で学校 林と環境教育について研究する予定なので、この学会でこれから始 まる研究のヒントが得られるかもしれない、と思い行くことにしま した。  特に注目した発表は、静岡県立浜松城北工業高等学校の方の『学 校の森をモデルにした地域の森づくり』という発表です。この発表 は、学生と地域の人々が一体となって森を作っていく、というコン セプトであり、2002年3月に完成したその小さな森は4年経った現在 も地域の子どもたちの環境学習の場として利用されている、という 内容でした。子どもたちの森作りに対する思いや、市民の協力の大 切さを改めて実感した、大変興味深い発表でした。また、倉本先生 の『都市近郊の農場予定地周辺における大学生の保全教育』という 発表も聴講しました。  21日には旭山動物園へ見学に行きました。環境教育学会の参加者 は、特別に動物園の裏側を案内してもらえる、というシステムであ ったため、開園30分前から園内を見学することができました。最初 に、旭山動物園の現在に至るまでの歴史などに関するお話を伺った 後、エサを作っている現場を案内していただきました。また、猿の エサ(あまり美味ではない…)を試食したりなどの体験もすること ができました。キリンやサイなどの飼育小屋を見学した後、実際に おりの中にいるサイにも触れることができました。普通に行くだけ では得ることができない知識や驚きを数多く体験することができ、 実り多い1日であったと思います。  振り返ってみると、環境教育学会への参加、旭山動物園の見学共 に、自分なりにたくさんの貴重な経験ができたのではないかと思っ ています。また、仲間と寝食を共にすることにより集団生活の大切 さを学ぶことができ、非常に楽しい5日間を過ごすことができまし た。 【 日本環境教育学会に参加して 】                        3年 山本 絵美  8月18〜22日にかけて学会見学のため札幌に行ってきました。本 当に多様なテーマがあり、環境教育の内容の広域さに驚きましたが、 その一端を垣間見ることが出来て有意義に過ごせたと思います。  学会で特に印象深かったのは関連小集会『幼児期の環境教育−日 本の自然・伝統文化・農業の中で育つ心と体−』です。私は関連小 集会がどのようなものだか分からずに軽い気持ちで参加してしまい、 予想以上の少人数制(最初は6、7人)で戸惑いました。しかし、人 数が少ない分アットホームな会となり、私も質問したり発現したり と議論の輪に加わることが出来、貴重な経験となりました。  また、最後の日に参加した旭日山動物園のエクスカーションでは、 その裏側の紹介がありました。夏休みということもあり、旭日山動 物園はディズニーランド並みに混雑していましたが、学芸員さんが その人気の理由や、それゆえの問題点等を分かりやすく説明してく ださり、とても面白かったです。  最後に、学会で得たことを卒論に生かせるよう、他にも色々なこ とを吸収しながら頑張っていきたいと思いました。 ■ 緑化工学会 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【 川崎市黒川における戦前の里山管理について 】                       4年 羽鳥 祐子    先月の14日に開催された緑化工学会にてポスター発表をして参り ました。今回の発表内容は,倉本先生が同時に発表された『川崎市 黒川における保全教育のための基礎調査について』からリンクされ るもので、私の卒業研究と同じく、その中の「人と自然とのかかわ り」というカテゴリーに分類されていました。つまり、これは自分 自身の研究そのものではありませんが、間接的に結びついているの で、携われたことは私にとって大変有意義でした。  しかし、学会発表は初めての場でしたので、たった30分というコ アタイムの内に何が起こるか全く予測できずにいました。案の定、 発表したことによって思わぬ盲点に気付かされることになりました が、新たな問題点やこの研究に必要なことど沢山のアイディアをい ただくことができました。また、黒川地区で調査するにあたり、当 然知っていなければならないことが私に欠けていることに気付かさ れ、研究内容についてもう一度考え直すきっかけともなりました。  今回の経験は、次回発表する際に役立つに違いありませんし、自 分の研究でそうした発表の場をもつことができるよう、残された半 年間努力したいと思います。 【 第2回学生セッションに関する報告 】                        M1 芦澤 和也  学生セッションは、昨年、千葉大の小林先生と本研究室の倉本先 生が発案してくださったのをきっかけに、緑化工学会大会の研究集 会の1つとして昨年度から行っている発表会で、学生が企画、発表、 評価をするという形で行っています。昨年度に引き続き、千葉大学 と本研究室の学生の合同で企画・運営を行いました。昨年度の発表 テーマは自由としましたが、今回は「研究室の活動の紹介」という テーマを設けて発表者を募集しました。  香川大、鳥取大、日本大、和歌山大、千葉大、明治大から6人の 学生が発表を行いました。発表者全員、大変素晴らしい発表で、私 自身もとても刺激を受けました。参加してくださった発表者、審査 員の皆様、どうもありがとうございました。  当日は、企画説明、発表、鳥取大学の日置先生からの講評、学生 による審査結果の発表という流れで進みました。その後、和歌山大 、千葉大、さらに昨年度の参加校である東農大の学生の皆さんと懇 親会会場とその後行った居酒屋にて、研究や各研究室に関する話な ど会話に華を咲かせました。なお、学生セッション賞は本研究室の 菊地くんが受賞しました。  私は昨年度に引き続き学生セッションの企画にかかわらせていた だきましたが、前回と違い、今回は企画責任者としての立場での参 加でしたので、おもしろかった一方で、難しいなと思う点がありま した。責任者をやってみての大きな反省点は仕事の分担についてで、 千葉大の学生との共同企画だったにもかかわらず、開催前の準備を 上手く割り振れなかったことについて千葉大の方々に申し訳なく思 いました。  来年の学会は京都大にて行われるとのことで、どのような形で実 施できるかわかりませんが、出来ることなら今回までに築いてきた ネットワークを生かして関西の大学と連携して行えたらと思います。 急なお願いにもかかわらず、講評することを快く引き受けてくださ った日置先生には大変感謝しております。的確でかつ、未来に目を 向けたコメントに企画者一同、感銘を受けました。また、企画に携 わっていただいた千葉大の広木さん、横山くん、本研究室の菊地く ん、榎本くん、また、当日様々な作業を手伝っていただいた千葉大、 明治大の多くの学生の皆さん、どうもありがとうございました。最 後に、ご観覧してくださった方々を含め、本企画にご参加くださっ た全ての皆様にこの場を借りてお礼を申し上げます。 【 学生セッションを終えて 】                       4年 菊地 哲理  第37回緑化工学会大会の研究集会「第2回学生セッション」が9月 15日に明治大学駿河台校舎のアカデミーコモンで開催されました。 この企画は学生の交流の場とすることを目指して昨年から始まった ばかりのものです。学生セッションでは、各大学から発表する学生 を1名ずつ募り、通常の口頭発表と同様の時間配分で、所属する研 究室や研究の事例、その途中経過などについて発表します。座長や 司会も学生が分担します。各大学代表の審査員の学生が各発表者を 審査し、最後に優秀な学生を表彰するコンテスト形式で行われてい ます。  昨年は音声や会場設営などのスタッフとして参加しましたが、今 年は発表者として参加させていただきました。学生の研究に関する ことを主体にした去年のコンセプトから、今年は研究室の取り組み を主体にした発表にコンセプトが変わったので、カワラノギクプロ ジェクトや保全教育など応植研の取り組みについて紹介し、自分の 卒論研究の途中経過についても少し紹介させていただきました。  セッションの後、自分の周りにいる方々とは違う視点から貴重な 意見をいただき、なかなか知り合うきっかけのない他大学の学生と、 研究を通して話をすることもできました。近い考えを持つ別のコミ ュニティの学生と出会い、新しいネットワークを作っていけるとこ ろに、学生セッションの良さを感じました。今後も学生セッション に参加し、学生が有意義な時間を共有できるとともに、未来の研究 者の交流に最適な場となる学生セッションを、みんなで作っていけ ればと考えています。 ■ 先生から ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【 後期の授業が始まりました 】                           倉本 宣  めっきり涼しくなり、多摩川の土手にはヒガンバナが咲いていま す。  9月20日から後期の授業が始まりました。夏休みの閑散としたキ ャンパスが学生で埋まっています。後期に担当している授業は、復 元生態学と緑地管理学です。復元生態学では生態系の復元や創出に ついて「生態工学」(亀山章編 朝倉書店)を教科書にして教えてい ます。緑地管理学は、都庁の公園での自分の体験を基に、公園の管 理運営、植生管理、環境教育について、学生といっしょに考えてい きます。  後期にもいくつかの活動を計画しています。小学生の親子自然教 室、学生部の里山教室のほかに、研究室独自の催しとして11月11日 に砂礫地についてのシンポジウムを生田校舎で開催します。コアジ サシ、カワラバッタ、カワラノギク、ニュージーランドについて、 研究室のメンバーがお話しますので、ぜひおいでください。13時30 分から16時まで、生田校舎2-300教室で行います。 ■ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━ 【 石ころでできた自然 ―その生態と価値― 】                   生明祭 プレシンポジウム 科学研究費「首都圏における砂礫地生態系ネットワークの再生手 法の検討」報告会  日本緑化工学会 埋土種子緑化研究部会共催 日  時:11月11日(土) 13:30〜16:00 場  所:明治大学生田校舎 2-300教室 <入場無料,申し込み不要,先着200名> *講  演*                          (1)屋上に営巣したコアジサシとリトルターン・プロジェクト  (柴田 英美,明治大学卒業生)  環境省レッドデータブックで絶滅危惧U類に指定されているコア ジサシは、本来の営巣地の減少が個体数減少の要因とされています。 日本で初めて屋上での営巣が確認された東京都森ヶ崎水再生センタ ーで保全活動にあたる市民=リトルターン・プロジェクトを対象に したアンケートにより、保全活動を継続して行っていくために有効 な手段を探りました。 (2)多摩川のカワラバッタの生態    (野村 康弘,明治大学卒業生) 河原にしかない固有の生態系が衰退している今、河原固有種の昆虫 の代表であるカワラバッタについて、多摩川における分布調査と生 息地間ネットワーク調査を行いました。カワラバッタの保全のため には、石ころの河原を維持し、その面積を増大させ、つながりを回 復することが重要で、その際にはモニタリングが必要であると考え られます。 (3)河原の再生とカワラノギク               (倉本 宣,明治大学)  環境省レッドデータブックで絶滅危惧IB類に位置づけられるカワ ラノギクは衰退が激しく、各地で保全事業が展開されています。本 研究では、2001年に多摩川で石ころの河原を造成して復元された個 体群において、種子の移動方向・飛翔する高さ・分布・散布距離を 調査しました。 (4)ニュージーランドの石ころ河原            (岡田 久子,明治大学) 網の目状に流れる川を網状河川といいます。多摩川もかつては網状 河川であったといわれていますが、流路が固定化して石ころ河原が できなくなっています。現在、世界の川の中で、この網状河川の3/4 はニュージーランド南島に集中していますが、ここでも水力発電に よる水量低下や外来性植物の繁茂により、石ころ河原が減少してい ます。ニュージーランドにおける石ころ河原に生息する絶滅危惧種 の野鳥Kakiなどの保全活動を紹介します。 主   催:明治大学農学部応用植物生態学研究室 問い合わせ:kura@isc.meiji.ac.jp _/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄_/ ̄  いつも応植研ニュースをご覧いただき、ありがとうございます。 応植研ニュースはメーラーやブラウザの表示をMSゴシックなどの等 幅フォントに設定していただくと、見やすくご覧いただくことがで きます。  これからも応用植物生態学研究室をどうぞよろしくお願いいたし ます。また、新聞係へのご意見やご質問などございましたら、下記 のメールアドレスまでお寄せ下さいますよう宜しくお願いいたしま す。 応用植物生態学研究室 新聞係 ohshokunews-request@mail.goo.ne.jp