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  ============  応植研ニュースVol.10  No.5  ==============
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                     2005年10月19日発行

           〒214-8571 川崎市多摩区東三田1-1-1
         明治大学農学部農学科応用植物生態学研究室

             編集 倉本宣・阿南一穂・菊地哲理
          URL http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai



 10月は特別な行事がなく、まるまる1ヶ月使える後期では唯一の
月です。3年生のゼミ合宿は、例年は夏休みに行っているのですが、
今年度は10月に行きました。最初の卒業生の篠木くんをまた頼って
今度は三宅島に行ったのです。大自然のちからを感じて帰ってきま
した。

 私にとってはカワラノギクが開花するシーズンです。わずかしか
ない空いている時間を工夫して調査に行く予定です。カワラノギク
プロジェクトの市民のみなさんと花をみたり、調べたりもします。
 
                                                    倉本 宣


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【カワラノギクプロジェクトの選択的除草作業に参加しました】

 9月4日と10日に、カワラノギクプロジェクトの選択的除草作業
に参加しました。プロジェクトに普段から参加しているメンバーは
もちろん、研究室のメンバー、明治大学の学生にも声がかけられ、
さらに今回はよみうり新聞(多摩版)、福生市広報を通じても参加者
を募るなど、普段の作業よりも大規模に行なわれました。

 当日は、両日共に30?40人が参加し、参加者たちはスタッフ作成
のオリジナルミニ図鑑を配布されました。そして、作業を始める前
にグループ分けをし、それぞれ担当を決め、夏の日差しの下大きく
成長した草たちと格闘しました。

 除草作業をしている中で、寄生植物のネナシカズラを発見し、カ
ワラノギクをはじめ様々な植物に寄生しているのを目にしました。
グループ分けの際にほかの作業をしていたわたしは担当が無かった
ため、途中からネナシカズラに寄生された植物を片っ端から駆除す
る担当となりました。

 6月にも除草作業を行ないましたが、あまりにも大きく成長した
草たちを目の前にすると、大変な思いをして行なったあの作業が水
の泡であったような印象さえ受けました。しかし、6月に作業をし
た場所としていない場所とでは、やはり状況が違うようなので、
“水の泡”ではなかったと思います…。

 作業をする中で何人かの方とお話しをさせていただきましたが、
みなさんいろんなことを知っていて、カワラノギクプロジェクトに
対してもきちんと理解をしてくださっているような印象を受けまし
た。今回参加した方の中には来月のお花見にもいらっしゃる方もい
るようなので、除草作業を機に様々な方が参加し、さらにネットワ
ークが広がっていくとよいと思いました。

                    4年  粕谷 絵美子
 

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【緑化工学会学生企画に参加して】

 9月17日の緑化工学会研究集会で学生セッションが行われました。
この学生セッションは、倉本先生と千葉大学の小林先生の提案によ
る、大学間の枠を越えた学生同士の交流を目的とした企画で、学生
が主体となって運営しました。8月初めに倉本先生から学生セッシ
ョンについてお話があり、4年生の芦沢君および千葉大学の代表の
方と共に企画から運営までを行うという、とても貴重な経験をさせ
て頂きました。当日のセッションでは、現在進めている研究の途中
経過や、研究室全体で取り組んでいる研究など、通常の学会発表と
は異なる発表が行われました。明治大学からは私が発表することに
なり、他の研究者や学生による新しい意見を聞くことができたので、
とても参考になりました。今回のセッションをきっかけにして、大
学間の交流をさらに深めていけたら良いと思っています。

 来年は明治大学が大会のホスト校になる予定です。もしこの企画
が継続して行われることになったら、学部生や大学院生は是非参加
してみて下さい。きっと研究の視野が広がると思います。

 スタッフとして当日手伝ってくれた皆さん、本当にありがとうご
ざいました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
    
                      M2  戸金 大
 

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【日本鳥学会の発表を終えて】

 先月の19日、私は信州で開催された日本鳥学会において、「コア
ジサシの繁殖状況モニタリングに最低限必要となる調査デザイン」
という題目で発表しました。私は将来、「自然を人に伝える仕事」
につきたいと考えており、学会のような場所は、より多くの人に分
かりやすく物事を伝えるためのトレーニングの場でもあると考えて
います。しかし今回の発表では、質疑応答の際に、与えられている
時間内で回答することができませんでした。発表後、これについて
よく考えてみました。回答しきれなかったのは、時間が足りなかっ
たのではなく、自分の中で解析や発表内容について十分に消化しき
れていなかったため、質問に対し、迅速にかつ簡素に答えることが
できなかったからだと思いました。今後の課題は、自分が完全に理
解したというだけではなく、もっと人に分かりやすく伝えられるよ
う、内容についてのより深い理解を追及していくということです。

 最後に、学会に参加するということは実に有意義だと思います。
参加して一番良い点だと私が思うことは、「いい刺激をもらえる。」
ということです。参加することで、これから先にやるべきこと、や
りたいことが見えてきます。しかし、これを実際に実行することは
大変で、自分自身の今後の課題でもあります。後輩たちもたくさん
の学会に参加し、発表することでたくさんの良い刺激を受けてほし
いと思います。

                     M2  柴田 英美
 

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【10月の本棚】

 いただいた本が3冊あります。どれもいい本だと思うのでいただ
いた順に紹介します。

・宮入芳雄(2005)屋敷林―武蔵野台地の四季―光陽出版社
 1143円+税

 雑木林の活動を続けてきた宮入さんが埼玉県新座市の屋敷林を撮
影した写真集。この農家は野火止用水開通よりも古くからこの地に
暮らし、ほかの家とは独立した屋敷林をもっている。武蔵野台地の
屋敷林とその周囲で営まれる農家の生活がていねいに撮影されてい
る。


・野村圭祐(2005) 江戸の野菜―消えた三河島菜を求めて― 
 発行荒川クリーンエイド・フォーラム 発売八坂書房 
 2400円+税

 地域野菜「三河島菜」の盛衰を通して、江戸の市街地と農村との
かかわりが書かれた本で、江戸近郊の里山を研究してきた私たちの
立場からもきわめて興味深い。特に、市街地から排出された屎尿さ
えも下肥として農村で使われ、野菜となって市街地へ戻っていった
ことなど、循環系としての里山を江戸の市街地と農村というスケー
ルでとらえなおすべきことを教えられる。


・鎌田七男(2005)広島のおばあちゃん 
 鎌田七男+シフトプロジェクト(広島市安佐南区祇園4-53-26)
 953円+税

 原爆が与える影響についてデータを示しながら、だれにでもやさ
しく分かるように書かれた本。このような本はほかにないから読み
なさいと、呉大学・いたばし自然観察会の山下洵子さんからいただ
いた。


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【今後の予定】

10/29    カワラノギクプロジェクト お花見会 9:30永田橋
10/30    カワラノギクプロジェクト 調査   9:30小作駅
11/1-3   明大祭
11/18-20 生明祭
11/19    OB会
11/26    雑木林勉強会 茅ヶ崎公園生態園


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応用植物生態学研究室 新聞係