--------------------------------------------------------------------- ==================== 応植研ニュースVol.9 No.6 ==================== ---------------------------------------------------------------------           2004年12月24日発行          〒214-8571 川崎市多摩区東生田1-1-1           明治大学農学部農学科応用植物生態学研究室           編集 倉本宣・小池佳代・阿南一穂   URL http://www.isc.meiji.ac.jp/~seitai  いい年だった2004年、2005年もいい年になりますように!  大学は年度で動いているので、ちょっとずれますが、2004年を振り返ってみる ことにしましょう。  修士課程に7人が進学するという今までにないことがありました。 これまでの最大が3人でしたが、その2.3倍活躍しているかというとそうでもない かもしれません。2005年度には上級生が卒業して、最上級生になるので、自覚と 活躍を期待しています。2004年度から新設された研究協力者制度によってポスト ドクトラル研究員として細木大輔さんにきてもらっています。3年生は9人いて、 それぞれにしっかりしているように思います。研究に着手したところなので、 ぜひご指導ください。  私は教授に昇格し、生田地区担当副学生部長の仕事を2年間させてもらって います。そのため生まれてから一番忙しい日々を送っています。残った任期は クラブやゼミに入っていない学生の課外活動やボランティアについて活動して みたいと思っています。忙しいという文字は心をなくすと書くと農工大の 亀山先生に教えられて、ときどき意識的に心を取り戻すようにしています。  4年生もM2もみんな就職が決まって、2005年度に修士課程に進学する学生は幸い いません。これからはていねいに学生を指導していくつもりです。 2005年度いっぱいはきびしい日々が続くことと思われますが、心を取り戻せる ようにお気にかけていただきたくお願い申し上げます。        倉本 宣 春田章博さんのセミナー(2004.12.14)  造園学会の生態工学研究委員会で長い間いっしょに企画を立ててきた株式会社 環境・グリーンエンジニアの春田さんに「生態工学の技術—エコロードの 現場から」というセミナーをやっていただきました。 研究室のセミナーの時間に開催したのですが、18時からにしたので、2年生も 10名以上参加し、質問した2年生もいました。  生きものに配慮した高速道路のお話が中心でしたが、現実と理想の折り合いを つけることで技術が進歩することや、外で反対することよりも仕事の中に入って 技術者として生きものに配慮することの大事さを教えてもらったのは、私にとって も大きな収穫でした。春田さんは技術士会の環境部会長もなさっていて、技術者 になろうという学生には一層刺激になったことと思います。  春田さん、私たちの希望をかなえていただいてありがとうございました。 倉本 宣 研究室の学生に春田さんのセミナーの感想と、先日開かれたOB会の報告を 書いてもらいました。以下に掲載します。 ------------------- 春田さんのお話を聞いて。----------------------    M1  勝又まり  今月の14日、技術史環境部門の春田章博さんに、 『自然再生の技術〜エコロードの現場から〜』と題してお話をして頂きました。 生物の保全について考える機会の多い私達ですが、実際現場に携わっている方の 声を聞くことはそれほど多くないので、とても貴重な機会でした。  景観生態学の本でエコロードについて読んだ事はありましたが、それほど興味 を持った事はありませんでした。稀にエコロードらしき道路を見かける事が ありましたが、うまく機能していそうな物を見た事が無く、合理性第一の日本の 技術者に、手間やお金をかけてまで道路の影響を低減する気があるとは思って いませんでした。  しかし、森林の連続性を失うことなく道路を通すドイツの素晴らしいミティゲー ションのアイデアや、それらを参考にした日本での例を美しいスライドで見せて 頂き、ドイツの技術の高さに驚き、日本も遅ればせながら頑張っているのだと 感じました。意外だったのが、韓国や中国などが日本でのエコロード導入に 関心を持っているという事です。今まで知識も無しに日本の環境対策はダメダメ だと決めつけていましたが、他のアジア諸国が関心を持っているという事は、 結果はまだ少なくても頑張っている証拠かもしれないと思いました。  また、春田さん自身が、環境に配慮しない道路を上に言われるがまま造らざるを 得ない状況に苦しんでいた頃、自分が頑張ってのし上がって、環境に配慮した 道路を造ろうと決心したお話を聞いて、日本の道路造りが変化してきている事を 強く感じ、感動しました。 ----------------------頑張れ若僧-----------------------------                     3年 横山泰宏   12月14日火曜日、普段のゼミの後に、技術士の春田章博さんに来ていただき、 「自然再生の技術―ecoロードの現場から―」というタイトルのもとで、エコ ロードについて話をしていただきました。  エコロードとは、豊かな自然環境を保全するため、道路の調査、計画から設計、 施工、管理まで含め、生態系にきめ細かく配慮した道路のことで、道路づくりに おいて、自然をどのように守っていくか?空間を作っていくか?というのが 基本的な考えということです。  内容については、調査・計画、設計、施工、維持管理の段階別に話をして いただきました。具体例を説明していただいたことで、より細部まで知ることが でき、実際に流れを追うのは簡単だが、やはり一筋縄ではいかないと実感しまし た。エコロードについてのドイツ等の外国の例や、実際の現場からの話を聞けて、 非常に貴重なセミナーでした。  しかし、今回、春田さんの話を聞いて面白いと思ったのは、エコロードの話は もちろんですが、実際に仕事して感じたことを聞けたことが面白かったです。 それは春田さんが直接的な経験を踏まえた話をしてくださったからだと思います。 「技術士に必要な能力は?」と聞かれて、知識とかは当たり前のところもある けど、技術・知識は、技術士になってからも見につく部分もある。知識も大事 だが、土木関係の人、つまり、自分と違う考えを持つ人とコミュニケーション する能力が必要とおっしゃられていました。生物と土木の技術がかみ合わないと 保全もできないし、土木の人は手法がわからないので、我々のような人が関わって はじめて技術的なことができるとおっしゃっていました。  このような、他の業種、つまり、考えの違う人と話す能力は、技術士としてだけ でなく、社会全体に通ずることだと思った。これから社会に出て行く私としては、 このことは技術士の仕事に通じることだけでなく、他の仕事でも通じることで あり、社会に出て行くのに必要な能力だと思いました。  春田さんは、仕事で悩んだり苦労したそうです。春田さんの話は、私たちの ような社会に出ようとする人たちへの貴重なメッセージだったと思います。実際に 社会に出て働いている人に来ていただき、話をしてもらうことは、普段の授業では わからない、現場からの意見が聞けるからすばらしいことだと思いました。 春田さんありがとうございました。 ------------------2004年度OB・OG会を終えて---------------------------                  4年 伊藤 信 11月21日にOB・OG会を行わせていただきました。  今年度もお忙しい中、緑地系3研究室合同OB・OG会でも公演していただいた 一期卒の篠木さんをはじめ、たくさんのOB・OGの方々にご参加いただき、 誠にありがとうございました。この場を借りてまずはお礼を申し上げます。  さて、私は今年で二回目の参加となったのですが、普段、社会人の方と話を する機会が少ない私たち学生にとって、OB・OGの方々のお話を聞けるという ことは非常に貴重であると感じました。私自身、来年の春から社会人になります。 楽しみな反面、不安も多く、来年の今ごろの自分というものがまったく想像でき ない状況にあります。そんな中、先輩方の社会人としてのスタンス、仕事のこと など、たくさんのお話を伺うことができ、非常に勇気づけられました。 それと同時に、自分がOBとなってOB・OG会に参加したとき、後輩を勇気づけ られる話ができるような人になっていたいという決意に近いものを心の中に 留めました。  来年はOBとして会に参加させていただきます。一年でどれだけ成長できるか わかりませんが、少しでも後輩たちのためになる話ができるようになって いたら、また、OBになってからも上のOB・OGの方にかわいがってもらえたら と思っています。「個性を大事に」「常に新しいものを」という考えもとても 大切ですが、温故知新という言葉があるように、上の代から受け継がれていく ものを私は大切にしたいと考えます。  そういった意味で、これからもOB・OG会というすばらしい行事が続いていく ことを願っています。最後に、来年は応用植物生態学研究室が開設された 10周年目の年です。是非、今まで以上の盛大なOB・OG会を期待しています。 ------------------- 今後の予定 ----------------------- 1/4(予備日8) 9:30 永田橋 カワラノギクプロジェクト        カワラノギクの種子の採取 2/1 卒業研究論文発表会 -------------------------------------------------------- 本年も応植新聞をご覧いただき、また、さまざまな励ましのお言葉をいただき、 大変ありがとうございました。 来年も引き続き、よりよい応植新聞を作っていけるように頑張ります。 皆様におかれましては、年の瀬を迎え、ご多忙な日々を送っておられると 存じますが、どうぞよいお年をお迎えください。                        応植新聞係。