注意事項
1. 実験の意義と目的
- 技術の進歩は,多くの研究者,技術者によって積み重ねられた理論と実験による裏付けが実を結んだものである.理論は実験によってテストされ,実験は理論によってサポートされる.理論と実験は密接な関係があり,草の両輪のごとく共に重要である.
- 大学において色々な講義でえられる抽象的な理論や知識は,それらを実験によって確かめ,実際に経験することによって自分のものにすることができる.また,技術の進歩のため,新技術の開発のため,未知の世界を切り開く実験の計画の仕方・実験の方法などを修得するためにも実験は大切である.
- 3年生の諸君にとっては初めて研究室に入る機会でもある.このことは小グループの学生諸君と機械情報工学科教員との身近なふれ合いの最初の機会であり、大いに利用して教員や研究室の先輩との対話を深めたいものである.
- 本実験は主に小グループによる共同作業により行われる.とくに限られた時間に多くの情報を得ることを目的としている大学の実験では能率的な作業が必要であり,他人任せでない全員の積極的な参加が重要となる.
2. 実験を行う場合の注意事項
- 実験の目的をよく理解できるように,テキストをよく読み,関連事項を教科書,参考書などによって事前によく調べておくこと.
- 実験に使用する教材,測定器の使い方,実験装置の概要などをよく調べておくこと.とくに実験装置,測定器の取り扱いに注意し,取り扱いを誤ることなく,また誤操作などによって故障をおこさないように注意すること.
- 実験を行うにあたっては,細心の注意をはらって,決められた順序方法に従うこと.とくに使用者の不注意によっては人身事故を起こしかねないような装置を操作するとき
(例えば,工作機械,材料試験機などの大出力機械の操作)には共同実験者間の連絡や合図を確実に行うこと.また,“安全の手引”をよく読んでおくこと.
- 実験においては,振動,ごみ,ほこりなどは誤差の原因となるので十分注意すること.
- 実験においては,気温,気圧,湿度などで系統誤差を生ずる可能性があるので記録しておくこと.
- 実験中の観察と判断
- 意味を理解しないでデータのみを記録することは実験ではない.実験中はデータを通じて実験者は実験対象を深く理解しようとすること.
- 実験中に適切にデータを記録し,ばらつき等を確かめ,あるいは同じ実験の反復による再現性の確認などの手段を取って,再実験の必要のないことを確認しながら実験を行うこと.
3. 細かい注意
- 実験専用の5mmまたは10mmのSECTION NOTEおよび電卓を各自用意すること.説明中は必ずノートを取ること(ノートチェックをする).
- 実験装置には被損しやすいもの,危険なものなどがあるので,説明が終わり指示があるまでは勝手に手を触れないこと.
- 実験開始時間に遅れないこと.実験中は必ず名札を付けること.
- 実験に関する掲示(班分け,休講,その他)はWebにて掲示する.
- レポート用紙の大きさはA4版,左端とじ,横書きとする.
- 手書きでグラフを書くときは,方眼紙を使用すること.
- 実験レポートの提出期限,提出場所は実験によって異なるので,説明を十分に聞いておくこと(原則として,提出期限は実験を行った翌週の月曜日午前10時50分).
4.1 実験レポートの基本構成
- 実験の目的
どのような目的でこの実験を行うのかを要領よく書く.
- 実験装置・使用器具
実験装置の配置図,使用器具の略図,名称,測定対象物などをまとめる.必要ならばそれらの取り扱いの説明を書き加える.
- 実験方法の説明
実験の順序,測定の方法などをまとめる.
- 実験結果の整理
実験の測定値,計算式と計算値,数表,グラフなどを書く.
- 考察あるいは検討
実験結果の数表,グラフ,測定値などに対する考察あるいは検討を行う.実験の結果,何がわかったか,それはなぜか,原因は何か, といったことを詳細に考察する.これは実験レポートの中で最も重要な部分である.
- 結論
本実験の目的に対していかなる結論が得られたかを書く.
- 参考資料
実験レポートをまとめる上で調査研究した文献その他の参考資料を書く.
- その他
実験に対する感想,反省,希望など.
4.2 実験レポートに関する細かい注意
- レポートの書き方について
- 実験レポートはパソコンによって作成することが望ましい.
- 手書きの場合はインクまたはボールペンを使用し,色は黒または青で統一すること.
- 手書きの場合は字をていねいに書き,間違ったときは横線を引いて修正するか,修正液でていねいに消してから書き直す.
- 有効数字の桁数をよく吟味して,過不足ないよう注意すること.
- 単位の表示を忘れないこと.単位は原則としてSI単位を使用するが,実験によっては工学単位系を用いることもある.
- 実験レポートは表紙(実験終了時に渡される)を第1ページとして,左側をホチキスでしっかりと止めること.
- グラフについて
- グラフ用紙にトレーシングペーパーを使用しないこと.
- パソコンで図面,グラフを作成してもよい.
- 手書きの図面,グラフは定規(自在定規,くも形定規などを含む)を使ってきちんと書くこと.手書きのグラフは鉛筆書きを原則とするが,必要に応じて色分けしてもよい.
- グラフの表題,グラフの縦軸,横軸を表す量および単位を忘れないこと.
- グラフが見やすくなるように、軸の幅や目盛りの間隔は適切に選ぶこと.
- その他の事項
- 実験終了後に後かたづけをきちんとすること.
- その他,実験室,研究室における注意事項を守ること.
4.3 引用文献の書き方
引用文献の書き方は学会によっていくぶん異なるが,大きな違いはない.ここでは、日本機械学会の方式を例示する.実験レポートに引用文献をあげるときは,この例を参考にすること.
- 単行本の場合
著者名,書名,(発行年),出版社,ページ
例: 嘉内秀明・小林博明・江源信郎・小野 浩,動的システムの解析と制御,(1991),コロナ社,p.63.
- 雑誌の場合
著者名,論文題目,雑誌名,巻,号(発行年),ページ
例: 武捨貴昭・熊沢達也,遺伝的アルゴリズムを用いた最適制振の検討, 日本機械学会論文集,67巻657号(2001),pp.1297-1302.