第8回:関数(3)

先週に引き続き関数を取り上げます.


先週の演習のこたえ

よく使う関数を用意しておこう.

1.二つの整数を渡すと,大きい方を答える関数
2.整数の2乗を計算する関数
3.整数の3乗を計算する関数
4.整数のn乗を計算する関数

#include <stdio.h>

int large(int a, int b)
{
    if(a>b){
        return a;
    }else{
        return b;
    }
}

int square(int a)
{
    return a*a;
}

int cube(int a)
{
    return a*a*a;
}

int power(int a, int n)
{
    int i, pow=1;
	
    if(a==0){
        return 0;
    }else{
        for(i=0; i<n; i++){
            pow *= a;
        }
            return pow;
    }
}

void main()
{
    int a, b, n;

    printf("aの値を入力してください:");
    scanf("%d", &a);
    printf("bの値を入力してください:");
    scanf("%d", &b);
    printf("n乗のnの値を入力してください:");
    scanf("%d", &n);  

    printf("大きい数の値は%d\n", large(a, b));
    printf("aの2乗は%d\n", square(a));
    printf("bの3乗は%d\n", cube(b));
    printf("aの%d乗は%d\n", n, power(a, n));

    printf("a^3 + b^2 + a^n =%d", cube(a) + square(b) + power(a,n));
}

これまでは,一つの値しか関数から戻すことができなかった.また,同じ変数名を使っていても,関数の方で値を変えても,mainでは変化しなかった.これは,関数には変数の中身が伝えられているためです.

今回は,関数から複数の値を戻したい場合や,文字列や配列データを渡したい場合を考えよう.この場合,関数に変数のしまってある場所を伝え,その場所のデータを関数で使うようにすれば,よいと考えられる.

変数のしまってある場所(アドレス)を扱うのは,ポインタの出番です.

アドレス参照(Call by reference)

ポインタを用いて,変数の場所を関数に渡したプログラムの例です.

#include <stdio.h>

int test2(int *a)        /* 変数aのアドレスを受け取る(ポインタ変数) */
{
    *a += 10;             /*aの指すアドレスの中身に1を加えるから,main関数でも変化する */

    return *a;
}

void main()
{
    int a, b;

    printf("aの値を入力してください:");
    scanf("%d", &a);

    printf("関数へ渡す前のaの値は,%dです\n", a);

    b = test2(&a);        /* 変数aのアドレスを関数に渡す */

    printf("関数から戻ると...\naの値は%d\nbの値は%d\n", a, b);
}

aに2を入力すると,どのように関数にわたり,

ポインタを用いて,アドレスを関数に渡せることがわかりました.

では,関数に配列データを渡してみましょう.

まずは,入力された文字の長さを返す関数を作ってみましょう.


配列の受け渡し

配列を受け渡している例を見てください.

#include <stdio.h>

void dim_init(int *ary, int no, int val)
{
    int i;

    for(i = 0; i < no; i++){
        ary[i] = val;
    }
}

void main()
{
    int i;
    int  ary[] = {1,2,3,4,5};

    dim_init(ary, 5, 0);

    for(i =0; i < 5; i++){
        printf("ary[%d] = %d\n", i, ary[i]);
    }
}

このプログラムは,配列aryの先頭からno番目までの要素の値をvalに設定する関数です.関数の初期化などの際に用います.関数には,配列の先頭のアドレス(ary)が渡されるので,関数側ではポインタ(int *ary)で受け取っています.関数で変更の加えられたデータは,特に戻り値を指定していませんが,main関数では,その変更が反映されます.


文字列の受け渡し

はじめに,文字列の扱い方を復習しよう.

文字列は,配列として扱うことを思い出してください.関数に文字列を受け渡すには,上記の配列の場合と同様,ポインタを用います.

ここで,文字の長さを数えるプログラムを関数を用いて書き換えてみよう.

#include <stdio.h>

void main()
{
    char str[128];
    int  i;

    printf("文字列を入力してください:");
    scanf("%s", str);

    for(i = 0; str[i] != 0x00; i++);

    printf("入力された文字列は,%sです.", str);
    printf("文字数は,%dです.",i);
}

ここで,青い色の部分を関数にしてみよう.

#include <stdio.h>

int moji_nagasa(char *str)
{
    int i;

    for(i = 0; str[i] != 0x00; i++);

    return(i);
}

void main()
{
    char str[128];
    int  i;

    printf("文字列を入力してください:");
    scanf("%s", str);
    printf("入力された文字列は,%sです.", str);
    printf("文字数は,%dです.", moji_nagasa(str));
}


演習

(1) 変数 a と b の値を,入れ替える関数を作成せよ.

(2) 配列の要素の和を求める関数を作成せよ.

(3) ある文字列を入力したとき,文字数を数える関数を利用して,文字を逆に並べ替える関数を作成せよ.